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ソウケンと呼ばれた親子  作者: タリ
第六章「収束」
79/96

閑話・魔物という存在1

あけましておめでとうございます


皆様良い新年を迎えられましたでしょうか

今年の皆様が幸多い年になりますように!

自分も幸多い年になりますように!


さて、新年一発目の内容ですが、またしても閑話です

というかこの新章「収束」編に関しては、閑話がほとんどになります


今まで乱立していたあらゆるフラグや設定を全て説明していく予定です


第一弾は前話と合わせまして、この世界の魔物についての説明です


本当は前話、今回の話、の2話で終わらせる予定だったのですが、思ったより長くなりましたので今回の話を2話に分割しました


蒼犬もアリサも出てきませんが、お楽しみいただければと思います


それではどうぞ

20XX年


某研究所にて


魔物が世に放たれる数時間前の出来事



――――――――――



「どうかね、研究は順調ですかな?」


身なりのいいスーツを身にまとい、豪華な宝石や貴金属類をあちこちにつけた男がそう言った

小太り、という表現がぴったりのその男は、にやにやとしたイヤらしい表情を隠そうともしない

おまけに禁煙エリアであるはずの研究室で、堂々と葉巻を吸っているあたり性格も残念そうだった


「おかげさまで順調でございます!

それもこれもすべて資金提供いただいたおかげですよ

これだけ資金があればどんなお望みでも叶えられるでしょうな!」


そんな男に対して言葉を返す研究員らしい男がいた


周りの研究員は怪訝な表情で小太りの男を見ているというのに、嫌な顔一つせずに男と話している

黒い髪の毛が少し長いが、いわゆる普通の髪型

しかし顔はやせ細っており、目の周りのクマもひどいことになっている

目だけがギラギラと輝き、野心や情熱といったものを全力で主張しているかのような男だった


にこやかに話す彼の賛辞の言葉に、気をよくしたらしい小太りの男はさらに言葉を続ける


「そうかねそうかね!

ぜひ研究を続けていってもらいたいものだね!

なにせ私は御伽噺や伝説といったものが大好きでね!」


「そうでしょうそうでしょう、男でしたら誰でも一度は憧れるものですからね」


和やかに談笑をする二人の男

どちらからともなく、モニターに映し出される光景に目をやる


「特に私は勇者や英雄よりも、魔物や魔獣といったもののほうが好きでね」


「ええ、わかりますとも

特にドラゴンなどに興味がおありかと思いましてね」


厄介極まりない会話をしながら、研究員の男はパネルを操作していく


「やはり君は話がわかるようだねぇ

どうにも私の周りには理解していただけなくてね

普通は魔物を倒す勇者や英雄に憧れるものだろう?とね」


「はっはっはっ、愚問ですな

勇者も英雄も所詮人間ですからな、魔物の巨大な姿、力強い肉体、圧倒的な戦闘能力

ここにロマンを感じないなどつまらない話ですからね!」


「そう!そうなのだよ!わかってくれるかねキミぃ!」


無駄に意気投合したらしい二人を見る周りの研究員

その目には侮蔑と後悔が浮かんでいる


しかしそんなことに気づくような二人ではなかったようだった


「今回見せたいものはまさにそれなのですよ!」


「というと、どういうことかね?」


操作を終えたらしい研究員が、パネルから小太りのほうへと向き直る

両手を左右に広げ、大振りな仕草で小太りに話を続ける


「つまり!ドラゴンです!」


「なんと!ついにできたのかね!?」


「その通りでございます!

ご覧ください!あの勇姿を!」


そう言って研究員はモニターのほうへと手をむけ、小太りの目を映し出される画面に導く


モニターに移っていたのは、生物の進化という道を完全に無視したような、現代においてありえない生物の姿であった


「おぉ・・・まさに・・・まさにドラゴン!」


小太りの男が示す通り、まさにドラゴンと呼べるべき生物がモニターに映し出されていた


蛇のように長い体

しかしその表面は、腹の部分以外が全て鱗で覆われている

しかもそのサイズがありえない

首らしき部分から尻尾の先の細くなり始める部分まで

長さはゆうに20メートルを超えるだろう

太さに至っては、人間が二人はすっぽり納まるのではないかというほどに太い

それに比例して鱗のサイズも一枚一枚が大人の手のひらほどもある

手と足らしきものが生えており、さらには胴体の頭から4分の1ほど進んだところに悪魔のような羽が生えている

何よりその顔が、ゲームに出てくるような西洋竜の顔そのものだった


「ふふふ・・・どうです!?

これぞドラゴンでしょう!」


そのドラゴンは現在、胴体の部分を何箇所も輪のような機械で拘束され、檻のようなものに閉じ込められている

口には犬の口を拘束するもののような拘束具が取り付けられ、口を開くことすらできない状態になっている

しかしその状態にあっても眼光だけは鋭く、気を抜けばすぐにでも襲い掛かってきそうな恐怖を感じさせた


「はは・・・あはは!素晴らしい!素晴らしい作品だよこれは!」


小太りと研究員はドラゴンを見て、感動すらしているかのように喜んでいた


「ふふふ・・・最新のナノマシン技術によって生物の遺伝子レベルでの操作が可能になりましたのでね

さまざまな動物実験を行い、角の生えた犬や翼の生えた猫を生み出してきましたが・・・

しかし!これはそんな生温いレベルの存在ではありません!

