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ソウケンと呼ばれた親子  作者: タリ
第四章「現在編」
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聖騎士の贈り物5

書いていて思ったこと


この話必要だったか?つまんなくね?


第三者視点ができたんだと考えよう、うん


タイトルと最初の部分は連動して、後ほどつながります


ネタバレ?すいません・・・

「・・・ぐっ・・・かはっ・・・」


ある男の胸を剣が貫いていた


刺さった剣は鎧を貫通し、背中から飛び出している


見ただけで致命傷だとわかる


穴の空いた胸からは大量の血が流れだし、大地に赤い水溜まりを作っていく


「グラハルトぉ!」


サリアが呼んだ男は、力を失って地に膝をついた


男の血に濡れた剣を持つ別の男が、高らかに笑っていた


狂ったような笑いだけが、周囲に響いていた



――――――――――



「・・・俺が突っ込む」


魔物の侵攻に対する前線の砦

その中の会議室では、今回の作戦について話し合いが行われていた


参加しているのはグラハルトとサリア、砦の建設時から駐屯している第二騎士団の団長、今回の砦建造に大量の資金と人手を提供した上流貴族、そしてなぜここにいるのかわからない貴族が一名

さらにグラハルトを除いた全員の補佐という、総勢九名が話し合いをしていた


話し合いと言っても、内容は大したことは話していない


理由は簡単で、簡単だからこそどうしようもない


相手の数が多すぎるのだ


デュラン=マクスウェルが準備した対抗策の数々は、全てと言っていいほどがこの砦に集められている


だがその全てを使ったとしても、万を遥かに越える数の敵を殲滅できるとは思えなかった


自然と会議は落ち込み、デュランでさえ予想できなかった、魔物の大侵攻という事態に頭をかかえていた


グラハルトが発言したのはそんなタイミングだった


言う人間が違えば、ただの無駄死ににしか思えない発言だが、彼が言ったからこそ意味があった

彼だからこそ、なんとかしてしまうのではないかと思えてしまった

彼が死ぬところなど、誰も想像できなかった


「バカを言うな、死ぬ気か!」


サリアだけが反論した


彼女は本気で言っているのだろう、目が本気マジだった


「・・・信用できんか?」


「そうじゃない、信用はしている

だがお前は言うなれば切り札だ、お前に万が一があったら我々は全滅なんだぞ?

本国から応援が来るまで守りに徹するべきだ」


「・・・応援が来たからといって、・・・勝てる理由にはならん」


「しかし!」


二人が話している間に入ってきたのは、なぜいるのかわからない貴族・・・面倒なのでB貴族でいいだろう


「よいではないか、蒼犬ならば簡単には死にますまい

我々がきちんと援護すればよいのでは無いですかな?

その際には是非とも我が兵団をお供させましょう」


ようするにこの男、手っ取り早く手柄と名声が欲しかったのだ


蒼犬と供に最前線で戦った、蒼犬が自分の部下として戦ったという事実が欲しいのだろう

B貴族のBはBA☆KAのBだ、きっとそうだ


そのためだけに、わざわざ危険とわかっているこの場所に来たのだから、その根性だけは誉めてあげたいところだ、BA☆KAだが


非常に残念なことに、実際問題それ以外の有効な手段を、誰も思い付かないことが事実であった


結局はBA☆KAの言う通り、十分な支援体制をした上で蒼犬が突っ込む、という方針で決定した


サリアだけが最後まで反対していたが、グラハルト自身が行くと言って聞かなかったため、サリアが折れた


ただし条件として、サリア率いる聖壁部隊が追従することになった

B貴族の部隊も、結局一緒に行動することになったのは何故だろうか



――――――――――



そして戦いの時はやってきた


魔物の軍勢は目に見える距離まで迫ってきている


黒い波にしか見えなかったその軍勢も、今では魔物達の一体一体を確認できる


砦の全面に広がっていた広大な荒れ地は、いまや黒い波にほとんどを飲み込まれている


対するグラハルト達の軍勢は、まるで黒い海に浮かぶ小舟のような人数しかいない


何も無ければ、砦ごと押し潰されてしまいそうな弱々しさだった


魔物の軍勢を前に、グラハルトとサリアが話している


「ハハハ・・・さすがにこれは笑えるわね・・・」


人間どうしようもなくなると笑うらしい


サリアが笑ったのは敗けを悟ったからなのか、それとも隣に立っているグラハルトが、余裕を与えてくれるからなのか

彼女は前者だと判断したようだった


「・・・雑魚ばかりだ、・・・数以外の強さは無い」


グラハルトは冷静に観察をしていたようだ


言われてサリアがよく見れば、確かに納得できる言葉だった


繁殖力は高く、猿なみの知能はあるが身体能力が低い、というタイプの魔物が多い

中型犬が二足歩行したようなコボルト、緑の肌が気持ち悪いゴブリン、力はあるが猿よりバカと言われるマッチョな見た目のオーク


少なくとも見える範囲では、これらの種族が7割を構成しているようだった


「なるほど?

