第四話 ミルキーウェイの旅立ちと家族の絆
この話で、第一章の最後の話です。
本当は、第一話から第四話では終わらずにもっと話を深く書くつもりでしたが、時間を作るのが下手な為毎日が忙しくて、ほとんど飛ばして書きました。すみません!
送別会の次の日の朝、俺はアラームで【5:00】に目を覚ました。それからロアを起こして、空海とルリンを起こしてもらった。
空海は俺には変わらず姪だが、空海にとってはまだ出会ったばかりのよく知らない男の俺が直接起こすのはまずいと思たからで、ルリンについては言わなくても分かると思うが俺が起こすと朝から機嫌が悪くなるからだ。
まだ眠そうな皆と共に部屋を出て、鍵を閉め階段を下りて行くとピンさんが居て軽めの朝食を用意していてくれた。
「おはようございます。ピンさん」
「ふふふ、おはよう皆」
「「「おはよう」」」
まだ寝ぼけているのか、軽く挨拶をして席に着き食事を始める。
食事が終わる頃には目がちゃんと覚めたようで、皆でピンさんに挨拶してから宿舎を出る。
「ピンさんにはミルキーウェイに来てから、ずっとお世話になりました。今日までありがとうございました」
「お世話になりました」
「…ありがとう」
「ボクもロア姉といられたから、感謝はしてるよ」
「あらあら、うふふ。皆はこれから、楽しい事や嬉しい事が一杯あると思う。けど、辛い事や苦しい事もたくさん起こるはずよ。でも皆で助け合って乗り越えて行って欲しいの、私はこの街で皆の幸せを願っているわね」
ピンさんに送り出されて、宿舎を出て門に向かう。
門が開く時間より少し早いぐらいに俺達四人が門に到着すると、そこにはイービス達を見送った俺達の様に、昨日ギルド本部に集まってくれたフレアさん・バーンさん・エポンさん・セインさん・ヒナ・モカンさんが集合していた。
どうやら、俺達の見送りに集まってくれていたようだ。
ミルキーウェイを出発する予定の時間を伝えていなかったので、俺は正直な話すごく驚いていた。
だが俺達の見送りだという確証がないので、皆が居る事に動揺してちょっとだけ陽気にふるまう事にした。
「皆、おはよう。こんな朝早くに皆が集まってるなんて、何かあるのかな?」
すると皆の中心に居たヒナが、一歩前に出て喋り始めた。
「ユニサス様達の見送りですよ。今日ミルキーウェイを出発すると、昨日仰っていましたが時間を教えて下さらなかったので、門が開く前に集まりました」
「そうか。…皆にも、それぞれの生活があるから敢えて伝えなかったけど、こうなるんだったら伝えておくべきだったな。ごめん、皆」
皆の行為に嬉しくもあり少し気恥ずかしくもあったが俺が素直に謝ると、さっきまで張り詰めた表情をしていたヒナが、あからさまにホッとして体の力を抜いた。
「ユニサス様の事ですから、そんな事だろうとは思っていました」
その瞬間、ヒナの護衛で同行しているだろうモカンさんが一言呟いた。
「ふふ、良かったですね。ヒナ姫」
「!?」
モカンさんの一言に驚いた顔で振り返るヒナ。そのヒナの行動で余計にモカンサンの言葉の意味が気になった。
「?何が良かったんですか、モカンさん?」
「それは…」
「な、なんでもありません!?そうですよね、モカン!」
「ふふ、そうですね。ヒナ姫」
「よく分からないが、ヒナにとって良い事があったのならそれでいい」
俺の質問にモカンさんが答えようとすると、ヒナが必死になって話を誤魔化した。
「それで、ユニサス様。クミちゃんの事、宜しく御願いします。クミちゃん、…ワタクシも一緒に行きたいくらいですが、ワタクシはミルキーウェイを離れるわけにはいかないので諦めましたが、クミちゃんの目的が達成出来る事をミルキーウェイの街から願っています」
「分かってる、空海の事は俺が守るから」
「ありがとう、ヒナちゃん」
ヒナの話が終わるとセインさんが前に出て来た。
「ユニサス様、ロア、ルリン。アナタ達が良き家族になれる事を信じています。ロア、これからも頑張るのですよ。ルリン、ロア以外にも心を許せるようになるといいですね」
「ああ、良い家族になるよ」「…ん」「……ボクは、ロア姉だけでいい」
セインさんの前で家族契約をしたので、セインさんは主従ではなく家族になる事を信じてくれているようだ。次に会う時には炉跡もルリンとももっと家族として仲良くなれるように心がける事にしよう。