これぞまさにモンスター!我々が夢にまでみた伝説の怪物なのですよ!」



――――――――――



この時代、ナノマシン工学は爆発的な進化を遂げていた


ある一人の天才が出現したことにより、飛躍的にその能力を拡大し、サイズは文字通りナノレベルに迫る勢いであった

現在ではすでに医療方面への進出を果たし、過去には不治の病と言われたものや、原因不明の難病というものを解決へと導いていた

もちろん何も問題が無かったわけではないが、その有用性の高さから暗黙の了解として治療に使われている


実際問題として人間の平均寿命が10歳近く伸びた、という発表まであるくらいの進化であった


そして人体への有用性が確認されたことにより、新たな研究が出現したのも自然の流れであると言える


即ち「生物改造」という、ある種では冒涜とも言われるような領域への進展である


元々は先天性の難病などに対して、赤ん坊が母体にいる間に原因を究明し、治療を施そうという目的で研究されていた

されていた、と言うのは、もちろん現在では別の方面への研究が進んでしまっているからだ


画期的な技術は、得てして軍事目的へと転用される場合が多い

この領域もその例に漏れず、軍事目的へと転用されることになっていく


即ち「生物兵器の開発」


最初は特定の毒物に耐性のある生物を作り出す程度であったと言われている

やがて研究が進み、放射能に耐性がある生物を作り出すことに成功したときには、正式に国家的プロジェクトとして発足することになった

もちろん名目は「人間の長寿命化」もしくは「放射能汚染により健全な人生を送れない人間のための治療法研究」という最もらしい名目ではあるが・・・


この研究はやがて世界中を巻き込み、世界規模での人類救済プロジェクトとしてどんどん規模が拡大していくことになる


その研究をしているのが、世界中の頭脳が集められた、この研究所であった


そして研究員の彼が研究しているのはまさにそのうちの一つ


「既存生物の生物兵器化」


この研究自体に関しては賛否両論あったものの、小太りの男がスポンサーとなったこと

万が一のときに、自国だけで外国と戦えるだけの戦力を保持しておきたいという一部のお偉い様方の意向により、秘密裏に研究が行われていた


詳細は省かせていただくが、様々な問題と紆余曲折あったすえ、こうしてドラゴンという正に生物兵器とも言える存在が世に誕生することになった



――――――――――



「ははははは!その通りだ!

素晴らしいぞ!まさに素晴らしい!

しかし、実際にこれは兵器として使えるのだろうな?

それができなければ無駄に研究資金を投入するのは、さすがに体裁上無理が出てくるのだがな?」


「ご安心ください、その点に関しては全く問題ありません

・・・と言っても言葉だけではあまりにも不十分な説明しかできません

ですのでデモンストレーションをご覧いただこうかと思うのですが・・・おい!」


小太りの懸念に対して、研究員はわかっていますとばかりに返事を返す

そしてパネルを操作していた別の研究員に対して指示をした


「デモンストレーション?

一体何をしてくれると言うのかね?」


「ふふふ、もちろんモンスター同士の対決でございますよ」


「おぉ!ドラゴンの強さをこの目で見れるのか!」


「左様でございます、どうぞモニターをご覧ください」


再びモニターが映し出され、ドーム状になっている部屋が映し出される

入り口らしきシャッターが2箇所あり、片方のシャッターから先ほどのドラゴンが檻ごと出てくるところだった


さらにもう片方からは別の檻が出てくる

その折の中には、まるで人間のような生物が、ドラゴンと同じように拘束されていた


「あれは、巨人かね?」


「その通りです、人間をベースにしたわけではありませんので、知能はサル並のものしかありませんがね」


二人の言葉が示す通り、巨人と呼ばれた生物はまさに巨人だった


身長は軽く3メートルを超えているであろう巨体に、青く変色した肌が特徴的な姿をしている

頭からは2本の角が生えており、古来に存在したと言われる「鬼」のような生物だった


「ほほぅ・・・あれも中々・・・」


「あれはわりと簡単に生み出せた部類です、『在庫』はまだまだありますのでご安心ください」


やがて檻の一番後ろ側が入り口の枠部分のところまで来たところで移動が終わる

どうやら最初からそういう設計になっていたようで、枠の部分と檻の間にはほとんど隙間が無い


「では、ドラゴン対巨人の対決をご覧ください!」


そう言った研究員は、再び近くの者に指示をし、パネルを操作させる

それと同時に二体の魔物を拘束していた拘束具が一斉に外れ、檻の正面部分が上に開いていく


「GYAOOOOO!!」


「GURUAAAAA!!」


二体の魔物が同時に開放され、その開放感を表現するかのように二体の魔物が咆哮をあげる


モニターとは別の場所から、重低音の響きが建物全体を伝わって響いてくる




「さぁ!これが新しい時代の戦争です!」




研究員の男が、にやけた顔を隠そうともせずにそう宣言した

分割しましたので、次話にてまた


今後ともソウケンをよろしくお願いします

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