表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソウケンと呼ばれた親子  作者: タリ
第七章「意思」
95/96

連合の意味

お久しぶりでございます


なんとか更新できる余裕が持てました・・・


今回だけ「つまり(略」からナレーションがゲスト出演します、理由は読んでいただけたらわかるかもしれません、この感じにはあの感じがちょうどいいんです


本編をどうぞ

呼ばれて飛び出て・・・いやネタがわかる人いなさそうだからやめておこう


え?私を知らない?同じ作者の別作品「つまり(略」を呼んでください

え?こっち来んなってそれはひどくないですか、これが作者の本性なんだからたまには出てきてm・・・え?違うってちょっとそりゃ無いっすよ作者さーん!




―――――作者が性根を叩き直しています、少々お待ち下さい―――――



はい、すいませんでした・・・グスン


ではまじめにやります、えっと前回どこから?

えーっと・・・あぁ、そうそう歓声があがったとこからね


では気を取り直して・・・ゴホン




両翼から湧き上がる歓声、それは即ち学生たちからあがったものだということだ

大の大人である騎士団でさえ、同じ学園の出身者が多く在籍する精鋭のものたちでさえも、その意味が咄嗟には理解できなかった


目の前にいる絶望を告げる存在

その告げる存在でさえも、一体いるだけで絶望という言葉がよぎるような存在であるというのに、告げられた内容は大量の魔物がいるという発言

それを裏付けるようにして遥か向こう側に見える黒い波のような魔物の軍団

甘い囁きで裏切りをほのめかす悪魔と呼ばれる存在に、大人である彼らでさえも恐怖や混乱を感じずにはいられない


事実として裏切りをしようかとさえ思う者達さえもいる状況の中で、たかが学生である彼らから歓声があがる理由は全く思い浮かばない

全員の気が触れたとか、狂人化バーサーク混乱コンフューズの魔法を集団で使用したとかでない限りはそういう状況ではないのだ


しかし彼らは確実に歓声をあげている

まるで自分たちが勝つことを疑っていないかのように

戦うことに迷いなどないことを証明するように


彼らはみな、歓声をあげていた




・・・こんなもんでどうっすかね?

え?こっち見んなって?ひどいくない?