次にエポンさんが前に出て来て俺にニカッと笑って話しかけて来た。
「ユニサス!次に行く街には、ウチのアネキと姪っ子がいる。そしてアンタの気に入ったブロンズナイフを作ったのは姪っ子だ!アネキ達によろしくな」
「分かりました」
エポンさんはそう言ってすぐに後ろに下がった。エポンさんに代わって、フレアさんとバーンさんが前に来た。
「三人には、それぞれに合った訓練をした!皆ちゃんと成長した!今後はずっと実践になるだろうが、アンタ達ならやっていけると信じているよ!だからこれからも頑張りな!」
「「「はい!」」」
「ハァ、…ワタシから言う事は無くなりましたね」
フレアさんが熱かったのでバーンさんは何も言わなかったが、気持ちはフレアさんと一緒だったのだろう。
話がひとまず終わり門に近づいて行くと門が開き、クーリさんが詰所から出て来た。
「ユニサス君、おはよう。今日でユニサス君を見送るのも、最後なんだね。なんか少し寂しいな」
「クーリさんにも、色々とお世話になりました。ありがとうございました」
みんながクーリさんにIDを見せ、門を潜り抜けて後ろを振り返る。見送りに集まってくれた皆に頭を下げてから「ありがとうございました」顔を上げてから「行って来ます!」と大きな声で言った。
みんなは大きく手を振ってくれた。
❖ ❖ ❖ ❖ ❖
あれから数日が過ぎた。
街道にはいくつも井戸が存在し、そこで休憩をとりつつ少しずつ街道を歩いていた。
食料は街道付近で感知スキルによって見つけた動物を狩ったり、一日の終わりの最後に寄った井戸で、テントを張り草むらで探したりして過ごした。
空海は田舎育ちで、山なんかでもよく遊んでいたから体力には少し自信があったようだが、自転車や車など乗り物があった日本と違い、何処に行くにも徒歩のこの世界では体力がない方なのだと一日目で思い知ったようだ。
俺自身は、この世界の肉体を得たからか若い肉体だからか慣れかは分からないが別に辛くはなかった。
ロアとルリンにとっては日常的な事なのだろう、いったて普通にしていた。ロアは俺の横に居たり、少し走ってくるんと回って振り返ったりとよく分からない行動をしていて、その度になぜだかルリンが俺を鋭い目つきで睨んでいた事が、俺にはよく分からなかった。
そして今、目の前には森が広がっている。
フレアさんの話では、この森を抜けると鉱山に囲まれた次の街・ガイアンが在ると言う事だった。
「この森を抜ければ次の街だ。もう少しだけ頑張ろう」
「…ん」
「フン!」
「…徒歩だけで旅するのって、結構大変だね。でも、あと少しなら頑張れるかな♪」
ロアとルリンは心配なさそうだけど、空海だけはもう限界が近そうだ。早く街で休ませてあげたい、この先街に着くまで何もなければいいが。
森に入ったが、一日では森を抜けられそうになかったので、木々の間が広い場所を探しているた。
すると前方から、鼻息が荒いビックボアがこっちに向かって走って来ていた。そのビックボアを視認すると同時に、ルリンが飛び出して行く。
「ロア姉見ててね!僕一人でも、ビックボアなんて楽勝だから♪」
ルリンの速度はワービーストだからかとても速かったし、先頭を歩いていた事もあり俺やロアでも止める事が出来なかった。
ロアにもう疲れ切っている空海の護衛を頼み、俺はルリンとビックボアに近づいて行く。
ルリンの気持ちもあるし、俺が手を出すとルリンの意識が俺に向いて逆に邪魔になってしまうので、すぐに助けに入れる距離を保ち見守る事にした。
ルリンはビックボアの動きを完全に把握して、闘牛士のように避けては攻撃するという行為を数回繰り返し、最後には真正面からビックボアの顔面に武器を突き刺した。
ビックボア自体数回の攻撃で体力を削られていたようで、最後は勢いを失っていたので止めを刺された瞬間にドスン!とその場に崩れ落ちた。
「ァ、ハァ。ほらね、ロア姉!ビックボアは、ボク一人でも倒せるんだよ!コイツは全然凄くn」
「ッ、危ない!」
ルリンがロアの方を向いて気を抜いた瞬間に、ルリンの頭上にあった枝から強い気配が生じた。枝の上からルリン目がけて飛んで来たのは、口を開いた状態のビックスネークだった。
ルリンを守りたい思いと初めて見る魔物だった事で、俺は迷う事無く全力全開スキルと【風・風向】魔法で向かい風と風の抵抗を無くし、背中からは追い風を出した。
