第十六話 不思議な力と救える魂 ③
それからは、私に嫌がらせの類いはなくなり、そして私を助けてくれた人は私の友人になった
私に嫌がらせをしていた人達は、彼女自身が言ってた通りにしている。
そう、もし少しでも妙な動きをしようものなら、彼女は容赦なく切り捨てたに違いない
だって彼女は、言葉通りに実行することに罪悪感も違和感も感じてはいないのだから┄┄
私は一度なんで? と彼女に聞いてみたことがあるが、彼女は首を傾げながら考える素振りをして
それから徐に、だって面倒でしょ?
そう笑みを溢しながら、私に言いました。
その当時は、絶句して言葉を失いましたが、いまはいい思い出話ですね
あの事があるから、私は私としていられます
そして、これからも彼女の友人としていられるはずだった┄┄
私が恋をしなければ。あの人に恋をしなければ、これからも彼女の側にずっと一緒にいられたのに┄┄┄
あの人が、彼女に想いを寄せならなければよかったのに!
苦しい、寂しい、彼女が憎い! 私のものを盗む彼女が憎い‼
いや! ダメ! 私は┄┄私は┄
『ごめんね? 私ちっとも、貴女の気持ちに気付いてあげられないで』
『でも、これからは貴族とかなしで、普通の友人のように喧嘩したり、仲直りしたりして絆を深めていこう?』
うん、うん!
ありがとう、私貴女のこと結構好きよ?
『うん! 私も貴女のこと好きよ。でもその前に、私に言うことがあるんじゃない?』
アハハ。うん。戻ったら話すね?
『うん! 楽しみにしてる。だから戻ろう? 私と一緒に』
うん! 戻る‼ 貴女と一緒に
『じゃあ、手を』
【させると、思う? 折角の獲物の核になりそうな女を手放すわけないじゃない】
黒い魔女の影がユーフィリンとミズナに襲いかかろうとしていたが、彼女達はそれよりも早く手を繋ぐことが出来ていた
二人は意外と近くにいたことが、手を繋ぐ早さに繋がったのかも、しれない
【┄┄┄バカな‼? 有り得ない! 繋がりを断ち切ることなんて┄┄┄┄まさか‼】
そんな声が聞こえたが、彼女達は既に光に包まれ、その場から消えようとしていた
◈◆◈◆◈◇
魔女と対峙していた三人は、光に包まれたユーフィリンを見つめていた
けれど、ほどなくして空間全体が目映い光に包まれて、敵味方関係なく目を瞑ってしまう
そんな強烈な光だった
ほどなくして光が収束をはじめ、三人は目を開ける
「┄┄┄┄┄なん、だったんだ」
「わ、わかんねぇよ!」
「う、うむ。一応の光の収束は終わったみたいだな? だが┄」
ミズナの回りには、まだ黒い影が色濃く纏わり付いていた
「な、なぁ? アレなんだ?」
「視えるのか? アレ? の存在」
「まあ、俺にも視ることが出来てる時点で異常なことだろうが」
そこで、言葉を区切る殿下はおもむろに口を閉じる
「「?? どうかしたのですか?」」
二人は首を傾げて、殿下に尋ねた
しかし殿下は、絶句して言葉を発することが出来なかった
何故なら、ユーフィリンとミズナは手を繋いだ状態で、ミズナに似た彼女は黒い影そのものに、なってその場に現れていたため