表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/19

第7話   体育会 そして……

「体育会開催~!」


生徒会長の白石先輩が、マイクを通して言った。


そう、今日は体育会。勿論、保護者もたくさん来ている。

俺は勿論女のままだ。ちなみにまだ完璧に心が、女にはなってないので安心。


この学校はなぜかくそ暑い、真夏の時期に体育会をする。生徒は「ふざけんなよ」とか「だりぃ~」とか言っているが、いざ始まると皆楽しんでる。

だいたいそういうもんだよな。俺も楽しい。

ていうか他のクラスとか、違う学年の奴が俺をチラチラ見てくるんだが……。そんなに目立つのか? 俺。まあ、カワイイんだろう。


~~~~~~~~~~~~~


まず俺が出場する競技は、『クラス対抗リレー』だ。ちなみにうちの学校の体育会は各学年、一クラスずつがチームになり戦う。俺のクラス――――2-Cと一緒のチームは1-Cと2-Cだ。偶然にも三クラスともC組だった。3-Cも一緒なので、姉ちゃん、優樹(まさき)先輩、白石先輩とも一緒のチームだ。


パーン!!


うおっ。ビビった。どうやら、ピストルがなり、第一走者が走り出したようだ。



「はあ……。はあ……」


俺は走り終わり、両手を膝について、肩で息をしていた。

やべえ……。体力が全然ない。やっぱ『女』になって体力も落ちてるのか……。こういうとこは不便だな。


そうこうしているうちに、(あかり)が走っていた。次は、翔太でアンカーだ。

星は2-Aとデットヒートを繰り広げている。これは翔太の結果で決まりそうだ。

そして、星が翔太にバトンを渡し、それとほぼ同時に2-Aもアンカーにバトンが渡った。

「翔太行けー!」「翔太君頑張って!」

クラスメイトから激励の声援が飛ぶ。そして、それに応えるかのように、2位との差を広げていく。

よし、これはいける――――あっ! 転んだ!

そしてあっという間に2-Aのアンカーに抜かれる。

「おい!」「バカ野郎……」「見損なったよ……」

クラスメイトが落胆の声を出す。


結果は2位でした。


~~~~~~~~~~~~~~


「すいませんでした……」


俺らが退場した後、翔太は正座になって、皆に囲まれていた。


『…………』


皆、無言だ。


「おい、お前らなんか言えよ! 怖えよ」


「チッ!」


「おい、誰だ! 舌打ちした奴! 止めてくれよ……」


やべえ、すげえかわいそう。


「ま、まあ。翔太もわざと転んだわけじゃないんだし……」


俺が翔太をフォローすると、皆もしゃべりだした。

「まあ、そうだな……」「まだ始まったばかりだし」

そう言って、皆、自分の応援席に戻る。


「翔太、行こ?」


俺は翔太に微笑みかけ、手を差し出す。


「ありがとう、楓!」


「うわっ!」


翔太が俺に飛びついて来た。

やべえ! やべえ! 仮にも好きになりかけている男子に抱きつかれるとかやべえ! てか胸が翔太に当たって……。


「ん? どうしたんだ楓? 顔赤いぞ?」


俺から離れると、翔太は心配そうに言った。

いや、そりゃ赤くなるだろ! 自分でも分かるよ、顏が熱いもん!


「こ、これは……。日差しが強いから……」


俺が動揺しながら言うと、翔太は空を見て言った。


「あー。今日暑いからな」


「うん……」


すると放送がなった。


『2-Cの神崎翔太君。至急本部まで来てください』


「そうだった……。生徒会の仕事があるんだった。じゃあ、俺行くわ」


そう俺に言って、翔太は本部に向かって走り出した。


俺はその後ろ姿をしばらく見続けた――――


~~~~~~~~~~~


昼食を食べ終わり、午後の部が始まった。

午前、いくつかの競技に出た俺だが、午後には俺にとって、とても大事な競技があった。

それは『二人三脚』だ。それも男女ペアの。

俺は元々この競技に出る予定はなかったのだ。ただ、星が生徒会の仕事で出られなくなったので、俺が急遽(きゅうきょ)出る事になったのだ。


「よし、行くぞ。楓」


俺と一緒に入場していくのは翔太だ。そう、星のパートナーは翔太だったのだ。翔太がパートナーだと知った時、俺はめちゃくちゃテンパった。それと同時に嬉しくもあった。


入場し終わり、第一グループがスタートした。この競技はリレーではなく、それぞれグループごとで戦う。


そうこうしているうちに、俺達のグループの番。


パーン!!


ピストルの音と同時に俺と翔太は進みだした。


それからは順調に進んで行って、障害物もあったのだが、それも順調にクリアして、1位でゴール近くまで行った。するとゴール近くの所には、風船があった。

え? 何すんの? いや、だいたい想像つくけど……。

すると放送がかかった。


『はい、最後は風船をペアに割ってもらおうと思います!』


やっぱり……。


「よし、じゃあ割るぞ」


「!?」


翔太が風船を持って、お互いの腹に挟んで割ろうとしてきた。


「ちょ、ちょっと待って!」


「え?」


俺は翔太が居る方とは逆の方を向いて、深呼吸をした。

大丈夫。ちょっと抱きつく感じになるだけだ。落ち着けば大丈夫。

俺は翔太の顔を見て言った。


「よし、いいよ。風船割ろ?」


「お前……。口調が……」


「ん?」


「いや、何でもない」


そう翔太は言うと、風船をお互いの腹に挟んで、風船を割ろうとする。

なんか抱きつく感じになって恥ずかしい。めちゃくちゃ顏熱い。絶対真っ赤だ。


「んっ」


声が漏れてしまう。翔太に聞かれてないよな……。

それからさらに力を入れる。


パーン!!


風船が割れた。


「よしっ行くぞ」


「うん」


そしてゴールした。見事一位だ。


~~~~~~~~~~


「体育会閉会!」


白石先輩が全校生徒の前で言って、体育会は幕を下ろした。

結果は一位だ。三年生が一位を取りまくってくれたおかげだ。


~~~~~~~~~~~


俺は家に帰り、翔太が言った一言を思い出した。


「お前……。しゃべり方……」


この言葉がどういう意味なのか俺は分かっている。口調も『女』になってきているのだろう。

なぜか話す言葉が女の口調になってしまうのだ。しゃべることを意識すれば大丈夫なのだが、意識しなかったら、女の口調になってしまうのだ。



「俺はもう自分が『女』だとはっきり認めた方がいいのかもしれない」

夏休みに入ったけど何もすることがないぜ……


誤字脱字があれば教えていただけると幸いです。

評価などお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