第一章
人が死にます。
ご注意ください。
俺は気がつくと駅に立っていた。
さっきの神と名乗っていた少女の事はきっと夢なんだ。
俺は疲れてるんだ・・・・そう思った。
でも、そうじゃなかった。
「おい!誰かが線路に落ちたぞ!」誰かが叫んだ。
「早く電車を止めて!」
その時ちょうど運悪く電車がホームに入って来るアナウンスが流れた。
「駅員はどこだ?」周りがざわざわし始めた。
「助けなきゃ!」
と、駅に居る人達は言うものの誰も自分から助けに行こうとはしない。
自分が死ぬのが嫌だから・・・・。
「ねぇ君!」さっきの神サンとやらが俺の肩に乗っていた。
「いつから居たんだ?助けなくていいのか?あんた神なんだろ?」
「君はここになんの為に来たのか忘れたのかい?」そう神が言った途端。
ドンっ鈍い音が聞こえた。
俺が見たのは、人間のバラバラになった身体と手足が吹っ飛び、大量の赤い液体だった。
言うまでも無く・・・その人間は即死だった。
「きゃあ!」あちこちから悲鳴や泣き声が聞こえる。
俺は自分の胃から何かあったかいものがこみ上げてくるのが分かった。
気持ち悪い。
「もう分かったでしょ?あの今死んだ人間は君。助けてしまったら運命が変わってしまうから、助けちゃ駄目なの。明日のこの時間、この駅で君は電車にはねられて死ぬ。だから言ったでしょう。明日君は死ぬんだと。」
「だまれっ!勝手にそんなこと・・・・。」
「君に見せたのは事実よ。君に本当の未来を見せるためにここに連れてきたんだ。」」
「俺は・・・・・。俺は千歳を守らなきゃいけない。約束したんだ。だから、死ねない。絶対に!」
「だったら簡単だよ。ゲームに参加して優勝すればいいの。そしたらあの悲惨な運命を変えられるかもしれないよ。千歳ちゃん守りたいんでしょう?」
神はさっき死んだ俺の死体を悲しそうに眺めた。
「・・・・分かった。俺はそのゲームに参加する。優勝して生きるんだ。千歳を守りたい。」
「そう。じゃあ、私は君に期待してるからね。向こうの世界に行く覚悟はいい?」
神はまっすぐに俺の目を見て聞いた。
「ああ。」俺は目を閉じた。
どうか千歳のためにも生きて優勝できるようにと。
「君の幸運を祈る。」
「ここは?」俺は目を開けると見たことが無い広場に俺は立っていた。
俺と同じように沢山の人がそこには立っている。
俺は・・・・この人達を殺さなきゃいけないのか。
よく見るとその人達の中には、老人から小さな子どもも居る。
俺は・・・・殺せるのだろうか。
彼らも俺と同じように命を求めてきたのだろうか。
「はいはい☆みんな揃ったねー!」
この声は・・・・・
「やっほーみんな。私は神。この世界諸々支配してるんだ。」
姿は見えないがやはりそうか。
「じゃ、みんなこの世界に来たということは覚悟出来てるよね?いいでしょう。みなさんには今からこの世界で殺しあってもらいます。ま、もともと君たちは死ぬ運命にある人達だ。いずれ死ぬことには変わりは無いよ。命あるものいずれは死ぬしね。でも、それは唯一の人間を除いて。それはこのゲームの優勝者だ。優勝者には、ご存知の通り永遠の命が与えられる。死なないというより、・・・・・その命を得たものは死ねない。まあ、そんな感じ。」
「ちょっと待ってくれ!殺しあうなんて聞いてないぞ!」どこからか男が叫んだ。
「そうよ。私達はゲームが殺し合いだなんてきいてないのよ!」
「俺は・・・・殺したくはない。」
「いや。元に戻して!」
「お母さん!!どこなの?」
「おうちに帰りたいよ!」
「この!神とかいうやつ!早く俺たちを元の世界へ返せ!」
「君たちは考えが甘い。元の世界に戻りたければ戻してあげるよ。どうせあと数日の命なのだから。それをもっと生きられるチャンスを与えると私は言ってるの。簡単に手に入れられるもののはずがないでしょ。それだけの対価を払わなくちゃ。死というのは生き物の運命なのだから、仕方ない。それでも生き物は死に向かって毎日毎日歩き続けてる。そんな哀れな運命から私が一人だけ解放してあげるの。」
神がそう言うと彼らはもう叫ばなかった。
「ようやく分かったようだね。じゃ、ルールを説明する。一対一でちゃんと殺しあうこと。いいね?あと、殺し合いは指定された場所の中で行うこと。死体の処理・・・・この世界の君たちの身体の処分が面倒だから、一箇所でまとめたいんだ。だから、指定の場所で行って。あと、バトルに時間制限は無いから、どちらかが死ぬまで続けてね。あと、強盗とか犯罪は人間界と同じように、罰があるからね。まあ、簡単に言えば殺すから。この私がね。最後に一つ、君たちがこの世界で戦っている間、リアルの現実世界での時間は止まってる。だから、冷蔵庫の食品がー!!とか心配はいらないよ。最後に。バトルするときは、相手に申し込んで相手がOKしなきゃ殺し合い始めちゃ駄目だからね?相手がOKしないまま殺しても、相手死なないし。武器は銃と剣と爆弾ってところかな。気が向いたら、また増やすかもだけど、またそのときは知らせるよ。こんな感じかな?まあ、分からないことがあったら、これ渡しておくからこれ見てねー。」
そう神が言うと、みんなの手には端末が握られたいた。
「いつの間にこんなものが・・。」おれはそう言いながら端末を起動してみると、そこにはこの世界のルールが細かく書かれていた。
「まあ、というわけで、頑張ってね。神による分かりやすい解説でしたー。では、みなさん。頑張ってくださいねー☆」
そして神によるアナウンスが終わったと同時にー
俺たちの戦いが始まった。