ビックスネークより先にルリンのもとに着いた俺は、包み込むようにルリンを抱き締めてビックスネークに背中を向けた。
その直後、左肩に強烈な痛みが走りそこから燃える様な熱が発生し始めた。
痛みを我慢して左を向くと、左肩に噛み付いているビックスネークと目が合った。その瞬間恐怖が俺を支配して右手に持った武器で、ビックスネークの頭と胴体を切り離していた。これは全力全開スキルによる強化があったから起きた事だった。
「「大丈夫!?」」
離れていた空海とロアが、走って近づいて来る。心配する声だったので抱き締めているルリンを見ると、震えていて顔は真っ青だが怪我はしていないようだ。
「…大丈夫、ルリンは・無事・・だ」
自分でも驚く事に、発する言葉が途切れ途切れになってしまった。そう言っている間にも、空海とロアが近づいて来て俺達のもとに着いた。
「ッ、酷い出血!?ユニサス君、どうしたらいいの!?」
「・・たぶ・ん、体中に・毒が・・回ってる・から・・・解・毒・・魔・・法を・・・たのm」
「…し、死なないでユニサス!?」
空海とロアの声が、少し遠く聞こえる。空海は俺の体中に魔法を掛けてくれているようで、体から燃える様な熱が無くなり一気に体が冷えていく。
その時腕の中でルリンが動き、俺を見上げるように見てきた。
「な、なんで…ボクを……庇ったの」
「家族だからに、決まってるだろうが」
と言って俺は意識を失った。
❖ ❖ ❖ ❖ ❖
目が覚めると、全力全開の反動か血を失い過ぎたせいか分からないが、体中がだるかった。
俺を囲むように左から空海・ルリン・ロアの順に並んでいてロアは起きていた。
「…あれから、どうなったんだ」
「…空海が、……変な力で…ユニサスを治した」
「そうか」
空海の変な力と言うのは気になるが、全員が無事のようで良かった。
「…ロアが見張りをしていてくれたのか?」
「…ん。……ジブンは、…何も出来なかったから」
「ありがとう。あとは俺がするから、ロアも寝てろ」
「……ん」
それから皆が起きるまで、仮眠スキルの在る俺が見張りをしていた。
空海は目が覚めて俺と目が合うと、数秒ボーっとしてると思ったら目を大きく開けた。
「・・・ユニサス君大丈夫!?まだ痛い所とかない!?」
「大丈夫だ。空海が治してくれたんだろ。ありがとな」
「よ、良かった~」
「・・・俺が守るって言ってたのに、空海にすぐ助けられちゃったな」
「!?」
そう言いながら空海の頭を撫でていた。俺もまだ疲れていたようで、日本でしていたように空海に接してしまっていた。
空海も、突然俺に頭を撫でられてとても驚いた顔をしていた。
「わ、悪い。・・・前話した子達にしていた時の癖で、つい頭を撫でてた」
「・・・き、気にしないでいいよ。私も叔父さんに褒められた時の事思い出して、なんか嬉しかったから♪」
ドキッ!として目を逸らすと、俺の膝の上で寝ていたルリンが動いた。ルリンが、また俺を見上げるように顔を上げた。俺と目が合うと顔を赤くしてすぐに目を逸らした。
「も、もう大丈夫なの」
恐る恐るという感じに、ルリンが聞いてきた。
いったい俺が寝ている間に、何があったのだろうと思うぐらいルリンが大人しい。
俺に聞いているようで俺に聞いていないのではと周りを見るが、空海は立ち上がって体を伸ばしているしロアはまで寝ていた。
「・・・あ、ああ!俺はもう大丈夫だぞ」
チラチラと数回見て、ルリンは一度息を吐いた
「・・・ふ、良かった♪」
「!?」
ルリンの言動と可愛い笑顔に俺が驚いていると、ルリンも俺の膝の上から立ち上がって俺に背中を向けたまま何かをしている。
来るっとこっちを向いたルリンは両手を前に出して一言こう言った。
「・・・どう、似合う?……ユニ兄♪」
「!?ああ、凄く似合うよ。ルリン!」
ルリンの両手を包んでいたのは、俺がプレゼントしたフィンガーグローブだった。
何がルリンの心を動かしたのかは、俺には分からないが。これでルリンとも家族になれたと、実感していた。
出来ればの話ですが、来年には大幅に内容を書き換えた改稿版を上げようかなと考えています。一度思い付きで内容を書き込んで後から読むと、こうした方が良かったな~と考える事が多々あるからです。
まぁ、こっちの話が大元になるので、もしそうなってもあまり気にしなくて大丈夫です。
誤字脱字、変な表現などありましたらご指摘ください。