こうして見れば確かになんとかなりそうね

・・・他の人は気づいてるかしら?」


「・・・大丈夫だろう、・・・他の奴らは優秀そうだった」


「そうね・・・

向こうに影響が出ないように、わざわざバカを引き受けたんだしね」


「・・・ひどいな、・・・あれと一緒じゃバカがかわいそうだ」


「あっはっはっ!確かに!ただのバカのほうが遥かにマシだわ!」


唐突に二人は真剣な表情に戻る


サリアは背負っていた盾を持ち、短剣を握りしめる


グラハルトはバスタードソードを一度振り、肩に担ぐようにして持つ


「一つだけ聞いてもいいかしら?」


「・・・なんだ」


「どうしてこんな戦いに加わってくれたの?」


彼女は真剣に疑問だった


蒼犬という人物の性格を考えても、一人の人間に頼まれた、というだけの理由でこんな大軍勢と戦うなど信じられない


自分達のように、国を守るという大義名分目には無い

国に守りたい誰かを残してきたというわけでも無い

例えこの戦いに勝ったとしても、何かを得ることを約束したわけでもない

戦いのみを追い求める狂戦士であったとしても、この大軍勢を前にすれば裸足で逃げ出すだろう


その中にあってグラハルトは、逃げるでも怯えるでも狂うでもなく、淡々としていた


彼がそうであるからこそ、今この砦にいる誰もが落ち着いていられるということは、誰も気づいていないのだが・・・


グラハルトは、小さな声で答えを呟いた


「・・・男の頭は・・・軽くないからな」


それだけの理由だった


グラハルトにとってはそれだけで十分だったのだろう


金でも、名誉でも、権力でもない


ただひたすらに真摯な態度だけが、彼を突き動かした


それだけで、否、それだけが、彼が動く唯一の理由なのかもしれない


「・・・それだけで十分だ」


グラハルトは剣を担いだまま、黒い海に向かって歩き出す


「・・・男って馬鹿ねぇ」


サリアがそれに続くように歩き出す


短剣を持った片手を上に上げ、仲間たちに合図をする


グラハルト達はすぐに走り出し、黒い波に向かって突撃をしていった



――――――――――



「・・・本気でやる、・・・打ち合わせ通りに頼む」


「わかってるわ!援護はまかせなさい!」


走りながらグラハルトとサリアが会話する


サリアは仲間に指示を出すために、いったん速度を緩める


それとは逆に、グラハルトはさらに加速して行く


「・・・本気を出すのは久しぶりだな」


誰にでもなく呟き、「本気」を出すために準備を始めた


エンシャント・ルーン言語による呪文が詠唱され、彼を立体型魔方陣が包み込む


「形態変化解除!ルーンナイト!!」


彼の鎧が変化していく


いつものように色が変わっていくが、いつもとは違う色だった


いつもの黒ではなく、アルドラを倒した白でもなく、蒼犬と呼ばれた理由の蒼でもない


鉄の色、鈍く輝くその色は、質実剛健を表したかのように力強い


鎧は重鎧だが、動きを阻害しない程度に一部が取り外されている


肩と腕には重量を感じさせる大きめの装甲があるが、二の腕部分は存在しない

足腰も同様に、大きめの装甲だが、太ももの部分は何も無い

腹は無いが、胸の鎧は厚く、生半可な攻撃など通さないのが一目でわかる

兜は蒼のときのように、顎部分が存在しないが、兜そのものが大きくなっている

マントは赤く、黒ずんだ血のような色をしている


その姿は騎士


強さを象徴するようなその姿は、騎士という言葉が似合う姿だった


「能力開放!フォースドライブ!!」


その姿もすぐに変化していく


鉄色だった騎士の姿は再び魔方陣に包まれ、その姿を変化させていく


だがその魔方陣は、普段よりも明らかに巨大だった


三重に展開された魔方陣は複雑に絡み合い、グラハルトの姿を完全に覆い隠す


フォースドライブ


それこそがグラハルトの「本気」を出すスキル


ゲーム上では使うことができなかった最終手段


最後のクエストを達成したことで使えるようになった、究極の戦闘スタイル


グラハルト第四の形態とも呼べるその状態


その戦闘スタイルとは


「全て」


だった


彼が変化できる全ての形態の能力を持つ


全てのスキルを使える


全てのスタイルで使えないスキルが使える


世界最強の男が使う、世界最強のスキルだった


立体型魔方陣が一際輝き、光の中心からグラハルトが飛び出した


飛び出したグラハルトが、魔物の軍勢に向かって、最初の攻撃を繰り出した


「剛剣!フォースブレイド!!」


剣から光が迸る


黄金色に輝く光が、触れるものを一切の容赦なく消し飛ばす


それは魔物であるか否かなど関係ない


木々も、草も、大地も


全てを無慈悲に消滅させていく


たった一撃


それだけで、グラハルトの前方20メートル近くに渡って、全ての存在が消滅していた




「ぬぅうううぁあああああああああ!!!」




グラハルトは叫びながら、魔物の大軍勢に向かって突進していった

えー、次回の話はグラハルトが無双というやつをやる予定です


作者の描写力の問題で面白く書けるかどうかはわかりませんが、精一杯がんばらせていただきます


皆様の期待に答えられるようにがんばりますので、今後ともよろしくお願いいたします

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