グレイの学園トップを狙え作戦2
書いていて思った率直な意見
・・・なんだこれ
本編をどうぞっ!!!
あらすじ
学園2大派閥である「アリサ教」と「レディの涙目見てみ隊」の戦いは熾烈を極めていた
片や虹色の魔眼は飾りです、と言わんばかりに整った顔立ちで、女神の光臨と噂されるアリサを崇め奉る集団
片や男の夢と希望を物理的な意味で胸いっぱいに抱え、可愛らしさの頂点にいると言わしめるレディをストーキ・・・もとい守ろうとする集団
どちらからともなくお互いにお互いの強さを認め合っていた二つの集団はしかし、自分達こそが最高であることを認めさせるべく、戦争という空しい行為を繰り広げるしかなかった
最初のぶつかり合いによって強烈な一撃を食らった二つの組織は、相手の力を理解すると共にそれでも倒さねばならない相手と再認識することになる
今この場で決着をつけなければ、飲み込まれるのは自分達だ!
ならばこの場で!例え壊滅的な打撃を受けようとも相手を倒すしかない!それ以外に活路は無い!
彼らの緊張は限界に達し、次の一手で終わらせようとお互いに一撃を出そうとした
しかし!
その場に現れた一人の男によって、その戦いは中断されることとなる!
その男の名は!
――――――――――
「なぜ貴様がここにいる!グレイ・ティンカー!」
レディの涙目見てみ隊・・・若干めんどくさくなってきたのでレディ隊で行こう(by作者)
レディ隊の隊長が現れた男に向かってそう叫ぶ
「そんなことはどうでもいい!
それよりも貴様!我々を持ってしてまだまだだと言ったのはどういう意味だ!」
隊長の言葉を否定しながら、グレイの言葉に反応するアリサ教の教祖(こっちはこのままでいこうby作者)
二人はグレイに向かって惜しげもなく殺気を向ける
そんな二人を見てグレイは軽くフッと笑いながら言葉を続けた
「どういうも何も、そのままの意味でしかありませんよ
まだまだですよ、あなた達では話にもならない
その程度のレベルでどっちが上かなど争っているようでは・・・、フッ
とてもではありませんが二人の真の美しさなどには気づいていないのでしょうね」
嘆かわしい、とばかりに大仰に身振り手振りをし、落胆するように体をがっくりとさせる
芝居がかったようなその動きは滑稽にも映るが、二つの組織のトップにはそんなことは関係なかった
明らかに挑発している、だがしかし、それでも彼らには譲れないものがある
例え罠だとわかっていても、歩く道が地雷原のど真ん中で終わりがわからないとしても
それでも彼らはその道を堂々と歩くだけの覚悟がある
彼らが信じるものは、その程度で揺らいだりする程度の思いで信じているわけではないのだから
「ならば!貴様が言う真の美しさとやらはなんだというのだ!」
「そうだ!あなたが言う真の美しさが、我々の持つ美しさよりも上だということを証明してみせろ!」
そう言いながら二人は自らのコレクション(それぞれ10枚くらいづつ)を両手に持ち、腕を伸ばして見せ付けるように持つ
それに呼応するかのように動いたのは彼らの仲間たちだ
それぞれがそれぞれの最高の作品を持っているのであろう
自らの最高の作品を手に持ち、見せ付けるようにそれを体の前に押し出している
「さぁ!これを超えられるというなら超えてみせろ!」
隊長が一際大きな声でグレイを威圧するが、当の本人であるグレイはどこ吹く風というような顔で暢気に構えている
そしてじっとそれらの写真を見つめ、やがて大きなため息と共に言葉を放ち始めた
「・・・はぁ~、やれやれですね
あなた達は本当にわかっていない、これだけ人数がいれば一人くらいはいそうなものを・・・
がっかりです、がっかりですよ
誰一人として私の領域には届いていないなんて
いや、ここまで来ようという発想すらないなんて、がっかりにもほどがある」
手で頭を軽く抑え、頭を左右に振る
馬鹿にしているというよりも、1+1は?と聞いて田んぼの田!と答えられた時のような残念な態度をとるグレイは、やはりどこか芝居がかっていた
それにもきっちりと反応してしまうのはもはや条件反射
ヒーローが変身している間は手を出さないやられ役、必殺技最初から使えばよかったんじゃね?というくらい必ず必殺技で負けるやられ役のごとく
二人はまるでそう決まっていたかのようにグレイに反応する
「貴様・・・っ!!どれだけ我々を愚弄する気だ!!!」
教祖はもはや怒りで何も見えていないようだった
状況が状況であったならば、魔法でも使って攻撃していたかもしれない
それをしないのはやはり、実力では絶対に適わないレベルのグレイが相手だからなのであろう
「いいでしょう」
グレイはただ一言だけそう言った
それだけで周りの空気は張り詰め、緊張感という目に見えない物質が周囲に満ちる
「論より証拠です、あなた達の写真が何枚何十枚何百枚集まろうとも、この一枚を超えることは決してできない」
そう言ってグレイは懐から写真を出す
それは紛れも無く記憶描写によって作り出された写真なのであろう
グレイはその写真を天高く掲げ、後ろのほうにいる人間にも見えるようにする、地味に優しい
