第13話 勉強合宿2日目 『肝試しとお風呂』
勉強合宿二日目、昼過ぎ私達はしっかりと勉強していた。上級生は自らの勉強をしつつ、私達に勉強を教え、私達(特に私)は咲夜に勉強を教えていた。思いの他はかどる。
まあ、勉強については他に書くことがないので、これで終わり。
夜、私達は肝試しをすることにした。この旅館の近くには林のような所があって、よく肝試しされているそうだ。
そして私達はスタート地点に来ていた。
「きっもだめし~。きっもだめし~」
「ちょっとはしゃぎすぎだぞ……」
翔太と手をつないでいるのは沙羅だ。この沙羅と言う女の子は翔太のいとこで、現在小学1年生のとてもかわいい女の子だ。優樹先輩よりも翔太になついているらしく、さっき私達が肝試しをするという噂を聞きつけて、こちらにやってきた。
沙羅は私達と初めて会うのだが、先ほど翔太と話していると「翔太お兄ちゃんの彼女?」とか言われて驚いた。
翔太はすぐ否定したが、私は何か悲しくなった。
「ねえねえ楓おねえちゃん」
沙羅が私のもとにやってくる。
「なに?」
優しい口調で私はしゃがんで沙羅の視線に合わせる。すると沙羅は小声で耳打ちしてきた。
「楓おねえちゃんって翔太おにいちゃんのこと好きでしょ?」
「!?」
唐突に言われたので声も出ない。
「ち、ちがうよ~?」
「うそだ~。だって楓おねえちゃん、翔太おにいちゃんの事チラチラ見てるでしょ」
「……」
その通りです。まさか子供に気づかれるとは……。他のみんなは気づいてないよね?
「この事絶対に他の人に言っちゃダメだからね?」
「え~? どうしよっかなぁ~」
「ダメだからね?」
つい圧力をかけてしまう。
「わ、わかりました……」
「よし!」
私は沙羅の頭をなでる。咲夜と違う感じだが、これはこれで気持ちいい。
すると、トコトコと沙羅は、どういう組み合わせで行くか、話し合いをしている翔太たちのもとへ向かっていった。
何をする気?
「翔太おにいちゃん」
沙羅が翔太の服の裾をクイクイと引っ張る。
「どした~」
翔太が沙羅の目線に合わせて沙羅に対応する。
「わたし、翔太おにいちゃんと楓おねえちゃんと一緒に行きたい!」
「!?」
私は驚く。翔太は
「そうだな~。まあ星と行きたかったけど楓といるのも楽しそうだしな……。いいぞ~」
「ありがとう!」
沙羅はトコトコとこちらに戻ってくる。
「やったね。おねえちゃん!」
私は沙羅をギュッと抱きしめる。
「よくやったよ……」
そして沙羅の頭をもう一度なでる。
「えへへ~」
気持ちよさそうな声を沙羅があげる。
「あ、あの。お姉様……」
「うん?」
私は咲夜の方を向く。咲夜は(´・ω・`)としてしまっていた。
「私はお姉様と一緒に行けないのでしょうか……?」
「あ、ごめん……。咲夜は我慢してもらえるかな……?」
「はい、分かりました……」
「そんなに落ち込まないで……! 今度一緒に遊ぼう?」
すると咲夜は顔を明るくして答えた。
「はい!」
言っちゃ悪いけど、扱いが簡単すぎる。かわいいけどね。
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そして、なんやかんやで肝試しスタート。
まず、会長と優樹先輩が林の中に進んでいく。道のりは林の奥の神社でお参りして戻ってくるという物だ。
私、翔太、沙羅以外はくじで組み合わせを決めた。
てか、なんだかんだ言って会長と優樹先輩ってお似合いなんだよね……。このまま付き合ったらおもしろいんだけど。
そして入れ替わりでお姉ちゃんと咲夜がスタート。帰ってきた会長と優樹先輩は何かいい雰囲気だった。これは……何かありましたね?
そしてお姉ちゃんと会長が帰ってきた。咲夜は顔が赤かった。多分お姉ちゃんからセクハラをうけたのだろう。ドンマイ。
「よし、行くか」
「うん」
私、翔太、沙羅は林の中を歩いて神社を目指す。
「ねえねえ二人とも」
「なに?」
「なんだ?」
「手つなご!」
「いいよ」
「いいぞ~」
沙羅が真ん中に入り、その両横が私と翔太という状況になった。そして手をつなぐ。
「ちがうちがう」
「「え?」」
沙羅はそう言って翔太から手を放し、私だけと手をつないだ。
え? どういう事?
「翔太おにいちゃんは変態さんだから手はつながない」
「心に刺さる一言だぜ……」
「そのかわりに楓おねえちゃんが翔太おにいちゃんと手つないで?」
「えっ!?」
「楓、ここは沙羅にしたがっておこうぜ」
そう言って翔太が私に手を差し出してくる。
「え、うん……」
私は沙羅とつないでいる方とは逆の手で翔太と手をつなぐ。
うわぁ……。翔太と手、つないでるよ……。手汗出てないよね……?
私は恩人の沙羅を見た。沙羅は手を『b』にして笑っている。ありがとう……。私も『b』で返した。
「何してんだ? お前ら」
「な、何でもないよ?」
「そうだよ~。楓おねえちゃんの気持ちを考えただけだ「ちょっと!」
私は沙羅の口をふさぐ。
「? まあいいや、行こうぜ」
良かった。伝わってないみたい。……でもいつかは伝えなくちゃいけないんだよね、この気持ち……。いつ、『男』の私と入れ替わるか分からないんだから……。
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神社から戻ってきた時、皆が「!?」となっていたがそこはうまくごまかしておいた。
そして現在私達は大浴場にいる。昨日は男子が覗こうとしてたらしいが、さすがに今日はしないだろうと言うことで、特に警備もしていない。
「わーい!」
沙羅がはしゃぐ。
「ほら、落ち着いて」
私は沙羅を静止させる。
「むー!」
ジタバタする沙羅を私は抑え込む。
「ほら、頭洗ってあげるから……」
「うん!」
「あの……。お姉様……」
「なに?」
「もしよければそのあと、私の頭も洗ってはいただけませんか?」
「うん、いいよ」
「ありがとうございます……」
こうして私は女子とイチャイチャした。
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――翔太視点――
「行ける……」
「やっぱ行くのか……」
昨日と同じ場所に俺と兄貴は来ていた。そして今から覗く。
「ねえ、兄貴……」
「何だ?」
「沙羅の声が聞こえる気がするんだけど……」
「そうだな」
「いや、『そうだな』じゃなくて、何かヤバい気がするんだけど……」
「そんなの知らん」
「ええ~……」
「じゃあ行ってくる」
「逝ってらっしゃい」
すると兄貴は俺の手を掴んだ。
「え?」
「お前も行くぞ」
「え、ちょっと!」
振りほどこうとするが全然振りほどけない。
そして兄貴がドアを開けた。
大丈夫だ。落ち着け俺。湯気がすごいから見えないはずだ。大丈夫。
そして俺は中を見た。そこにあったのは女子たちの裸。あれ、湯気は? 昨日が特別多かっただけ? 兄貴もまさか見れるとは思っていなかったようで固まっている。
すると女子たちが俺らに気づいた。
そしてそこからの記憶はない。
俺、終了のお知らせ。
友達って何なんだろうか……
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