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ソウケンと呼ばれた親子  作者: タリ
第五章「アリサ編」
61/96

学園生活二年目・それぞれの行動

いつもお読みいただき、ありがとうございます


伏線の回収と、新たな伏線の発生と、中途半端に伏線回収です


なんとなく最近話がgdgdになってきてる気がしなくもないですが・・・


お付き合いいただけたら感謝でございます


それでは本編をどうぞ

魔法学園


そこは未来の有能な人材を育てる場所


冒険者・騎士・政治家


様々な道を目指す者たちが集い、時に競い合い、時に協力しながら、将来の目標を達成するために集う場所


そこでは多種多様な内容を教え、それぞれ別の道を目指すものたちを、可能な限りその能力を高めさせる場所


授業は一般的なものを除いて、ほとんどが少数でより深く、専門的に長所を伸ばしていくスタイルをとっている

そのため教員の数も多く、それなりの設備を揃えた施設も多く設置されている


特にトイレやシャワー等といった衛星関係の設備は完璧と言ってもいい

教師・生徒両方の女性陣から、強力な要請が耐えなかったために数多く設置されている

様々な将来のために様々な設備が敷地内に設置されているため、学園内は非常に広く、施設を見て回るだけでも1日を使ってしまう

そんな中にあって、5分もあるけばどこかしらにはシャワールームが存在する、と言えばどれだけ数があるか想像できるだろうか


当然そんな状況になれば、普段は誰も使わない場所というのが出てくる

そして、だからこそ使う、という人物も当然出てくる


この日、様々な場所で様々な人物達が、それぞれの想いを抱いてそういった場所にいた



――――――――――



人気のないシャワールームの一室


ついたてによって部屋を区切られ、カーテンで隠されたシャワールーム


その中で、黄緑色の髪を濡らし、普段はふわりとしているのであろう髪を後ろに流し、オールバックにするように水をしぼった人物がいた


グレイ=ティンカー


アリサパーティーの頭脳にして、後方支援担当

後方支援とは言っても、ダークプリーストという特性上、攻撃・回復・支援・敵能力低下という何でもござれの万能人物

非常に頭がキレる存在で、地味な役回りだが非常に有能、いなくてはならない中核的な存在

残念なのはその頭脳に対して、作者の頭脳が追いつかないということだろうか

恐らく彼が頭脳で活躍する場面は絶対に描かれないだろうという、非常に残念な人物だ

超がつくほどレアな特殊能力「幸運」を持っているのに、現実には不運という悲しい存在


「なぜか寒気がしたな・・・もう少し浴びるか」


彼は蛇口をひねり、温水を頭から浴びる


頭から温水が流れそれが体を伝っていき、体に熱が伝わるのを感じながら、独り言を呟きはじめる


「・・・蒼犬死亡の話を聞いたときには肝を冷やしたが・・・誤報で良かった

ここまでは概ね予想通り・・・といったところか」


人は考えを口に出すことで、頭の中が整理されることがあるという

彼はそれを身をもって理解しているので、こうやって独り言を呟くことが多い

もちろん人のいない場所を選んでいるので、周囲から不審がられることはない


さらにダークプリーストという職業は、盗賊の下積みを必要とする

そして盗賊という職業は、気配察知能力に長けた成長をする場合が多く、スキルもそれに関係するものを覚える

そのスキルを使って、周囲に人の気配、近寄ってくる気配さえも無いことを確認したうえでの呟きだった


「魔物の数が異常に増えていたのは予想外だったが、蒼犬の強さはそれ以上に予想外だったな

ライアンが魔物を倒したのも予想外だったが・・・」


再び蛇口をひねる

キュッという小気味良い音をたてて、温水の流れを遮断する

再び濡れた髪を掻き揚げ、髪をオールバックにして水を絞る


「・・・何にしても、予想より事態の推移が早い

学園トップの座は4年になってからで良いかと思っていたが・・・計画の前倒しが必要だな」


シャワールームを出て、近くにかけてあったタオルを手に取り、頭をガシガシと拭き始める


「今年中・・・遅くとも3年生のうちには・・・それまでに事態が動かなければいいんだけど、ね」


頭を拭き終わり、体を拭き始める

換気用の窓からふわりと風が入り、彼の髪をふわりと持ち上げた




黒い模様が、髪に隠れた後頭部に描かれていた



――――――――――



「里帰り?」


闘技場のような形をした模擬戦場で、アリサとレディ・バスカーがそう言った


「そう、里帰り」


それに返事を返すのはマキアだ


アリサ達がいる模擬戦場は、授業以外では普段人気が無いエリアになっている

理由としては、このエリアだけでも結構な広さがあり、ここまで来るだけでもそこそこ時間がかかるからだ

それに加えて、2年生以上は実践訓練として街の外に出る授業も多くあるので、模擬戦をする意義が少ない

1年生が使うことも稀にあるが、ほとんどの場合は新しい環境に適応している途中で、厳しい授業内容に慣れていない、なので滅多に来ない

そういう理由から、この場所を普段から利用しているのはアリサ達くらいしかいないのだ

(ちなみにアリサ達は全員がかなり早い移動速度なので、授業に遅れる心配なく、よく利用している)


