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ソウケンと呼ばれた親子  作者: タリ
第五章「アリサ編」
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閑話・グラハルトの一日

えーと、ソウケンをお読みいただいている皆様

本当にお久しぶりでございます


まずは一言だけ


さーせんしたああああああああああああああ!!!

いやほんとにすいません、ごめんなさい

3日に一度とか1週間に一度とか言っておいて1ヶ月近くまるまる放置してすいませんでした


いや一応理由はあるっちゃあるんですがね・・・?


とりあえず久しぶりで若干愚陀倶駄ですが閑話をどうぞ

ある城の外周部にある一角


そこで金属同士がぶつかり合う甲高い、同時に鈍い衝撃の音が連続して鳴り響いていた


音の発生源は二人の男女


女性は赤い髪をポニーテールに纏め、少し屈めば全身を隠す程の巨大な盾を構えている

その盾を巧みに使い、もう片方の男が振り回す剣撃を防ぎ、時に避け、時には押し返さんとばかりに正面からぶつかる

洗練されていると一目でわかるその動きは、昨日今日で身に付くものではない

同じことをひたすらに繰り返し、ひたすらに努力を積み重ね、ひたすらに研究を続けた

言葉にすれば「ずっと使い続けた」という、ただそれだけのその行動は、今はある種の芸術とさえ感じるほどに完璧な防御だ


聖騎士サリア=エルトリア


世界でも屈指の実力者である彼女に、相応しいレベルの動きであった


対する男のほうは、無様と言えるほどの動きしかできていない

剣を振るうその速さこそ尋常なものではないが、逆に言ってしまえばそれだけでしか無かった

単純明快、と言えば多少は聞こえがいいが、実際には何も考えずにただ剣を振っているだけである

何の意図も無い攻撃、というものがどれだけ無意味であるかをわかっていない

それでも力の差が大きければ、それなりの結果が伴うものではあるが、剣を振るう対象である女性の完璧とも言える防御の前には、そんな攻撃に結果が伴うことは無かった

金の模様が入った黒い重鎧に、少し特殊な形状のバスタードソード


蒼犬グラハルト


その動きは、かつての彼からは考えられないほどに雑で、まるで素人のようだった


城の訓練場らしいその場所で、二人は特に話すわけでもなく、かといって真面目に訓練しているという雰囲気でもなく、ただそうやって剣と盾をぶつけ合っていた



――――――――――



「・・・そろそろいいぞ」


「うん?もう準備運動は終わりでいいの?」


「・・・ああ、本気で行かせてもらう」


そう言った直後から、グラハルトは目に見えて動きがよくなった


何の意図も無かった攻撃は全てが意味を持つようになり、攻撃の順番も、体の向きも、足の置き方も、何もかもが達人レベルのそれになっている

ただの降り降ろしは盾を持ち上げさせるために、その盾によって右側に逸らされた剣を、同じく体を右側に回転しながら無理矢理に振る

狙いは持ち上げたことで盾の陰から見えるようになった足下、当たれば致命的なダメージになるが、サリアにとってそれを飛んで避けることなど難しくは無い

