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実践開始

連続投稿は良いんだけど、誤字が多いのは拙いですよね(汗

 

 店に向かって深く深く礼をした後、待ち合わせの場所に歩いて行く。

 これで何とかなると良いんだけど、頼むから魔法の才能があってくれよ。

 水晶珠で調べられるのは属性がメインなので、魔力があるか無いかぐらいしか分からず、その量は神殿で調べてもらうしかない。

 もっともそこまで詳しく分かる訳では無いようで、目安ぐらいにしかならないらしい。

 それで金貨1枚はぼったくりだと思ったが、普通はお布施込みで支払うとの事。

 大人は大抵神殿には、年に1度は行くらしく、お布施はその都度支払うようだ。

 なのでそのついでに調べてもらう人も居るようなのは、魔力は増える場合があるかららしい。

 すなわち、生活のあれこれで魔力が増え、発動可能な魔法があればそれで更に磨かれる。


 成人の儀では無理だった人が、30代になって使えるようになったって話もあるらしい。

 ただし、それにはやり方があると本に書かれていた。

 それがもらった本なんだけど、それによると中途半端な魔法の練習は逆効果であり、まずは扱えるようになるまで基礎をしっかり固める事が肝要とあった。

 その扱えると言うのは魔力の事であり、身体の中にあるはずの魔力を感じ、自由自在に動かせるようになるまで魔法の発動はやるなとあった。

 その理由としては、未熟な魔力の扱いのままに魔法を使えば、それが基準となってしまうらしい。

 なので本格的に魔法を学ぶ者達は、ひたすら魔力の扱いを練習し、満足したら次に進むという方法を採るらしい。

 しかし、世には気の短い人が多いようで、ちょっと動けばすぐさま魔法を発動し、未熟な技量のまま育つ事を本の作者は嘆いていた。

 なので僕はこの魔力操作をひたすら習熟しようと思っている。


 幸いにも僕には似た知識がある。


 それは昔のマンガなんだけど、魔力に似た力を訓練して強くなっていく男の子の話。

 もしかしてあの練習方法が応用出来るなら、教師無しで魔法が使えるようになるかも知れない。

 その方法はまず座禅を組んで体内の魔力を感じるところからだな。

 そうして感じたらそれを動かすんだけど、血液のように体内を循環しているイメージでいけるだろう。

 あれは6つのタイプがあったけど、それをそのまま属性に当てはめればかなり似たような事になる。


 この世界には光・闇・火・水・風・土の6つの属性があり、あの物語と数が同じでイメージしやすい。

 ただし、本当は7つなんだけど、この7番目の属性は属性じゃないって事になっている。

 すなわち無属性なんだけど、それもあの物語の設定に似ていなくもない。


 つまり、特殊な属性って事だろうから。


 この特殊な属性は、他の属性に収まらないタイプの魔法の総称になる。

 すなわち、身体を綺麗にする魔法に属性は関係無いだろうし、手の届かない場所の物を取るなんてのも関係無いだろう。

 後は空間転移とかも関係無いだろうし、アイテムボックスやストレージも関係無いような気がする。

 いや、もちろん時空とか次元とか空間とかって、そう言った属性があれば含まれるんだろうけど、そういうのは見つかっていない。

 だからもしかしたら本当は、それらの属性に分類出来なくて、一括で無属性にしているだけなのかも知れない。


 つまりレアなのだ、無属性は。


 まあそんなレアな属性は無理だろうけど、何かの魔法が使えたら便利には違いあるまい。

 それにはまずひたすらの基本しかあるまいし、習熟するまで魔法の発動はお預けにすべき事だ。

 うん、水晶珠を握ったら反応してくれてさ、僕には魔力があるみたいなんだ。


「お、買物は終わったか? 」

「お釣りをどうしましょう」

「まあ、持っておけ」

「分かりました」


 金貨3枚と銀貨98枚と銅貨50枚はそれぞれ袋に入れたまま懐に仕舞い、宿でのあれこれをこなした後、部屋で座禅を組んでみる。

 即日とかは絶対に無理だろうから、気長にやっていくしかあるまい。

 そう思っていたんだけど、妙に裡でうごめくモノを感じるようになる。


 早……


 そりゃあのマンガのイメージでやってたけどさ、そんなにすぐ感じたりするものか? 普通。

 まあいいや、次はそいつが身体を循環しているイメージだったよな。

 ひたすらうごめく存在を感じていると、確かに動いているようにも感じるようになる。

 それを自らの意思のままに動かせるようにならないと、ちゃんとした魔法は使えないのだろう。


 さすがにいきなり動かせるなんて事も無く、それからの彼はひたすらその習熟に明け暮れた。

 馬車の中では目を瞑ってひたすら眠っているようであり、宿に着いたら外出もせずに部屋に篭り切り。

 お付の人はそんな彼を見て、旅の疲れを思っているようで特に何も干渉してはこない。

 それでも翌日は王都って頃になると、夜の街に誘われるようになる。


「疲れてんのは分かるけどよ、ちょいと羽目を外そうぜ」


 そんな事を言って8才のガキを酒場に誘うな、この不良大人が。

