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ソウケンと呼ばれた親子  作者: タリ
第四章「現在編」
44/96

死神の取引7

伏線回収・・・できてない・・・だと・・・?むしろ増えただと?


馬鹿な・・・一体何があった・・・


文才が無いだけですね、すいません


連話「死神の取引」はこの話でおしまいとなります、ちょっと長いかな?


読んでいただけたら幸いでございます


※このお話の後、1時間後に累計PV4万件突破記念として、職業やスキルなんかに関する設定の話を予約投稿してあります


本編には全く影響しないうえに、やたらと長くなってしまいましたので、興味の無い方は読まないほうがいいかもしれません

グラハルトの告白が終わり、光輝とその仲間達と共に夕食を食べている時


別の場所ではアルドラが一人ぼやいていた


「くっそ!これじゃあ俺には何の役にもたちゃしねぇ!

あの死神野郎め!何が願いに近づくだ!ぶっとばして・・・あぁくそ!わかってて力を奪い取りやがったなあの野郎!!!」


アルドラはかなり荒れていた


ありえないほどの力を持つグラハルトの過去を見て、その内容を参考に自分を強くしようとしていたアルドラなのだが、内容のほとんどを理解することができなかった


異世界から来たのではないかと予想こそしていたが、見た世界はまるっきり文化・・・というかそもそも世界の成り立ちからして全く違う世界であったし、グラハルトが何をしているのかさっぱりわからなかった


わかったのは奇妙な箱の中に映像が流れていて、その映像の中にいたキャラクターの名前がグラハルトということだっただけだ

しかもそのキャラクターを操作しているらしい男は見たこともない凡人で、今のグラハルトからは似ても似つかない、何の力も威厳も感じないそこらへんの一般人だった


ただ箱の中の映像を見る限り、こちらの世界の一部を覗いているような形だったということだけはわかる、アルドラが見たことのある景色や名前が違うモンスター等が表示されていたからだ


「もしかしてグラハルトは他の場所から操作されてんのか・・・?

いやそれにしちゃぁこっちに来てからの記憶が変化しすぎてた、やっぱりあの箱の中にいたグラハルトになってこっちに来た・・・ん?なんか引っかかったな?なんだこの感じ」


自分の考えを声に出したり誰かに説明したりすると、自分の中での考えが整理されるというが、悪魔でもそういうことはあるらしい

自分の推測を口に出していたアルドラは、何か違和感を感じてさらに続けてみる


「もしかして勝手に連想してただけか?

操ってた男がグラハルトになってこっちに来たと思ってたけど、実は別々の存在だったとか?グラハルトだけがこっちに来たとか?

じゃあもしかしてあの箱は肉体を作り出すなにかの装置だったとか・・・?」


荒唐無稽とも思える発想なのだが、そもそも異世界から来た人物に対する考えの時点で荒唐無稽なのだと思ったアルドラは、自分に思いつくあらゆる可能性を口に出してみる


「いやそもそもグラハルトはほんとに異世界から来たのか?グラハルトに「なった」のが5年前なだけで、グラハルト自体は昔からいたんじゃねーのか?