当然サリアはすぐに飛び上がり、剣は何もない空間を通過するだけだった

剣を振り抜いた姿勢は、普通であれば隙であり、浮いているサリアからすれば絶好の攻撃チャンスである

にも関わらず、彼女はグラハルトの動きをしっかりと確認し、攻撃ではなく防御という選択をした

そしてその選択は正解だった


グラハルトは通過した剣の勢いを利用し、さらに体を回転させる

剣の重さによって生まれた遠心力を勢いに乗せ、そのために足下に振ったかのように自然に体を動かし、下から上に思い切り振り上げた


「盾よ!汝を支えるは魔神の腕なり!パワーシールド!!」


サリアは咄嗟にスキルを使う

物理的な攻撃に対して強力な防御能力を発揮するスキル、パワーシールド

サリアが使うそれは、例え人間の何十倍もの巨大な魔物が突っ込んでも、それを受け止めきるだけの「鉄壁」となる


剣と盾がぶつかり、ギャリギャリと耳障りな音をたてながら、火花を散らして一瞬拮抗する

しかし空中という踏ん張りの効かない位置にいたサリアが押し退けられ、5メートルほどの距離をあける結果となった


「・・・」


「った〜、今の一歩間違えたら死んでたわよ?」


「・・・間違えないヤツだからやったんだ」


「あら、それはありがたい言葉だこと」


若干上から目線なのが気にくわなかったらしいサリアは、やや不機嫌な態度でそう返す


「あんたも間違えないようにがんばりなさいよね」


「・・・努力しよう」


やがて二人は再び距離を詰め、激しいぶつかり合いを再開した


二人の訓練は日が暮れるまで続いた



――――――――――



「・・・む?」


「なに?」


場所は変わり食堂の一角

訓練をやり過ぎた二人は同時に腹が鳴り、どちらからともなく腹ごしらえをしようということになった


なので二人揃って食事をしていたのだが、グラハルトが目の前の空間(サリアからすると自分を見つめているように見える)を見て、唐突に声を出した

サリアからすれば顔に何か付いているのかとも思えるようなタイミングでの発言だったため、思わず返事をしてしまった


「・・・いや、イベントが発生していたらしい」


「いべんとって何?」


「・・・事件とか?」


「なぜ疑問系なのよ」


「・・・うまい言葉が見つからん

・・・何かがあったということだ」


言いながらグラハルトの視線は空中をさ迷い、何かを読んでいるように何度も左右に往復する

ちなみに片手には肉の刺さったフォークを持っているのが、若干間抜けに見えるのが残念だ


「・・・反乱・・・炎鬼族・・・?

・・・初代との離反・・・」


「それって・・・」


「・・・炎鬼族がライアンから離反したらしい

・・・一族の全滅という結果を伴ったようだが・・・」


「炎鬼族の全滅ですって!?」


ガタンという音を立てながらサリアが叫び、周囲にいた兵士達の注目を浴びる

しかしそんなことは関係ないとばかりにサリアは言葉を続けた


「炎鬼族の全滅って大事件じゃないの!なんでそんなことが!?」


「・・・落ち着け」


そう言いながらグラハルトは周囲に目を配り、自分たちの状況を悟らせようとする


「落ち着いてなんかいられないわよ!

