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ソウケンと呼ばれた親子  作者: タリ
第六章「収束」
83/96

閑話・冒険者という存在3

お待たせしやした


1日2話更新とか久しぶりなので、かなりの確立で誤字脱字があるかと思います

教えていただけたらそっと直しておきます・・・


冒険者という存在編はこれで終わりになります

またしても説明回で申し訳ないですが・・・


よければ内容をどうぞ

「無限進化の世界オンライン?」


「そうそう、そういうオンラインゲームが昔流行ったんですよ」


研究所の一室、パソコンがずらっと並んでいる以外には特に何も無い部屋の中で、二人の男が話し合っていた


「そのゲームが何の裏技なんだ?

俺くらいの年だとゲームと聞いただけで胡散臭い感じがしちゃうんだけど」


「まぁ普通はそうですよねぇ・・・

僕だって胡散臭いと思ってますもん・・・」


「どうでもいいが上司に使う言葉使いじゃなくなって来てるぞ」


「や、読者的に読みやすいほうがいいかと思いまして」


「何の話をしとるんだお前は」


「こっちの話です」


軽口を言いながら、部下らしい男は私物らしいノートパソコンを取り出す

ずいぶんと年季が入ったものらしく、白かったであろう外装はもはや黄色く変色している

そしていつも通りらしい手つきで電源を入れ、パソコンが立ち上がるのを待つ

やはり年季が入ったものらしく、立ち上がるまでに気になるほどの時間がかかっている


「で?そのゲームが何の裏技なんだ?」


「いや~このゲームに当時ハマっちゃいまして、サービス終了したあともエミュレーター作ったりしちゃったんですよ

あ、もちろん公式サイトがサービス終了と同時にシステムからプログラムから何から何まで公開してるんで、違法じゃないですよ?

まぁそのころにはプレイヤーなんてほとんどいなかったし、知ってる人のほうが少ないんでしょうけど」


「質問に答えてないぞ」


的確な突っ込みが上司から入る

が、部下の男はそれを気にした風もなく、やっと立ち上がったパソコンを操作しながら話を続ける


「いやそれでですね、エミュレーター作ったヤツなんてそんな多くないと思うんですけどね」


実際にこのゲーム、サービス終了時にはプレイヤー人数が3桁いるかいないか程度だった

その中でエミュレーターを作るほどに知識があり、実際に作ろうと思った人間は彼くらいしかいなかったのだが、彼自身はその事実を知らない


「実際に作ってみたらいやもうめんどくさいのなんのって・・・

たかがキャラ一体にどんだけプログラム乗っけてんだよっていうね、もう難しすぎなんですよこれが」


そういって彼はパソコンの画面に移るフォルダをいくつか開き、様々なソフトを起動させていく


「だから質問の答えになって・・・」


「これが、その答えなんです」


「・・・は?」


そこに映し出されていたのは、ゲーム上で使うキャラクターの設定画面と、その設定に関係しているあらゆるプログラムが全て表示されていた


「・・・すまん、わからん」


というのも当たり前だろう

いや決してこの上司の頭が悪いわけではない

誰だってただの数字の羅列が、ゲーム画面と並べて表示されていればそう言うはずだ


「では次にこっちを」


そう言って部下の男は、今度は業務用のパソコンを操作して同じようにいくつものソフトを起動させ始める


「実際に使用されたらしい虎男のデータを開きます」


私物のパソコンと違い、実にスムーズな処理を行っていくパソコンが、次々と虎男のデータを表示していく

その画面を見ていた上司は、ふとあることに気づいた


「・・・おい、これって・・・」


「気づきました?」


上司は何かを確認しはじめたようで、部下の私物のパソコンと実際の虎男のデータが映し出されたパソコンを交互に見比べる

一つ一つ確認し、確認するたびにその顔が驚きの表情になっていく

全てを確認し終えた時には、ありえないものを見たかのように、顔だけでなく体ごと固まっていた


「でも不思議なんですよねぇ

このゲームって時期から考えても、魔物の研究が行われはじめる前にサービス終了してるんですよ

それどころかナノマシンが人間に適用される前に終了してます

一体誰がこんなゲーム作ったんですかねぇ?」


「そ・・・それどころじゃないだろう!?」


「おわっ!?」


急に金縛りから解き放たれた上司が、部下の肩に掴み掛かる

あまりにも勢いよく掴み掛かったせいか、キャスターつきの椅子が勢いよく前後に揺れた


「このプログラムを使えば誰でも新人類じゃないか!?

身長!体重!年齢に性別!あとはちょっと綿密な検査を行うだけですぐにでも必要なデータが揃うじゃないか!?」


「おおおおお落ち着いてください!

あ、ついでに言えばスキルとかっていうのもほとんどゲームを扱う感覚で再現できる・・・おぉおお!?」


ガターンと激しい音が響く

何の音かと聞かれるならば、上司が部下を思いっきり押したせいでキャスターつきの椅子が素晴らしい勢いでその性能を発揮し、ブレーキの存在しない移動物体が遂げる末路を辿った音である

もちろんそれに乗っていた彼を巻き添えにして


「いますぐにそれをきちんとしたデータに直して提出するぞ!

