閑話 《ロア》
皆さんは、日々どうお過ごしでしょうか?
私は、極力エアコンを掛けないようにして過ごしています。なので、暑くて執筆が遅くなっています。
ですが、少しずつ少しずつ執筆して投稿していきます。なので、気長にお待ち下さい。
ジブンの名前はロア。シンジュ大陸のイサ村で、初めて生まれたエンジェの娘。母と同じ紺の髪に銀の瞳、そして豹種のワービースト。
物心ついた頃に聞いた話だが、ジブンが村で生まれた初めての子供だからと、村の人達が毎日のように我が家を訪ねて来ては、ジブンの面倒を見てくれていたらしい。
そして二年後に、イサ村に二人目の子供がやって来た。それは母の幼馴染で親友の、アンさんの娘。ルリン。
その時の母達との会話が、ジブンの記憶に少しだけ残っている。
「ようこそ!ここがイサ村よ、アン」
「ありがとう!エンジェ」
「…いらっしゃい。…アンちゃん」
「ありがとう!ロアちゃん♪…ロアちゃんにお願いがあるの、ルリンと仲良くしてあげてね♪」
「…うん」
「ふふ♪ロアも、もうお姉さんね♪」
「そうね♪よろしくね、ロアお姉ちゃん♪」
「…お姉ちゃん!?……分かった」
それからジブンは、よくルリンの世話をしにアンさんの家に行き。そしてルリンが大きくなったら、よく一緒に遊んでいた。
「あらあら、ロアちゃんとルリンちゃんは今日も仲良しね♪」
「うん♪ロアお姉ちゃんとボクは、普通の姉妹より仲良しなんだ♪」
「…ん。仲良し」
「あらあら♪…でも、遊ぶなら村の中だけよ」
「分かってるよ!」
「…ん」
毎日のように、こんな平凡で平和な日々を過ごしていた。
だがあの日、村に魔将クベアラと名乗る魔族が現れた。
「この村で一番強い者と戦いたい!もし出て来ない場合や、その者が弱かった場合。村を破壊し、村人を皆殺しにする!」
クベアラがそう言ったので、村で一番強いルリンの母親のアンさんと二番目に強いジブンの母のエンジェが前に出た。
そして他の大人達がジブンとルリンを隠しながら、必要な物資をよく買いに行っている近くの街に逃げるように言った。
ジブンはこういう事が起きた場合、街にいる母達の友達のエルフの女性達を頼るように、母に言われていたのでルリンを連れて急いで向かった。
街に着いて、すぐ母達の友達のキャロさんとロニスさんに会った。そして事情を話して、ジブンとルリンを匿ってもらった。
「…お世話に、なります」
「…ロア姉、……母さん達……大丈夫…だよね?」
「大丈夫よ!エンジェとアンは、強いから!」
「そうだよ~!あの二人の実力は~、ワタシ達がよ~く知ってるから~!」
「……ん!…大丈夫だよ、ルリン!…グスッ!」
それから数日が経ち。冒険者達が見に行ったら、イサ村が無くなっていた事をロニスさんから聞いた。
「……残念だけど、イサ村は跡形もなく破壊されていたらしいの」
「……う…そ!?…嘘…ですよね!」
「………」
「…じゃあ、母さん達や村の人達は…いたの?」
「誰一人、発見出来なかったそうよ」
「そんな!?…じゃあ、ボク達はどうすれば!?」
「その事なんだけど。もしもアナタ達だけが生き残った場合。アナタ達をどうしてほしいのかは、アタシ達に言っていたから大丈夫よ。だから、アタシ達に付いて来てほしいの」
「…ん。分かった」
「…ロア姉。…グス、ヒック」
キャロさんとロニスさんは、母達の遺言だと言いジブン達を奴隷にし、ミルキーウェイに連れて行くと言っていた。
なのでこの日、ジブンとルリンは奴隷になった。
(母達との約束だから!ルリンは、ミルキーウェイまでジブンが守る!)
それから一ヶ月掛けて、シンジュ大陸からセイヤ大陸に渡った。
そしてセイヤ大陸で、ジブン達と同じ境遇のワービーストの女の子二人を一緒に連れて行く事になった。
「この子達もアナタ達と同じで、魔将クベアラによって村を破壊され。村人全員によって、逃がされた子達よ。仲良くしてね」
「…ん」
「ふん!ボクは、ロア姉がいればそれでいいもん!」
「……お肉」
「あ、あわわ!」
「楽しい~、旅になりそうだね~♪」
「はぁ~!?どこがですか、キャロさん!」
また一ヶ月掛けて、今度はセイヤ大陸からヒタ大陸に渡った。
「ちょっとこの街に用があるから、数日滞在するわよ」
「?…ん」
「ふん!ロア姉がいれば、ボクはどこだっていいよ!」
「お腹減った」
「は、はいです!」
「やった~!嬉しいなぁ~♪」
キャロさんとロニスさんの用で、ヒタ大陸のシリンと言う街に数日滞在した。
その後は、特に何もなく。ミルキーウェイに着いたのは、奴隷になってから四ヶ月が経つか経たないかといったところだった。
(ルリンを、無事にミルキーウェイまで連れて来れてよかった。もうジブンは、母の所に行ってもいい?)
