第十八話 魔女の負の遺産への対策 ③
殿下は、一瞬ポカンとした表情を浮かべていたが、意味が理解出来るとなんとも言えない顔を浮かべ
「俺の民を守って、なにが悪い! 彼女達は護るべき大切な民だろうが!!」
すぐに、ちょっとムッとした表情を浮かべて素直な言葉を紡ぎ、静かに怒りを表していた。
「殿下。殿下殿下。ソレちょっとだけ違う」
カリエナもなんとも言えない表情をして、そしてなんとも言いにくそうに殿下から顔を逸らして、言葉を紡ぐ
「アズが言ったのは、たった一人だけで、ミュール嬢に関しては論外ですから。殿下の発言の民に関する事柄からは、アズには一切合切の意見も意思も関係無いですね」
「┄┄┄┄それは、うん、私が悪かった」
そして二人は、なんとも言えない沈黙が続くことになった。
◈◇◈◇
その頃、私ことユーフィリンはミズナと共に殿下達の会話を聞きつつ、私は顔が真っ赤になり、ミズナは無表情のまま私にだけ聞こえる声で話かけてきた
「私って、論外なんだってことはわかってるけどさ。なんとも言えないよね?」
「うん。何か、ごめんね?」
「いや別にいいけど。殿下とか、他の人が私を守ってくれるらしいし、私は別に不満はないけど┄┄ね?」
そう言って、ニンマリと私に意味深な言葉を向ける
小首を傾げて、ミズナが言った言葉の意味を考えると
ボンッ
と音が鳴りそうなくらい顔が真っ赤に染まった
「うん? おやおや? ナニをそんなに顔を真っ赤に染めているのかな?」
「~~~~!!!?」
口を開くが、開閉するだけで言葉を発することはなく
口をパクパクさせては閉じてを繰り返して、結局は口を閉じることにした
その間、ミズナは口元を隠してはいるものの口の間から漏れ聞こえる声の笑いは止まらなかった
「ハハハ、アハハ。はぁ~~」
「可笑しかった。うん、これだけでもう許してあげよう」
「からかいたかっただけでしょうに? なに言ってんの」
〝まっ、そうなんだけどね?〟と悪びれることなく口にするミズナに、私はなんとも言いづらく呆れる他なかった。
◇◆◇◆
「おやおや。我々が遅く来たはずなのに、まだ始めていないようですね」
「まあ仕方ありませんよ。殿下は勿論のこと、皆さんはまだ若い」
「あぁ。皆さん青春を謳歌するトシですからねぇ」
と生徒を二人の教師は、生暖かい眼差しで優しく生徒達を見つめつつ、言葉を続ける
「まあだが、殊は深刻だ!」
「ああ。わかっている」
「生徒達を傷付けずに、守ることが難しくとも┄┄」
「そのための我々だ。殿下達も協力してくださるから、我々は我々で他の教師達にも対応しうる対策をこの場で話し合わねばなるまい?」
「ああそうだった。少々冷静さが足りなかったようだ」
「くくく。それは良かった。まあ、その前に殿下達を落ち着かせる必要はありましょう」
そう締めくくって、笑顔で彼等の遣り取りを眺めながら言い終える
「はは、これは確かに」
また和やかな雰囲気の中で、二人の教師は優しい眼差しで生徒達を見つめながら、絶対にこの子達を守ろうと自然とお互いに顔を見合わせて頷きあった。
お読みくださり、まことにありがとうございます! 新たに出てきたキャラは教師達です。
そして今回は、皆さんのじゃれあいを書いてみました。如何だったでしょうか? 楽しんで頂けたのなら、幸いです。 では、またの更新に