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預言の信憑性  作者: まめ
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死までのカウントダウン

生まれたときに、国で一番の占い師に言われた。


それは、俺が18までしか生きられないと。


生まれながらにして、死を宣告された俺。立場的には、俺は次期王なのに、もう後継ぎになれないと分かると、両親の取った行動は早かった。


なんと、死んだことにして、城の地下深くに幽閉された。ご丁寧に監視つき。


継ぐのは弟だ。俺の存在は知らない。弟だけじゃない、民も。この国では、もう無いものとして扱われている。


俺が何をしたと言うんだ。ただ生まれただけじゃないか?


それが罪なら、全ての人間は罪を犯したことになる。


なのに、何故、俺だけ


後、死までカウントダウンが3年を切ったとき、ハシャード・カミューは側近に言った。


「お前に頼みがある。俺に外の世界を見せてくれ。一度俺も外の世界を見ておきたい」


「御意。私なんかでよろしければ」


「でも、お前は良いのか? 王の命令に背くことになるんじゃないか?」


「そうですね。でも、私は王よりあなたを主と決めました」


はっきりした言葉にカミューは驚くと共に笑った。


「お前も変わった奴だな? 私は、あと3年で終わるんだぞ。そんな者に遣えようなんて」


「どうして、そんなこと言えるんですか?」


剥きになったように言うカミューにシュナーゼは笑う。


「あなたの呪いが、何かと契約したんじゃないのなら、必ず解く方法がありますよ。探しましょう? あと、3年のうちに。私はあなたが王になった時が見たい」


「お前、面白いな。私が王になった姿か? 誰もが信じていない中でお前は最初から、それを信じているよな」


「ええ」


「私すら、信じていない中でお前だけは信じてくれるのか?」


「私は、あなたをずっと見続けてきました。その中であなたの苦悩も見続けてきたからあなたの苦悩も知っています。そして、あなたの頭の回転の良さも知っています」


「そんな誉められると照れるな」


と、言って顔を赤らめると、カミューは笑う。


「照れてるんですか? 可愛いらしい方ですね」


「ほっとけよ」


カミューは照れる。


「さて、このあとどうしますか?」


「まず最初、民に俺の存在を知らしめなきゃな」


「どうやって?」


「ラジオを使う」


「そこから噂をばら蒔くと。実は今の皇子には隠された兄がいるらしいと。でも、流してどうするんですか?」


「俺は寿命を隠す気はないよ。俺の弟がバカじゃなければ、私が流した情報に私が望んでいるキチンとした選択ができるはずだ」


「キチンとした選択とは?」


「それは秘密だ。ただ、こんなにワクワクしたことはない。今が一番生きていることを実感出来るよ」


本当にカミューは楽しそうに言う。


その表情はシュナーゼが今まで見たことがないくらい、輝いていた。


「何を考えているのですか?」


「もし、この先私のような子が生まれても隠すようなことはして欲しくない」


「そうですね。あなたを見ていると、特にそう思います」


「ありがとう。そう言ってくれて」


「何か方法はないんですかね?」


「さぁな、興味なく、今まで生きてきたから、探してない。だから、分からん。死ぬまで生きるって、普通のことなんだよな。それが早いか遅いかの違いだけ」


そう言って、カミューは興味なさそうに言う。


「そうですね。これから、私も一緒に探しますよ。見付けましょう」


「そうだな。お前と探すか? だけど、もう時間はないぞ」


「時間がないからこそ、面白い。そうでしょ?」


「そうかもな」


そう言って、カミューはにこやかに笑う。


「でも、本当に面白いな」


「何がです?」


「お前とこうして、話したことなかったじゃないか? だから、お前がどういう思いで、監視役なんかの仕事を受けたのかって思った。てっきり嫌々かと思ったがな。お前が始めてきたときのこと覚えているか?」


「ええ、あの頃は若かったんです。恥ずかしい。忘れてください」


そうあの時、シュナーゼは真っ赤になりながら、こう言った。


「今思い出しても恥ずかしいんです」


彼はカミューにこう言った。


『私は、上に行く気のない者に遣えようとは、思わない。私が遣える以上、上を目指して下さい』


「上か?」


思い出したように、カミューが言う。


「思い出して頂けたようで良かったです。最初に言った通り、私は上を目指さない人には興味ありませんから」


シュナーゼはそう言って、笑う。


「お前は昔から、真面目を絵に書いたような奴だよな。だって、お前首席で学校卒業したのに、よりによって監視役になるなんて、物好きだな」


「興味有りまして。監視が必要な人なんて、どんな人かと?」


「で、会って見た感想は?」


「思っていたより癖の強い人でした」


そう言われカミューは頭を捻る。


どういうことか分からなかったのだ。


それに、シュナーゼは笑う。


「分かりませんか? まぁ、当人には、分からないかもしれませんね」


「でも、残念だったな。私は王位に執着はないよ」


「あなたになくとも、いずれ担ぎ出されます」


「誰が後3年しか生きられない俺を担ぎ出すか?」


「貴方の弟です。彼はその占い事態を疑っています」


「どうして、あいつは俺の存在を知っている?」


「彼は小さい頃から、貴方の存在に気づいていました。すいません」


そう言って頭を下げる。


「何が?」


「私が貴方のもとに来たのは、彼の頼みからなんです」


それを聞き驚いた顔をするカミュー。


「そっか? お前のように優秀な人間が私の監視役をやるなんて可笑しいもんな」


そう言って、カミューは笑った。


それに、シュナーゼは聞く。


「いつから、疑問を持ったんですか?」


「お前には悪いが初めからだ」


「そんな最初から?」


「ああ、優秀すぎが仇となったな」


「そうか、最初からって、僕もまだまだですね。ダメだな」


「そう言うな」


カミューは落ち込むシュナーゼを見て笑う。


「でも、お前が監視役ついてからは安心して眠ることができたよ。私の監視がお前の仕事じゃなく、私を守ることが弟から下された命だな」


「ええ、流石です。そうです」


そう言って、シュナーゼは笑った。


「どうして、弟はこんな俺なんかのために動くのかね」


カミューが不思議そうに言うと、シュナーゼは笑う。


「あなたが優秀だからです」


「だから、動くのか? でも、どうやって? お前らの間でもう決まっているはずだ」


「ええ、了承していただけるなら」


頭を下げる。


「別に構わんぞ。お前らの作戦は?」


「あなたのやろうとしていることと、変わりません。あなたの存在を国民に教えます」


「ふーん、いいんじゃない。でも、あいつにどんな特が?」


「占いの結果って知ってます?」


「いや」


「あいつは国を滅ぼすって言われたんですよ。それを聞いた王が笑って言われたそうです。『別に自分が死んでからなら構わない』とね。その占い師の方は面食らってたそうですよ」


「ふーん、あいつも最悪な占い結果を持って生まれたわけだ」


そう言って、カミューは笑う。


「どうして、こんな最悪な結果を持った者ばかりが生まれるんだろうな」


「ええ、だからあいつもその占い事態を疑ってます」

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