 そりゃ確かにこの世界に酒の年齢制限は無いけどさ、さすがに年齢一桁は拙くは無いのかよ。


「ミルクください」

「はぁぁ、まぁ、仕方ねぇか。けどよ、男なら酒の一杯ぐらいは飲めるようにならねぇとな」

「8才に無茶振りはよしてください」

「そうは言うがよ、おめぇはもう働いてんだ。だったら大人と同じだろ」


 そんなトンデモ理論を展開されてもさ、底が見えるから無駄だぞ。


「はいはい、僕が興味を持ったから、嫌だけど酒場に案内した。そうしたら高い酒を飲むから資金がヤバくなりましたと」

「おしっ、それでおめぇに渡した金の事は無しになるからよ」

「ついでに貴方の酒代もですよね」

「文句無いだろ」

「はいはい」


 どうやら2人して百万単位の金を消すつもりらしい。

 あっちの世界で百万単位の酒となると、かなりの高級酒になるだろうけど、それを飲んだ事にして着服とかさ、それがこの世界のスタンダードなのかよ。

 中間搾取が当たり前にあるとは、やはり経済もモラルも何もかもが未熟な世界のようだ。

 このお付の人は領主の信任厚い感じだろうに、それでもこうやって中抜きを当たり前にしようとする。

 魔法の才能が無くて内向きの仕事をしているとは言っていたが、経済観念の才能もどうやら無さそうだ。


「おらおら、飲んでいるか? 」

「ミルクですけどね」

「なら良いんだけどよ、おめぇ、どう思っている」

「貴方に財布は任せられませんね」

「くっくっくっ、そう思うかよ」

「ええ、僕の借金も含めて、出納記録の提出をお願いします」

「そいつは消せるって言っただろ」

「そういう悪しき習慣は感心しませんよ。どんなに頑丈な壁でも、毎日槍で突いていれば何時かは崩れるもの。小さな額でも溜まれば巨額になります。使用人の小さな不正が溜まりに溜まり、領主様の破産の一因にならないとは誰も断言出来ません。少しでも忠誠心があるなら、領主様への反逆にも等しい不正行為は止めておくべきだと思いますよ。この酒場での金も僕の借金に足しても構いませんから、次からは自粛してくれますよね? 」

「ふむ、言われてみればそうだな。よし、次からはそうしような」


 やけに素直に納得したんだけど、もしかして、嵌められたか?


 ああ、使用人適性を量られたのか。

 手癖が悪いとか、金の誘惑に弱いとか、そういうのは使用人には向かないはずであり、僕がどんな性格なのかを量ったのか。

 つまり僕が金を貸してくれと言った事から試そうと思っていたのだとしたら、1週間後の試しになったのもバレない為の方策だろう。

 つまり王都に入る前日という節目での酒盛りというありそうなシチュエーションの中で、小金の着服方法の伝授と言う方式。

 目先の事しか頭になく、金の誘惑に弱いなら引っ掛かりそうな作戦だな。


 だけどさ、知識チートがやれそうな世の中で、他人の金の中抜きをする必要があるかと言う事になるよな。

 まず思い付くのはマヨネーズだけど、どうやらこの世界にマヨネーズは無いらしく、作れば人気の出そうな調味料である。

 その製造方法だけど、ちょっとした小道具があれば、大量生産も夢ではあるまい。

 伊達におたく認定を食らっていた訳じゃなく、そういうのは色々と妄想していたんだよ。


 当時、考えていたのは遠心分離機と泡立て器。


 自転車のようにペダルを踏めば、樽が回転して中の液体を分離したり混ぜて泡立てたりするって方式な。

 油と酢と卵黄を樽に入れ、後はペダルを1時間漕げばマヨネーズになりそうだし、それが牛乳ならバターになりそうだし。

 動力源を水車にすれば自動で作れるだろうし、もし魔法が使えるなら風魔法で風車って手もある。

 また、混ぜる魔導具を発案すれば、それが安価なら人気の品にもなりそうだし。


 業務用の充填材を混ぜる機械のようなのを作り、コンロごと回転させればオートで混ぜてくれる鍋が完成する。

 中に入れるのを板にすれば、それがでかい樽でもやれそうである。

 水車の高トルクででかい樽を回し、攪拌板を入れてやれば簡単に混ぜる機械は拵えられる。

 コンロごと回せば料理にも使えるし、調味料作りにもホイップ作りにも使える事になる。

 街中で川が無いなら魔導具にしてやれば良いだけであるし、その場合はその魔導具の開発からになる。


 ただなぁ、特許の無い世界だからなぁ。


 やるとなれば絶対に信用出来る口の堅い職人を雇うか、自力作成しか方法は無いだろう。

 まあ、事が魔導具に関する事なら、多大な恩のあるあの魔導具屋さんに発注する手もある。

 売れそうだと思ってくれれば作ってくれるだろうし、それが売れたら儲けにもなる。

 その儲けは彼女の儲けで構わないし、その道具があれば調味料作りが楽になる。

 アイデア料を現品で貰い、マヨネーズ作りをやればいい。

 ヒット商品のアイデアを渡せば、彼女への恩返しになると思うんだけど、ひとつやふたつじゃ足りないな。


 だって彼女の厚意は今の僕にとって、命の恩人にも等しい恩恵だから。

 

  

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