それがどういう意味かわかってんの!?」


「・・・とりあえず、・・・座れ」


一瞬殺気に近いものを放ち、グラハルトはサリアを落ち着かせることに成功する

近くにいた兵士達が寒気を感じたのはきっと気のせいではない


「・・・完全に全滅したわけじゃないようだな

・・・魔法学園の近くにいた集落だけのようだ・・・学園の近くということはアリサが関わってるだろうな」


「アリサって確かあんたの娘よね」


「・・・ああ、・・・万物の才能持ちだ

・・・悪い結果にはなってないだろう」


「信じていいのね?」


「・・・蒼犬の名に誓おう」


「・・・わかったわ、とりあえずもう少し説明してくれるかしら?」


そこまで話してようやく座ったサリアは、やっと周囲の状況に気づく

周りを見て、急に恥ずかしがるように顔を俯かせてしまった


「は・・・早く話しなさいよっ」


「・・・これがツンデレか?」


絶対違う、という天の声が聞こえたのはきっと作者だけじゃないはず・・・



――――――――――



さらに時間はたち、深夜の訓練場には再びグラハルトがいた

サリアの姿は無いが、城の窓から覗くようにして何人かがグラハルトを見ている


グラハルトは鎧を脱ぎ、下半身に黒のズボンのみをはいた状態で剣を振っていた

つまり半裸である

城の窓から覗いているのは城勤めの女中・・・つまりメイドである

なんといってもグラハルトは容姿が整っているうえに、体つきはスマートな筋肉質

つまり女性にモテそうなソフトマッチョという美しい筋肉美を誇っている


それが上半身裸で筋肉見せながらかっこいい顔を乗っけて訓練してればそりゃもう年頃の若いメイドはムッハーである

なんといっても娯楽の少ない世の中であるし、そういったものにはそりゃもう視線は釘付けだ


しかし当の本人は全く気にせず、ひたすらに剣を振っている

振り下ろし、切り上げ、斜めに切り下ろし、同じ方向に回転して真横一文字

型の練習でもしているかのようなその動きはしかし、彼にしか見えない「ある人物」と戦っている姿であった


「・・・当たらん」


『はっはっは!バトルマスターなめんなヨ!』


「・・・若干うざいな」


『ひどい!?』


彼にしか見えない「エドワード」と呼ばれる人物は、幽霊のように半透明な状態でゆらゆらと揺れていた

揺れている、と言っても本当に幽霊のように揺れているというわけではない

ゆらゆらとしているように見えるが、実際にはグラハルトの剣を全て避けている動きだった

最低限の動きを最小限の労力で行った結果、ゆらゆらとしているように見えるだけだった

しかし早く動いているわけでもないその動きは、まるで剣の動きを全て予想しているかのように確実に避けている


『だいぶ良くなってきたね、剣の振り方から教える必要があったとは思えないよ』


「・・・肉体のスペックが違うんだ・・・よっ!」


『おっと!すぺっくってなんだい?』


「・・・性能って意味・・・だっ!」


『よっ!確かにそうだね、体はできてるからあとは知識と経験だけってのは・・・っと!』


「・・・当たらん」


二人の剣舞はそうやって深夜の訓練場で行われるのだが、「二人」いると知っている人間はグラハルト以外にはいない


なので城内では、夜毎にグラハルトが訓練していると噂になっている

それを見るためにメイドが夜の仕事(怪しい意味ではない)を率先してやっていたりとか

触発された一部の兵達もこっそりと訓練していたりする

・・・が、それは別の話


一時的とは言え、グラハルトが死んだあの日から、グラハルトは毎日欠かさずにこうやって訓練をしていた

昼はサリアと実戦形式で打ち合い、夜はエドワードと剣の訓練、夢の中ではエドワードと魔法の訓練をするというハードワーク

その甲斐あってか、グラハルトはかつて「蒼犬」と呼ばれた時代より、遥かに強くなっていた


しかし


「・・・まだだ・・・まだ俺は弱い・・・っ!」


『そう、弱い

ライアンの今の強さにはまだまだ足りない』


「・・・決戦の時までに、可能な限り強くなる」


『そう、決戦のときまでに

そしてその時は、決して遠い未来の話じゃない』


「・・・強くなる・・・なってみせる!」


彼はいまだ成長の途中であり、成長を諦めていなかった


蒼犬グラハルト




彼は今、レベルが200を超えていた

えー、最後の投稿が10月30日ですので、実に3週間も放置してしまったことになりました

毎回読んでいただいていた方々には本当に申し訳ないです


しかも本編が進まず閑話をはさむという暴挙っぷり

大変申し訳なく思っております


理由としては仕事が忙しかったという理由にもならない理由なんですがね・・・

いやもうなんていうか、通勤時間=睡眠時間みたいな?

家は大きなベッドですみたいな?

あれ、俺もしかして風呂とベッドさえあれば家帰んなくてよくね?みたいな状況だったわけでしてね?


えー見苦しい言い訳ですが、そんな状況も若干落ち着いてきましたので、今後はさすがに3週間に1度なんていうアホらしい更新速度にはならないと思います


1週間に一度・・・を目指して(←遠い目をしながら)更新していきますので、今後ともよろしくお願いいたします

完結まではなんとしてももって行きますので、よろしくお願いします

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