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後輩とのやくそく

目を覚まし、自らが玄関先で眠っていた事が分かれば、何時間か前に白師に用事があるなら三時に電話しろ、と言った事を思い出す。


急に倒れた為に鼻先が痛い、やはり約四日間も寝ずに働けば、倒れるに決まっているか。


さて、一息ついた所でリビングにへと足を運ぶ、リビングは大体簡素な背景で、簡易ベッド以外は何も置かれて居ない。


唯一つ、ベッドの直ぐ下に置かれたデジタル時計で現在時刻を確認する。


時刻は午後の二時、予定した起床時間より一時間早く目覚めてしまったらしい。


身体状態を確認確、何処にも体の気だるさや苦痛は無い、至って健康状態だ。


一応として、右手の脈を計る―――大丈夫、三年前と同じ、異常は無い。


体の状態を確認すれば、次は腹の足しだ。


"魔道書"回収による任務により、二日前から何も食べていないので、起きてみて気が付いた。


基本的に士護帳荒哉に肉体構造は人間と同じなので、食べ物を食べなければ死んでしまう。


その為、人間の限界点である三日以内に食事を取らなければならない。



「……食堂って、二階の娯楽フロアだったか?」



基本任務前には地上のファーストフード店で済ますが、其処まで歩くのは面倒だ、何より、体が持たないだろう。


相変わらず、自分の体と言う感覚も無いまま、俺は急かす様に娯楽フロアへと向かった。








――――








昼食頃を既に過ぎた午後の二時、昼飯を食べ終えた客が席を立ち、今では極一部の人間しか居座っていない。


焼きそばの食券を購入して、食堂のカウンターへと持っていく、カウンター外からは汗を拭きながら食器を片付ける厨房の叔母ちゃん。


此方に気が付いた叔母ちゃんに、俺は食券を渡して焼きそばを乗せた盆を渡される。


時間帯が時間帯の為に座れる席は余り余っている、食器洗い場に一番近い席に座り、温泉卵の乗った焼きそばを、ただ無心になって貪る。


味覚は正常だ、質素な食物を今だ美味だと感じれる。


焼きそばの半分を食らっている最中、不意に熱の篭った視線を感じて後ろを向けば、鼻を擽らせる、ほのかな甘い香水の匂い。



「あ、お邪魔しちゃいましたか?センパイ」



その香水の匂いは、後ろに立っていた古衛らしい、古衛は鯖の味噌煮定食を頼んでいるらしく、香水の他にも、味噌の匂いが漂い始める。



「隣、いいですか?」



何故か古衛は、この席の開いた食堂に、敢えて俺の隣に座るのか、言動に疑問を浮かばせる。


けれど断る理由も無いので、肯定として必要最低限の言葉を交じわす。



「………あぁ、いいぞ」



古衛はやった、と柔和な笑みを浮かべて俺の隣の席へ座る、俺も冷めない内に焼きそばを食いながら、横目で古衛を見入る。


鯖の白身を箸で摘んで、口に含める、その度に食事が堪らなく好きだと言わんばかりに笑顔を浮かべる。



「ここの食堂って美味しいんですね、二日前に此処に着任したんですけど、地上のジャンクフード店で済ませちゃったので……ん、士護帳さんは、この食堂へ来るんですか?」


口元を手で押さえながら咀嚼した物を飲みこんで、再び喋り出す。


俺は必要最低限の食事しか摂らない、一日の食事の量も、一日のカロリーを摂取できれば一食でも十分だし、食べなくても三日は通常通りの動きが出来る。



「……まぁ、な三日に一度は来ると思う」



「それって、此処だと多いんですか?部屋にも一応キッチンとかありますし………」



王立魔道図書館は"魔道書"の発見次第で仕事が決まる、それ故に、手間と時間のかかる料理は基本行う人間は極小規模だ。


食堂であれば注文をキャンセルすれば事足りるが、自らが料理を作るとなれば、料理の材料を放ったまま仕事の用事で三日や一週間が過ぎることもある。


それ程の時間があれば材料を傷める可能性もある訳だから、基本的にはファーストフード店か食堂で済ます方が良識らしい。



「……まあ、暇があれば作ればいいさ」



はい、と俺の言葉を鵜呑みにする、言葉足らずだが、其の内回収任務が下れば、意地でも料理をする事が無駄になる事を分かるだろう。



「じゃあセンパイ、今度料理作るので、食べに来てください!こう見えても私、お料理教室で褒められた事あるんです!!」



……いかにも面倒なイベントだ、けれど、後輩の無邪気な笑顔を壊すこともあるまい。



「暇な時間、にな」



「はい!!」



自分の後輩は心底嬉しそうに頑張ります、と意気込んだ。


焼きそばも食べ終えた事だし、ここら辺でお暇する事にしよう。










訂正しました、若干話が変わったと思いますが気にしないでください



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