「これがっ!その証拠だ!!!」
それを見た瞬間
その場にいた全ての人間は止まった
まるで時間が止まったかのように、空気でさえもが止まったように、何もかもが微動だにしなかった
紙に映し出された写真は紛れも無く記憶描写によるもの
しかしそのレベルは、その場にいる誰のものよりも明らかにレベルが高いものだ
専門の冒険者であっても、このレベルに到っているものは全体の1割もいないであろう
細部まで事細かに表現されたその内容は、全てがフルカラーでありながらも、絵であるということを忘れそうなほどの現実感がある
しかしそんな写真を撮る能力など誰も気にしてなどいない
なぜならその場にいる人間は、その被写体に目を奪われ、一瞬たりとも目を離すことができなかったのだから
やがて最初に動いたのは、教祖のほうだった
「・・・馬鹿な・・・そんな一枚がこの世にあるなんて・・・っ!」
教祖は膝を地面に付け、がっくりとうなだれる
それをきっかけにして時間が再び流れ始めた
あるものは同じく膝をつき、あるものは宝であるはずの写真を地面に落としてしまう
「なんでだ・・・なんで俺は・・・泣いているんだ・・・」
やがて隊長がそう呟いた
彼の言葉のとおり、彼の目からは涙が溢れ出ている
その写真のあまりの光景に、あまりの美しさに、自分達がどれだけ愚かであったかに気づいてしまったのだった
「・・・わかってもらえたようですね」
グレイはこの結果に満足したように、写真を胸の高さまで降ろす
「ですが、こんなことで立ち止まってもらっては困るのですよ」
その言葉に反応したのは、やはりというべきだろう
組織のトップである二人はしっかりと聞き取り、そしてグレイに問いかける
「どういう意味・・・ですか?」
「そんな写真があるというのに、どう進めと言うんだ」
「簡単なことです」
グレイは両手を広げ、訴えるようにその言葉を放った
「手を組めばいいのです!
なぜあなた達はいがみ合うのですか!あなた達はそんなことをするために集ったのですか!?
違う!違うでしょう!あなた達も私と同じはずだ!
ただひたすらに!彼女たちを!美しいものを!ただそれだけを追い求めていたのではないのですか!?」
「美しいものを・・・っ!?」
「ただひたすらに・・・っ!?」
「そうです!
なぜ相手を受け入れようとしないのですか!なぜ相手を否定するのですか!?
1+1が2にならないことは確かにありえる!現実とはそういうものです!」
一度後ろを振り向き、嘆き悲しむように自分の体を抱きしめるグレイ
状況が違ったらただのナルシストにしか見えない
しかしこの場にいる者たちにとっては、それは本当に嘆き悲しんでいるということにしか見えなかった
「しかし!」
顔を急に上げ、天を仰ぐようにして空を見つめるグレイ
「彼女たちに限っては!そんなことは!ありえない!!!」
再び手に持った写真を天に掲げ、その存在をアピールする
「それをこの写真が証明している!そうでしょう!?」
再び教祖と隊長のほうを向き、写真を見せながらグレイは話し続ける
その姿はまさに神のごとく、迷える子羊に正しい道を示した
「私はここに!宣言する!
アリサ教でもなく!レディの涙目見てみ隊でもなく!
二人が二人でいることをありのまま受け入れる全く新しい組織の誕生を!」
「おおぉ・・・」
「神だ・・・神が光臨したんだ・・・っ!」
気づけばその場にいた者たちは全員が涙を流し、神を見たかのようにグレイにひざまづいている
祈るように手を組み、新たな組織の誕生を心から祝福しているのだ
「『アリ』サ教だけどレ『ディ』の『な』みだ目も見てみたい連合!
略してアリディナ連合!
さぁ立ち上がれ同志達よ!連合に参加するものは拍手を持って祝福してくれたまえ!!!」
わああぁっという歓声と共に、その場にいたものは全員が立ち上がり、一斉に拍手をしはじめた
真っ先に立ち上がり、真っ先に拍手をしたのは言うまでもなく、トップの二人であった
「同志グレイよ!栄光あれ!!!」
「同志グレイ!我々にも栄光の道を共に歩む権利を!!!」
2大派閥の戦争はこうして幕を閉じたのだった
――――――――――
二人の女性が笑っている
片方の女性は微笑を浮かべ、女神とはこういうものだと表現しているかのようだ
片方の女性は顔いっぱいに笑顔で笑い、人間の可愛さを全て表現しているかのようだ
二人の女性が向かい合い、笑いあう
ただそれだけ
だがそれを映し出したグレイの写真は、二人いるからこその美しさを感じさせていた
全員がひれ伏した一枚の写真
それは何の変哲もない、ただの日常の風景を切り取った写真だった
11/12/15 タイトル&誤字脱字修正 ご指摘ありがとうございました
実はまだちょっと続いたりしますので、またそのときに
※記憶描写について
基本的に白黒かフルカラーかは使い手の熟練度によりますが、フルカラーにすること事態はそんなに難しくありません
レベルが低いとせいぜいベタ塗りみたいな感じが精一杯、グラデとかつけられないとかそんな程度の違いが出ます