計画実行
次の日の晩
執事達は、姫達が寝たのを確認すると部屋から出て行く。その際、どの執事もドアの外側から結界と鍵をかけた。
執事長室に集まった各界の執事達。その瞬間・・・
カチっ・・・
パンパン!!
「まさか・・・。」
誰かが、執事室の部屋全体に結界を張り、誰も外に出られないようにしたのだ・・・。
誰が結界を張ったのか、真っ先に気づいたのは蓮だった。
「この結界の張り方は・・・芙蓉様だ!」
それを聞いて、他の執事達も慌て始める。しかし、その中で冷静さを保っていたのは朱鴬と緑虎だった。彼らは、すぐに武器を取り出し、結界を壊し始める。それに続くように龍鬼と海耀と蓮も壊し始めた。
その頃、城の地下にある空き部屋に姫達は集合していた。芙蓉が執事室に向かった時、揚羽が、全員の部屋の結界を壊して廻ったから脱出できたのだ。
服を着替え、バックを準備して、万全の体制の姫達。不知火の張った結界の上から、到着したばかりの芙蓉と揚羽がさらに結界を張る。その間に、桃花と柚子が魔方陣を完成させ、全員が魔方陣の上に乗ったときだった・・・
「桃花様!ここをお開けください!」
「揚羽様!早くお部屋にお戻りください!」
執事達が思ったより早く到着した。ドアの外では、結界を破る音が聞こえ、そのたびに芙蓉と揚羽が、魔方陣の中から結界を張りなおす。これの繰り返し・・・
「とにかく行くよ!」
柚子のその掛け声と同時に、全員で力を魔方陣に注ぎ込む。魔方陣は赤黒く光りだした。
バンっ!
「芙蓉様!何をなさっているのですか!」
「・・・さようなら、蓮。」
部屋に入ってきた蓮に、芙蓉は微笑みながらそういった。
「じゃ、そういうことなんで!さよなら!」
柚子のその言葉と同時に姫達の姿は部屋から消えた・・・。
「・・・芙蓉様・・・。」
蓮が、泣きそうな表情でそうつぶやいたが、朱鴬が表情一つに変えないでこういった。
「すぐにわかりますよ。」
そういって、胸元から一枚のカードを取り出し、ライターで燃やす。その灰と煙が、姫達が向かう場所の地図に変わっていった・・・。
「人間界ですね。」
蓮がそうつぶやくと「どこを頼りにしているのか、僕に心当たりがありますので、そこに向かいましょう。」と龍鬼が話す。
「来靭のところか?」
後ろを向くと、そこには、疲れた表情の魔王と冥王、閻魔の姿が。執事達は全員がひざまつくと「家出だな・・・俺んとこ前科あるけど、お前のとこは?」と冥王と閻魔に聞く。すると「両方、初犯。でも、不知火は無断外出常習犯」「芙蓉も初めてだよ・・・こんなことすると思っても無かった。」と返ってきた。
「て、ことだ。多分、来靭のところだと思う。見つけたらお灸でも据えといて。連絡もらったらそっち行くから。」
魔王のその言葉に執事達は「かしこまりました。」といって、そのまま人間界へ向かった。