いや待て・・・器・・・そうだ器だ、あれほど強力な存在が収まる器なんてそうそうあるもんじゃねぇよな、あんなぶっとんだ力なんてベテランの冒険者でも収まらねぇ・・・

5年前・・・?5年前!?」


唐突にアルドラはある事を思い出す

自分が関わったある事件を、力を求めて力を探していた時期に起こった事件を


「・・・まじかよ、・・・ありえんのか・・・?」


「気づいたか?」


不意に後ろから声が掛けられた


「・・・死神か?」


アルドラが声のしたほうを振り向くと、そこには黒いローブを纏った「死」があった


黒いローブはボロボロで布切れと言ったほうがよさそうなほどだらしない

不思議なことにそのローブは中身が見えそうなほどに穴が開いているというのに、その中にいる人物を見ることは全くできない

無限に続く暗闇が形を持ったかのようにそこに立っている姿は、死という言葉を連想させる恐怖を纏っていた


「・・・難儀しているようじゃな」


「・・・おかげさまで、気づいたかってのは?」


「答えじゃ

それこそがお主が真に求める望み、そこに繋がる唯一の道標、不可能を可能にする死神の取引じゃ」


死神と呼ばれた存在はローブに隠れた奥の暗闇から音を発している

なんとも言えない不気味な音は、本当にそう言っているのかも疑問視できるほどにかすれた音を出しているが、アルドラにははっきりと聞こえる


「・・・5年前、それが鍵を握ってるんだな」


「いかにも、一つの死が一つの生を生み出す

まこと不思議なるは悪魔でも死神でもなく、人間の生み出す奇跡よ」


死神は笑う


かすれた音が笑っているように聞こえるだけなのだが、確かに笑っている


顔も見えない、体も見えない、ただそこにあるだけの暗闇が笑っている


何も知らないものが見れば、それはただの恐怖、ただの死という存在が手招きしているようにしか見えないような光景だ


だがアルドラもまた笑っていた、死を前にして笑っていた


「・・・それが、俺の願いを叶えてくれるんだな」


「魔神になることと、願いを叶えることは同じではない、どちらか一方しか選べぬ」


「十分だ」


死と向かい合う悪魔は、三日月を貼り付けたような独特の笑顔をしていた



――――――――――



「・・・む?」


「どした?」


場所は変わり、外観からは全く想像できないほど広いテントの中


ソファーでくつろいでいたグラハルトは唐突に何かに気づいたように声を出した


「・・・いや、・・・クエストが一つ終わったようだ」


「クエスト?そんなんわかんの?」


「・・・ああ、あんまり役にはたたんがな」


グラハルトは何もない中空を見るような顔をしたあとで、何もなかったかのように元に戻る


「ふ~ん、まぁいいや」


光輝はネットゲームの類をあまりやったことが無いようで、そういったキーワードには特に反応しない

話を色々聞いた限りでは、彼は前の世界ではスポーツ少年だったようだ

ネットゲームどころか家庭用ゲームでさえほとんどやったことがないような、現代においては珍しいタイプの人生を送ってきたらしい、そしてモテたらしい


「それよかさ、旅の話聞かせてよ

5年も世界中回ってたんでしょ?色々おせーて」


「・・・教えてもらう態度をとったらな」


「将軍殿!教えてほしいであります!こうですか将軍!」


「・・・誰が将軍だ、・・・話といっても一人でいたのは3年くらいだ、・・・あとはアリサと一緒だったな・・・」


「アリサ?誰それ女の子?かわいいの?」


「・・・義理の娘だ、・・・手を出したら・・・コロス」


「将軍!本物の殺気が出ているであります!怖いであります!もう死にたくないであります!!!」


「・・・じゃあ手を出すな」


「了解であります!!!」


絶対に手を出さないことを誓いつつ、一度会ってみたいなぁなんて思った光輝であったが、なぜかそれを察知したグラハルトにぶっ飛ばされてお星様になったのはお約束というやつだろう



――――――――――



「ん~~~!いい朝だ!寝心地最高だった!」


翌日、清清しい朝日に照らされて伸びをしている光輝がいた


その隣ではいつもと同じように仲間達が揃っている


いつもと違うのは端っこにグラハルトがいることくらいだろう


「あふぁ~・・・まだ眠いです・・・」

「む~・・・こんなに寝られたのは久しぶり」

「・・・・・ぐぅ」

「しっかりしなさいノア」


女性陣はそれぞれがそれぞれの感想を抱いているようだ


見た目はただのテントだったのだが、安眠効果に回復効果、並の魔物には見えない触れない近づけないという超高性能テントであったために、夜の警戒の必要もなかったためぐっすりと眠ったようだ

