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ソウケンと呼ばれた親子  作者: タリ
第五章「アリサ編」
63/96

閑話・ケビン=デュラス

いつもお読みいただきありがとうございます


ケビン君の閑話でございます


あまり内容が無いので軽く読んでいただければと思います


読まなくても問題ないっちゃ無いです

異世界転生


小説やネット小説なんかではよくある設定


神様の不手際が原因だったとか、何の因果もなく突然そうなったりだとか


彼の場合は後者だった


理由もまったくわからず、ある日気がついたら突然そうなっていた

そうとしか言えないほどに、寝て、目を覚ましたらそうなっていた


周りには見たこともない人間ばかりで、家は明らかに自分の住んでいた場所とは違う場所

両親と思われる人物は、かつての自分の両親とは何もかもが違いすぎる別人だった


ケビン=デュラス


彼は前世とも呼べる記憶を持ったまま、この世に生を受けた



――――――――――



この世界において、文化レベルは決して高いとは言えない

あくまでも彼が生きていた時代と比べれば、と言う必要があるが


彼が生きていた時代は現代とほとんど変わりがない

違うことと言ったら、とうとうナノマシンという人類の夢見た技術の一つが実を結び、実用段階にまで移行していたことだろうか


ナノマシンとは文字通り、ナノサイズ(10の-9乗)の大きさしか持たない部品や機械を指す場合が多い

少なくとも、一般的な認識では「目に見えないほど小さな機械郡」というのが常識だろう

そういった意味で言えば、この時代のナノマシンは非常に大型であり、砂粒程度とはいえ確実に目視できる程度のサイズだった

実際にはナノマシンというよりも、ミリマシンとでも言ったほうがよさそうな大きさだったのは間違いない


だがその有用性は非常に高く、特に建築関係においては非常に効果的だった


なにせ多少のひび割れ程度であれば、十分な量のナノマシンを散布して、一定のプログラムにそって配置させてやるだけで補修が完了する

高額であったとはいえ、手間も作業員も、何よりも職人が培ってきた技術というものがいらない、というのは需要が高い

彼がこちらの世界に来る直前などになれば、建物ひとつがまるごとナノマシンで出来ている、などという建物さえ完成していた

ちなみにこの建物、10階建てで総面積3000平米という大規模建築物だったのだが、なんと全体工期が3ヶ月というありえない短期間で竣工した


詳しい原理や、その高度なプログラム技術については謎が非常に多いのだが、有用性の高さによってあまり着目されることもなかった


逆に一気に業界が活性化してしまったため、様々な問題が一気に現れたが、それを考えてもナノマシンの有用性は非常に高かった


その不透明性と、大量の問題を抱えた状態によって、建築業界以外にはあまり大きく普及しなかった

そういった事情もあり、現代と大きく変化した点はそれほど無かったと言えるだろう


彼が生きていたのは、そういう世界だった


それなりの生活をして、それなりの学生だった彼は、それなりの一日を終えた次の日には、異常とも言える世界に飛び込んでいた



――――――――――



現代知識を持っていれば、この世界の理屈や魔法の使い方は理解が早い

特に彼は学生として優秀なほうだったので(ついでに顔もそこそこ良い)、天才と言われていた

生まれも悪くない家だったこともあるだろう

一般教養は若いころから叩き込まれたし、剣だって持たされていた

いい師匠を両親がつけてくれたので、剣も魔法も使える天才的な人物として、周囲からは褒められていた


そんな彼が、魔法学園の入学、ということを決めるのは自然な流れであったといえよう

魔王が存在している(らしい)という話であれば、一人でも優秀な人材をさらに育て上げるのは、世間的に義務に近い風潮があった

彼自身、地方という枠に収まっているつもりも無かったし、自分の世界に戻れるなら戻りたいと思っていた

だから魔法学園で勉強し、世界を回って色んなことを知りたいと思っていた

10歳のときには自ら志願し、魔法学園への入学を決めていた