困惑するのは当然騎士団だけではない

自らの役目を果たした悪魔もやはり、同じように困惑していた


役目を果たせば、きっと彼らは恐怖に染まったはずなのだ

恐怖だけではない、裏切りも実際に起こったはずだ

裏切りと恐怖が、疑心暗鬼と人間不信が入り乱れ、秩序という掟は容易く崩れ去るはずだった


しかしどうだろうか、今のこの状況は


少なくとも実際に裏切ろうとした人間はいたはずだった

妙にそわそわとして、周囲を異常に見回す人物達がいたのだから

裏切る、という行為を決め、生き残るために安全を確保しようとする動きを行うそれらがいたはずだ


だというのに


歓声に呆気をとられ、それらの人間たちはそちらに意識を持っていかれている

勝てるかのように大声をあげる彼らにあてられたのか、不思議な勇気が彼らを踏みとどまらせる

見えない糸が、掟という壁をつなぎとめている

一体なぜか、悪魔の彼にはわからない


「・・・一体、・・・なぜ?」


疑問に答えるものはいないはずだ

声を届ける魔法を使っていないのだから当たり前だ

言葉の直後に放たれた一発の炎魔法が、彼には誰かが聞いているかのような錯覚を覚えさせた


ドンドンドン


あ、ごめん一発じゃなかった、テヘペロ♪


「―っ!―っ!―っ!」


炎の魔法が弾ける音に合わせ、学生達は何かを叫んでいる


ドンドンドン


再び三発の魔法が上空へ放たれ、規則正しく爆発する


「―っ!―っ!―っ!」


そしてやはり何かが叫ばれ、学生達のボルテージがガンガンあがっていくのが遠目にもよくわかった


ドンドンドン


「―っ!―っ!―っ!」


3度同じ行動は繰り返され、再び同じ叫びが聞こえてくる


ドッドッドドン


4度目だけは一発多く、少しだけリズムが違った

しかし学生達はそれさえも予定通りと言わんばかりに、やはり規則正しく爆発のリズムに合わせて何かを叫んだ


「!―っ!―っ!―っ―っ!」


彼らが一体何をしているのか、この場でそれを理解できたものはいない

しかし彼らがこれからどうするのか、それを説明する声が、次の瞬間に響いてきた


『ううぉぉおおおいこらこのううぅぅあああくむぁあああやああろうう!!!』


一応訳しておくと、「おいこらこの悪魔野郎」と言っている



――――――――――



両翼で、つまり学生達が何をしていたか

それは悪魔の彼が、自分たちの王に従えと言った瞬間から始まった


『全生徒へ、こちらはグレイ=ティンカーだ

腕章の特殊機能を使って通話している』


この腕章にこんな機能があることを知っている人物はほとんどいない

ぶっちゃけ教師でも一部しか知らない

なぜならこの機能、色んな理由はあるが、その一つが便利すぎて「直接顔を合わせて話し合う」というパーティーの絆を深める行動を阻害しかねないからだ

緊急時にのみ学園長や一部の知っている人間同士で使うためについている機能なのだが、普段緊急事態が起こらなさ過ぎて学園長でさえ忘れていた残念機能なのである!!!


『色々言いたいことがあるだろうが、一先ひとまず俺の話を聞いてほしい』


腕章に手を添え、敬礼の頭を下げる直前のような姿勢のまま佇むグレイ

その背中から感じられるものは、絶望でも恐怖でもなかった


『従え、だなんて馬鹿らしいと思わないだろうか』


ふっと頭をあげ、悪魔のほうへと顔を向ける

横顔はいつも目深にかぶっているフードのせいでよく見えないが、少なくとも負の感情を見せているわけではない


『・・・俺たちが従うものは・・・もう決まっているじゃないか』


誰もが、恐怖に負けそうになっていた

誰もが、裏切りも仕方ないと考えそうになっていた


でもそれは、ほんの少しだけ、事実を忘れていたからにすぎない


『俺たちは、もう昔の俺たちじゃないはずだ』


そう、彼らは昔とは違う

つまらないことでお互いを傷つけあい、罵りあい、自分たちの優位を示そうとしていただけの頃とは


『俺たちが信じるものは何だ?』


彼らは信じているのだ、それが絶対のものであるということを

それがある限り、自分たちは1つになれるということを


『俺たちが従うものは何だ?』


彼らはそれに従っているんじゃない

それを信じるという、自分の素直な心に従っているのだ


『俺たちは、何のために戦うんだ!?』


各々が自らの武器に手をかけ、それを構える

彼らには、戦うだけの理由がある

戦うために必要なものは武器、だからそれを構える


『俺たちが戦うのは・・・』


一旦そこで言葉をきり、息を吸い込む

その吸い込む音さえも腕章を通して全員に伝わり、続くはずの言葉を待ち構える


そして言葉は続けられる




『アリサパーティーのためじゃないのか同士諸君んんんん!?!?!?』




・・・え、そうなの?


ワアアアァァァ!!!


うぉ、びっくりした


えーっと、そういう理由らしい・・・ですよ?