ものすごく欲しそうにしている光輝の目がグラハルトに向いていたが、グラハルトはあえて気づかないふりをしてやりすごしていた


結局昨晩は遅くまで光輝曰くグラハルト武勇伝を語る羽目になったので、さすがのグラハルトも若干眠気が残っているようだ


「いや~助かったよ!こんな高性能アイテムがあるなら旅も快適なんだけどなぁ!」


「・・・やらんぞ」


「チッ、バレたか」


二人は冗談もそこそこに、真面目な顔に戻って会話する


「・・・これからどうするんだ?」


「さぁ、とりあえず蒼犬は強かったって報告はするけど」


「・・・アルドラは狙わなくていい、・・・今のあいつは馬鹿なことはしないだろう」


「悪魔アルドラをか?まぁグラハルトさんが言うならわかったよ」


ちなみに一晩かけてなんとか蒼犬からグラハルト「さん」にまで再教育できた、グラハルトにしては珍しくがんばったほうだと思う


「そういうグラハルトさんはどうすんだい?行くアテはあるの?」


「・・・今も昔も変わらんさ、・・・アテなんかあった試しがない」


「はっはっはっ!さすがだな!何なら一緒に旅するかい?」


「・・・馬鹿言え、・・・お前みたいな馬鹿の相手してられるか」


「ヒドイ!真面目に誘ったのにヒドイ!」


冗談っぽく大げさに泣き真似を始める光輝を見て、グラハルトはどうしても思ってしまう

光輝とその仲間達を見て、どうしても考えてしまう

かつて自分と一緒にいた仲間達のことを・・・

こんな風に馬鹿な話していたことを、あれがリアルだったらこんな感じだったのかと、馬鹿な会話をして、馬鹿な行動をして、それでも何かをやるときはいつでも一緒だった彼らのことを・・・


帰りたい


そう思ってしまう


帰りたくない


同時にそうも思ってしまう


今のグラハルトはこの世界に来たばかりの頃とは違う


知り合いができた、仲間と呼べる相手ができた

アリサを拾った、家族と呼べる相手ができた

光輝と会った、似たような境遇の共感してくれる相手ができた


今の自分にはどちらを選ぶか決めることができない


だがいつか選ぶ日が来ることをグラハルトは知っている


その日が来るまでに自分は選択をすることができているのだろうか


グラハルトは答えの出ない答えを求めていた


「うっし、行くか!」


気づけば光輝達は旅立ちの準備を終えていた


「・・・あぁ、そうだな」


グラハルトも立ち上がり、テントを出した時と同じように一瞬で消し去る


いつも通りの鎧姿で、いつも通りの顔の見えない兜をつけている


グラハルトは光輝達を見る


彼らはすでに歩き始めていた


出会ったときと同じように、太陽を背にしている


太陽を背にしたせいで影ができ、全身真っ黒になっているように見える光輝だが、こちらを振り向いてグラハルトのほうを向いているのがわかった


光輝はグラハルトに向かって声をあげる


「グラハルトさん、またな!」


別れの言葉は普通の言葉にすぎないはずだった


しかし今のグラハルトにとって、何故かその言葉は、心の奥底に響いた


「・・・あぁ、またな・・・だ」


また会おうという約束、ただそれだけの意味しか持たない言葉


たったそれだけの言葉は、グラハルトの魂を揺さぶる


この約束をこの世界でどれだけしただろうか


この言葉を交し合える人物とどれだけ会ってきただろうか


例えばこんな風に、気軽に言い合える相手がどれだけいただろうか


「・・・またな・・・か・・・」


グラハルトは光輝達が見えなくなるまで、その背中をずっと見つめていた



お疲れ様でした、これにて死神の取引編は終了となります


第三章自体はまだまだ続きますのでお楽しみください


いやぁ、それにしても光輝くん、書いてて楽でした、やっぱり馬鹿はいいですな


今後も出てくるかもしれないのでお楽しみにしてくださいませ


それでは今後ともソウケンをよろしくお願いいたします


※1時間後に予約投稿してある設定などに関するお話のほうで、今回の連話に対する補足のような内容がございます

興味がある方はそちらもご覧ください


しつこいようですが「長い」うえに「見づらい」ので、興味の無い方は本編に影響しませんので、お読みにならないほうがいいかもしれません

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