それからジブンは、生きて行く事に絶望していた。そして毎日のように、階段に座って階段の下を眺めていた。
すると。一人の女性が勢いよく走って行き、その後に男の子が走っていた。その男の子と、一瞬目が合った気がしたが。彼は、何も言わずに女性を追って走って行った。
数日後。奴隷施設に彼が訪れて来て、ジブンがお昼寝していた階段裏に来た。
彼は、ユニサスと名乗り。「俺の話を聞いてくれるかな?」と、言ってきたので聞く事にした。なぜこの時、ユニサスの話を聞く気になったのかは今も分からない。
ユニサスの話は、今のジブンと同じで世界に絶望した話だった。だがユニサスは、最後に少女達に救われたと言っていた。
でもジブンは、ミルキーウェイまでルリンを連れて来れた事でもう心残りが無かった。
しかし最後のユニサスの一言で、胸の奥が熱くなるのを感じた。
「!?…俺はまだ、新人冒険者になったばかりだけど。もし、お金が貯まったら。その時は、君を迎えに来るよ!その時、もしロアがよかったら。俺の、家族になって欲しい!」
「!?!?」
(い、いきなり愛の告白!?でも、まだ出会ったばかりだし!?もしかして、ジブンが母親になるの!?)
突然の事で、パニックになってしまった。だが確かに、ジブンの生きる目的が出来た気がした。
その後すぐにルリンが間に入って来て、ユニサスとの話は終わってしまい。そしてユニサスは、ユニサスを呼びに来た男の子と帰って行ってしまった。
だが、数分後。ユニサス達は、さっきの男の子とコハクとレオナの主従契約の儀式のために戻って来た。
そしてユニサスが儀式を見学すると知り、ジブンもユニサスの隣で見学する事にした。
それから儀式が終わり、お昼をユニサス達と食べに出かける事になった。食事を終えて奴隷商に着くと。セインさんが気を利かせてくれて、ユニサスからブロンズナイフをプレゼントして貰った。
ただ、そのブロンズナイフを製造した女の子にユニサスがお礼を言いたいと、言っていた事が少し気掛かりだったが、ジブンはとても嬉しかった。
(このブロンズナイフは、使いたくない。大切な物だから)
それから毎日のように、ユニサスは奴隷商を訪れてくれた。そして、日々の他愛のない話をしてくれたり。マヨネーズと言う、調味料を作ってくれたり。一緒に街に出かけたりした。
そして、あの日。森でビックボアが目撃されて、ユニサスは自分から依頼を受けた。そしてユニサスは、ビックボアを討伐しに森に行った。と、セインさんから聞いた。
セインさんがユニサスでは、もしかしたら死ぬかもしれない。と、言っていた。ジブンはとても怖くなり、久しぶりにルリンを抱きしめていた。
「…ルリン!?」
「!?ど、どうしたのロア姉!?」
「…ユ、ユニサスが!?……ユニサスが、死んじゃうかもしれないって!?」
「!?…大丈夫だよ、ロア姉。ボクは、アイツの事は嫌いだけど。…アイツは、ロア姉を悲しませたりはしないよ!もし、そんな事をしたら!ボクが、アイツを絶対に許してやんないから!」
「!?…ルリン、ルリン!」
そして、ルリンを抱き締めながら泣き続けて。涙が枯れてきた頃、セインさんが来た。
「ロア。心配させるような事を言ってしまって、すみませんでした。今ユニサス様が、冒険者ギルドに帰って来ましたよ」
「!?…本当ですか!?」
「ええ。今は冒険者ギルドの裏の訓練所に、向かったようでした。行って来なさい!」
「…はい!」
「…ボクも行くよ!」
ユニサスは、何事もなかったように訓練所にいた。そして初めてユニサスの魔法を見て、ユニサスは凄い人なのだと知った。それにルリンの、ユニサスを見る目が少し変わった気がした。
その後ユニサスは、ジブンとルリンを湖まで連れ出し。そして湖の畔で、ビックボアのお肉でバーベキューを始めた。
その時、ジブンもルリンも少し手伝ったが。あとから来たユニサスの知り合いに、仕事を取られてルリンは少しガッカリしていた気がする。
その後も、街の人達が集まって来て。ビックボアのお肉で、大きな宴会のようになっていった。
最後に、お城の兵士の人が来て。「王様のために、ビックボアの肉を少し分けてくれぬか?」と、言ってきた時に。ユニサスが言った。「それに、誰かのためを思って。行動している人を、拒めませんよ。」と、言う言葉で。ユニサスの優しさや強さを感じて、ユニサスの家族になりたいと強く思った。
(ジブンは、ユニサスとずっと一緒にいたいから!ユニサスが迎えに来てくれるその日まで、ジブンは戦いの腕を磨く!きっとユニサスは、凄い事をする!だからジブンも、家族としてユニサスの役に立ちたい!)
それから奴隷商にある訓練所で、初めはフレアさんに短剣で戦う力と大切な者を守る技術を教えてもらった。その技術を身に付けるために、朝から晩まで訓練を始めた。そしてルリンもいつの間にか、一緒に訓練を始めていた。
ユニサスがくれた居場所。ユニサスがくれた温もり。ユニサスがくれた生きる希望。
(そして、大切な愛しい旦那様。……ユニ様♪)
誤字脱字、変な表現などありましたらご指摘ください。
2017/11/28 改稿しました。