これは下手をすれば世紀の大発見だ!」


「いてて・・・りょーかいしやっした~っと(やるのは俺なんだろうなぁ・・・)」


痛めた体で起き上がりながら、自分をまるで見ていない上司に向かって部下は了解の言葉を言う

周囲が見えていない上司に若干ため息をつきながら・・・


(・・・にしても)


完全に立ち上がった彼は、自分のパソコンを見ながら考える


(一体どこのどいつがなんでこんなもんを作ったんだろうなぁ?

この時代を予想してたとしか思えないんだよなぁ、このゲーム)


私物のパソコン画面、キャラクター設定を表示しつづけているその画面は、彼が先ほどまで作業していた狼男の画面と酷似していた

まるで数値を全てコピーし、入力されているソフトだけが違うような、ある意味では奇妙な画面


その二つを見比べながら、彼はこの不思議な偶然に考えを巡らせ


「なにやっとんじゃ!さっさと作業せんか!」


・・・るヒマは無かった

妙にテンションがあがってしまった上司にせかされ「了解ですよっと・・・」と呟く彼に、考えるヒマは与えられなかった



――――――――――



~戦場・食事中のある風景~


「え?なんで俺の生存率が高いかっすか?」


虎男が食事中、誰かが彼にそう聞いた

冒険者組を含め、ナノマシン外骨格の使用者は決して生存率は高くない

無茶な上司の命令に従ったり、肉体と意識のズレが致命的なスキを生んだり、あるいは暴走したり

戦場で生き残っている者たちは、「生きている」という事実が強さを証明していた


その強さの秘訣を知りたいと思った一般兵からの質問だった


「そうっすねぇ・・・俺は他の人らと違うっすから参考にならんと思うっすよ?

ふ~ふ~・・・アチチッ」


どうやら彼は虎だけに猫舌らしい、虎は所詮巨大な猫であるからして・・・


「そもそも俺って自分でシステム組んでねぇんっすよ

友人ってか腐れ縁みたいなヤツが組んだシステムで動いてるっす

ほんでまぁ俺はこれが当たり前だと思ってたっすけど、他の人らって普通の動きも苦労したらしいっすね

モグモグ・・・」


やっと冷めたらしいスープと具を食べながらそう虎男は話す

どうでもいいが虎が普通にスプーンでスープと具を食べる絵はなんというか・・・とてもシュールだった


「俺の場合ほとんど自分の意思で操作してねぇんっすよ

なんとなくあっちに行きたいとか、そっちを向きたいとか、ジャンプしたいとか、それくらいしか考えてねっす

ズズーッ」


動物よろしくなめるようにスープを飲むのかと思いきや、思いっきり人間と同じように飲む

大きく横に広がった口からこぼれないのが不思議な光景だった


「ナノマシンの操作もそうっすね

他の人らはかなり意識を向けて操作しねぇとダメみたいっすけど、俺は考えるだけっす

なんちゅーか、頭の中にゲームの選択画面がある感じっすかね?」


歯の間に具が挟まったらしく、器用に爪楊枝を持ってシーシーする虎

手は普通の人間の手が黄色い毛で覆われたような見た目なだけに、なんとなく彼が人間だったことをイメージさせた


「んで俺の場合、それを選択すると勝手に体が動くっすよ

その分他の人みたいに隙間を縫うような動きはできないっすけど、意識が戦闘に集中してるから戦えるっす、割と融通も利くみたいっすから

・・・ゲフッ」


まさか虎からゲップが出るとは

一部の動物と人間以外はほとんどゲップは出さない

虎は基本的に出さない、というか間違っても出さない、出してるかもしれないけど多分出さない

それを出すあたり、やはり彼はまだ人間のようだった


「生存率の高さっつったらやっぱそのへんじゃねっすかね?

操作性が良いってのは大事っすよ、強くても扱えなきゃただの的っす

あ、決して魔物組さんを馬鹿にしたわけじゃないっすよ?いやいやマジで、チクんないでくださっす、まじ頼むっすよ」


急にうろたえ出した彼を見て、質問者が和んでしまったのはきっと悪くないだろう・・・と思う



――――――――――



数年後、ある研究所が提出したプログラムにより、ナノマシン外骨格は急激に普及することとなる


研究は進み、やがて魔物組・機械組にも応用が始まり、人類は急速に劣勢だった状況を五分にまで持ち直すことになった


しかし魔物は強く、数が多く、年月を経て生殖能力を得ていた


生存をかけた戦争は長く続く


長く


とても長く


終わりがわからないほどに長く




いつしか戦争は全てを滅ぼしていく


文明も、歴史も、記録も、何もかも


数え切れないほどの命が消えてもなお、戦争は終わることは無かった

お疲れ様でした


これがグラハルトがゲームをやる感じで肉体を操作してた理由になるっす!

ちなみに冒険者組は一応人間をベースにしてるので、普通にセクロスできるっすよ!妊娠はもちろんシャドウセクロスも可能っす!

さすがに国家事業だったもんで、そっち方面に特化した冒険者組はいないっす!


魔物組も可能な固体はいたらしいっす!でも恐らく本編に魔物組は出てこないっす!

番外編とかで出すかもしれないっす!

機械組?どうっすかねぇ・・・


ちなみに長い年月でこのメニュー操作の技術はグラハルトの時代には失われてるっす!ただ名残が残ってて、それが魔法とかスキルとかになってるっす!


今後ともソウケンをよろしく!っすよ!


・・・ってかほんとは1話で終わらせる予定だったらしい・・・っすよ?

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