『今こそ練習の成果を見せる時だ!応援隊!』


ザッという足音を立て、一人が前に一歩だけ進める、それと同じ動作をする人間がもう二人

魔力を手に集め、自らのイメージと共に魔力を込めた紋章を描き、精一杯の全く影響しない情熱を込めて上空に打ち出す


ドンドンドン


『さぁみんな一緒に!アッ!リッ!サッ!』


「「「「「アッ!リッ!サッ!」」」」」


先ほどとは違う三人が再び現れ、同様にして再び上空へと魔法を放った


ドンドンドン


『レッ!ディッ!イッ!』


「「「「「レッ!ディッ!イッ!」」」」」


やはりというべきか、再び別の三人がやはり同じようにする

違いがあるといえば、こちらは全員が女性だったことだろうか


ドンドンドン


『マッ!キッ!アッ!』


「「「「「マッ!キッ!アッ!」」」」」


最後に一歩進めたのは、三人では無く四人だった


ドッドッドドン


『アッ!レッ!クスッ!』


「「「「「アッ!レッ!クスッ!」」」」」


最初はともかく、最後のほうになるともはや連合に参加していない生徒さえもやけっぱち気味に叫んでいた

彼らはよくも悪くも、アリサ一行大好き連合という大きなコミュニティによって、今1つになろうとしていた

そこにいる彼らには、もはや裏切りや恐れなどといった感情は無い


あるのはただ、戦うという純粋な意思

戦いに勝利して、生きるという願い

純粋な欲望が、彼らの心を満たすだけだった



そんな状況の中で、感極まった様子の一人の男が拡声の魔法を使って急に叫ぶ


『ううぉぉおおおいこらこのううぅぅあああくむぁあああやああろうう!!!』


よく見れば、それはかつてのアリサ教と呼ばれた時代にアリサを誰よりもストーk・・・もとい慕っていた教祖その人であった


『わああれわれはあああ!貴様のおおお!その程度の脅しにいいいい!屈するほど弱くはなあああああああああい!!!!!』


彼とは反対側、教祖が右翼側にいるが、逆に左翼側からもやはり同様に叫びが聞こえてきた


『そのとおおおおおおりだあああ!てめぇらなんざあああ!俺たちがぼっこぼこにしてやらああああああああ!!!』


それはやはりというべきか、教祖と対を成す存在といってもいい男、かつてのレディの涙目見てみ隊の隊長であった


『『とっとと』』


二人の声は重なり、そして同時に武器を構える

教祖は身の丈と同じほどある巨大な金属製の杖を、隊長は炎のような模様が描かれた両手剣を

二人はやはり、同時にそれを振るい、同時にぶつかるように攻撃を放った


『『消えろ!!!』』


教祖からは巨大な炎の龍が出現し、それが一直線に悪魔へと突き進んでいく

隊長からは巨大な炎の巨人が出現し、やはりそれが悪魔へと突き進んでいく


「炎龍!クリムゾンサーペント!!!」

「魔人剣!イフリートブレイド!!!」


ちなみにこれ、ゲーム上でも上位に分類される強力なスキルだったりする

この世界ではこれが使えたら有名人レベルの超絶スキルだ

これがこの若さで使える時点で、彼らはやはり普通とは違っていた

彼らの性格も普通とは違っていたことが残念ではあるが


「ちっ!?」


二つのスキルは同じ属性であることも相まって、炎の龍を体に纏わせた炎の魔人という姿になって悪魔へと到達する

龍の体が魔人の持つ剣のような炎にまとわりつき、それが真っ直ぐに振り下ろされ、悪魔と衝突した


「ぐぬっううううぁ!」


炎の奔流と、物理的な斬撃によって悪魔を吹き飛ばし、彼らは勝利への希望を見せ付ける

悪魔へ、敵に向かってというよりも、むしろ味方に向けて



――――――――――



「・・・プッ」


学生達からわりと近い場所に展開している兵士たちは、ことの一部始終をぼんやりとではあるが把握していた

そして彼らが想像できる限り、学生達の行動理由は至って単純だ


アイドルがいるから戦う


アイドルに、いいとこ見せたいだけだ

実に単純で、実に潔い理由で、だからこそ強い


「・・・バカだこいつら」


だから笑う


「くっくっくっ、だめだ笑っちまう」


くくく

ぷぷぷ

くすくす

あはは


微笑が周囲に伝わり、それはやがてさらに伝染していく

いつの間にか、恐怖なんて言葉は消えていた


笑いは、ただそれだけで人の心を良い方向へと導くことがあるのだ


「シャキッとせんかお前らっ!!!」


ビシッと張り詰めた声をあげたのは、彼らの上司にあたる人物だった

途端に姿勢を正すあたり、彼らの錬度が高いことを理解できる


「全く!貴様らなっとらんぞ!」


え~、と萎えるように小言を言うもの、心に思うものの口には出さないもの、不満を感じるものがほとんどであるなかで、しかし彼が続けた言葉は学生達を否定するものではなかった


「あんなバカな学生どもに勇気をもらっているようでは話にならん!

貴様ら大人の意地を見せんかぁああああああっ!!!」


最後には叫びながら、何かの魔法を使ったようだ

みるみるうちに彼から感じる強者のオーラが膨れ上がり、威圧感と厳格な雰囲気をバリバリに放出しはじめる


「負けてられん!行くぞ貴様らぁっ!!!」


ウオオオオオオオオオオオォォォォォ!!!


彼らから飛び出した叫び声は、学生達があげたそれよりも遥かに力強く戦場に響いた




ほんの少しづつ全員が勇気を持っただけ


しかしそのほんの少しが、大量に集まった人間達


それがどれだけ強い存在へと変わるのかを、ライアン=ローレンスは知らない

というわけでした、ただこれがやりたいがためにアリサ連合作ったという下らない理由でグレイが活躍したわけですはい


次回からは本格的な戦闘に・・・入るかもしれないけどそもそも執筆してる時間あるんだろうか?


亀更新な作者で申し訳ありませんが、完結までお付き合いいただければ幸いでございます


今後ともソウケンをよろしくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