「また急な話ですわね、どういう理由ですの?」


レディが率直にマキアに尋ねる

マキアは若干、苦い顔をしながら理由を話し始めた


「いやぁ、実は前から言われてはいたんだよ

でもほら、俺頭悪いからさ、1年のときはそんな暇なかったんだけど・・・

2年になって少しは余裕が出てきたから、また余裕が無くなる前に行っておこうかな~と」


「うん、この時期に行く理由はわかった

でも、行く理由がわからない」


そう返すのはアリサだ

確かに、と隣でレディが頷いている


「ん~、種族的な理由なんだよ

俺ら炎鬼族ってのはさ、一人前と認められたら奥技を授けられるってゆー伝統があるんだよ

俺の場合、一族ほったらかしにして出てきちゃったからさ、学園に入るのが一人前の証・・・ってゆー条件だったんだよね」


「ブハハ!それでおめー冒険者やってたのか?」


「そうそう、集落を飛び出したのが13のころで、入学条件が16じゃん?

それまで腕を磨いておこうと思って・・・ごめん正直に言えば金が無くって冒険者始めたんだよ」


「か・・・軽い理由ですわね」


「ふ~ん」


「まぁそんでさ、俺一人じゃ入学なんて無理だったと思うわけよ

実際2年連続で落ちてたし

でも今回入学できたのは、みんなのおかげだと思ってるんだ」


「ブハハ!確かにグレイが声かけてくれなかったら俺も落ちてたかもな!」


謙遜などではなく、バスカーは本気でそう思っているようだった

言い方こそ軽いが、その表情は笑っていない


「だろ?だからなんていうかさ、お礼じゃないけど・・・みんなを紹介したいんだ

あ、俺んちって集落じゃ結構良い立場だから、美味い飯くらいは出せるぞ?」


真剣な表情になって言う

実はマキアの真剣な表情というのは珍しい

普段は常に薄く笑いを浮かべ、戦いとなれば笑いをいっそう深くして楽しむように戦う

その微笑と、整っている顔立ちから、上級生下級生を問わずに密かなファンクラブができているのは余談だ


珍しい彼の真顔、それほど真剣に言われて無碍にするほど、アリサ達も薄情ではない


「わかった、行こうか」


アリサの同意だけで、全てが決まった


「ま、あなたがそう言うなら行ったほうがいいんでしょうね」


レディはアリサの力を一番理解している

アリサが行くと言えば行った方が確実にいい結果になるということを知っているのだ

もちろん全てが上手く行く、というわけではないが、確実にいいことが起こるということを身をもって体験している


「ブハハ!俺も行くとしよう!」


「ありがとう、みんな

詳しい話はまたあとでするよ」


マキアの故郷、炎鬼族の里


帰るべき場所を思い出し、マキアは遠くを見つめた



――――――――――



「・・・来ましたか」


魔法実験室、と呼ばれる数ある教室の一つ


数ある教室の中でも、授業以外で近づく人間が誰もいない教室

ここは普段、魔法の基礎を教え、それを実践するための部屋だ

だが昨今の魔法学園では、全く魔法を使えない人間というのは珍しく、使えなくても素質だけはある、という人物が多い

そういった人物は、書物や授業の話を聞いただけである程度使えるようになるし、感覚を掴むだけなら自分の部屋や中庭で事足りる

逆に完全に魔法が使えないタイプの場合、やるだけ無駄と諦めて全く近寄らない


そんな理由があって、授業以外で近づく人間は誰もいないのだ


しかしこの日は違った


声を出した学生以外にも、もう一人がこの部屋に来ていた


重鎧と言えるほどに追加装甲が付けられた元軽鎧

トレードマークとも言える、人間程もある巨大な盾

それに似つかわしくない、短剣を腰に挿している


アレックスだった


「何の用ですか、先輩」


アレックスは目の前の学生にそう尋ねる

学生は見たことも無い紺色のジャケットとズボンを着ている

アレックスにとっては、であって、日本人であれば学生のトレードマークとも言える服装だった

学生服といったらこれだろう、というほどに学生服らしい学生服を身につけ、3年生を意味する赤い腕章をつけている

黒目黒髪で日本人的な顔立ちは、どこか怪しい気配を放っている


「・・・腹の探り合いはやめようか、苦手なんだ」


「そうですか、実は俺もです」


「ははは、気が合いそうだね」


「残念ですが、僕は全くそう思えません」


「ありゃ、こりゃ厳しい

・・・そう睨まないでくれよ、敵じゃない・・・と思うから」


「どういう意味ですか?」


「・・・僕は異世界の人間なんだよ」


この瞬間、グラハルトのステータス画面には、進行したことを意味する黄色い点滅が発生していた

点滅したクエストの名称は


「異世界の学生」


しかしアレックスには、そんなことを知る由も無かった

お読みいただきありがとうございます


もう少し学園編は続きます


その後はアリサ側の連話を投稿していく予定です


なんとなく、話に飽きを感じさせてしまいそうな内容なのですが、勉強していきますので、今後ともよろしくお願いいたします


今後ともソウケンをよろしくお願いいたします

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