彼が14歳を迎えたとき、彼の両親は師匠と一緒なら、という条件付きで冒険者になることを許した


学園に入る前に実力をつけておく、という名目もあったし、彼の力は領地内に留めておくのはもったいないという判断だったらしい

一応すんなりいったわけではないと説明はしておくが、内容はそれだけで一つの物語が出来てしまうので割愛させていただく


それから2年間、海を越えたりはしなかったものの、各地を巡って活動していた

途中「蒼犬」の噂をよく聞いて、会ってみたいとは思っていたが、結局一度も会うことはできなかった



――――――――――



15歳のとき、何の気なしにふとある依頼を受けたことによって、彼の人生は大きく変化する


内容は遺跡調査だった

特に何の変哲もない、よくある内容だったし、報酬もいたって普通だった

しかし彼は、その依頼に添付された資料を見て驚愕してしまった


遺跡の入り口を模写したのであろう絵がいくつか一緒にあり、魔法でも使ったのか、妙にリアルな絵だった

その絵に描かれている遺跡の入り口

そこには、この時代ではありえない装置が映し出されていた


周囲は森らしく、入り口全体を見渡す絵には大量の木が描かれている

どうやら地下に向かって作られた施設らしく、入り口の上にはびっしりと木が生えている

重厚な鉄製の扉が入り口を塞いでいる絵、しかしその扉には、取っ手がどこにも見当たらない

入り口を斜めから写したのであろう絵、その絵には、扉の少し手前、人間の胸くらいの高さにそれがあった

ボタンがいくつも並べられ、かつては映像を映し出したのであろう画面

現代においてはよくあるが、この世界では考えられない装置

パスワードを入力するための、テンキーが備えられた装置がそこに存在していた



――――――――――



彼が依頼を受け、その遺跡に着いたときにはまず唖然とした

恐らく誰もパスワードの入力を理解できなかったのであろう、扉は無残なまでに破壊されていた


中に入ってみれば、ドアというドアは片っ端から破壊されている

これでは何も手がかりは手に入れられそうにないと思っていたが、逆に不思議だと感じた

なぜこれだけドアを壊され、明らかに中を物色されているというのに、依頼がまだ存在したのだろうか

普通に考えれば、これだけ散策されていれば遺跡の調査依頼が残っているはずがない

なのにいまだ残っているということは、まだ手付かずの部分があるのではないか?


そこまで考えた彼は、周囲を一切無視して、最奥部を一直線に目指していった


そして最奥部


そこには一際重厚な扉が設置されていた


まるで金庫のような巨大な扉

大銀行の奥にある(といっても彼はTVなどでしか見たことがないが)ような、巨大な金庫


かつて散策したものたちが破壊しようとしたようで、あちこちが焦げ付いたり、細かな傷ができていたりする

だが、壊された様子は全くない

ただひたすらに、何かを守るように、そこに存在していた


唐突に、機械音が周囲に鳴り響く


「声紋認証ヲ開始シマス、登録者デアル場合ハ、登録番号ノ入力デモ許可デキマス」


日本語だった


彼は懐かしい言葉に感動さえ覚えたが、一緒にいた師匠はまるで理解できていなかったのを見て、顔には出さなかった

しかしものは試し、とばかりに、答えてしまったのが功を奏した


「あ~、あ、あ、あ・・・こんな感じの声だったかな?」


前世の自分の声を思い出し、日本語で言ってみる

日本語にしたとたん、自分でも驚くほど前世の声にそっくりだった


「照合中デス・・・・・認証完了、ヨウコソ四乃神シノカミ博士、通行ヲ許可シマス」


呆気にとられてしまった


自分の知らない自分を、機械は呼んだ

不安も恐怖も感じたが、彼は先へと進むことを選んだ

この不安の正体も、自分が知らない自分のことも、この扉を潜った先に答えがあるような気がしたから




ケビン=デュラス15歳




この日、彼はこの世界の始まりと、終わりを知った

この話を投稿して思ったこと


ケビンだけで外伝作れるっ!?


うん、まぁそれを言ったら光輝君もそうか・・・


作る・・・?いや無理です、すいません


今後ともソウケンをよろしくお願いします

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