学園生活一年目・実技訓練
よし、落ち着こうか
累計PVが2万件を突破しているなんて気にする必要はない、そうだよなジョニー
ジョニーって誰だ
あざああしゃありゃああす!!!(意味不明)
魔法学園の広大な敷地の中、実技演習場という名のコロシアムのような場所
円形の闘技場が中心に一つあり、それを囲むように大小合わせて8つの似たような闘技場がとなり合わせに繋がっている
円の外周が客席と通路になっており、人間6人が横に並んで歩いても大丈夫なくらいに幅広い
まさにコロシアムのような古代ローマを思い出させる建築様式なのだが、どうやらどこの世界も似たような環境なら似たような美意識を持つということらしい
その実技演習場では現在、アリサ達の学年である一年生がいくつかのグループでわかれて各演習場にわかれていた
今回の授業は生徒同士での戦闘演習のようだ
――――――――――
「ふふふ、今こそ名誉挽回の時ですわ!
覚悟なさいアリサ!!」
レディが鼻息荒く演習場に立ち、目の前の対戦相手を威嚇(←?)している
対戦相手であるアリサはゆっくりと中心に向かって歩いていく
両手にはグロウスではなく、木製の剣を持っている
ふっと笑うように息を漏らし、レディを挑発する
「レディ、痛くても泣かないでね」
「きーっ!いつまでも昔のままだと思わないでくださる!?」
昔のまま挑発に乗ってしまうのだから説得力がない
アリサと同じく木製の剣を片手に、もう片手に持った木製の軽盾を前に構え、レディは準備が整ったことを意思表示する
「行きますわよ!」
「行くよ!」
双方同時に駆け出し、演習を開始した
――――――――――
「どっせええぇい!!」
荒い掛け声とともに床に激突し、小規模な爆発を起こしたのはマキアだった
「真っ直ぐというか馬鹿正直というか・・・
俺ならともかく他の奴らには当たらん・・・よっと!
ファイアアロー!!」
詠唱破棄した魔法の矢を放ったのはグレイだ
実技演習なので本来魔法は禁止なのだが、相手が炎鬼族なので火系で傷つくことはない、という理由で許可されている
ただしマキアも避ける前提での条件だが
「むっ!」
素早い動きでその場を飛び退き、魔法の矢を回避したマキアはすぐさま正面から突っ込んで行く
「馬鹿正直は!当たればでかいんだよっ!!」
「当たらなければ0ですよ・・・っと」
マキアの突進を横に避けたグレイは、待機させていた魔法を発動させる
「ぬぁ!?」
グレイの後方、マキアが突っ込んで行った先に炎の壁が立ち上がる
「こういうことをしてくる相手もいるんですよ?」
「ぬああぁ!まだまだああぁ!!」
再び突っ込んで行くマキアを見てグレイは呟く
「ま、蒼犬レベルになれば馬鹿正直も有効ですがね・・・」
二人の演習は物理的な意味で熱くなっていった
――――――――――
「トールハンマー(弱)!!」
「パワーシールド!!」
雷のような音とともに降り下ろされた槌が巨大な盾によって防がれる
戦っているのはバスカーとアレックスだ
「ブハハ!お前さんほんと強えな!
無名なのが信じられねぇぜ」
「ま、師匠と一緒だったからね
ただし今までは、だ」
そう言いながらアレックスは、レディとは違う大きな盾、いわゆる重盾を前面に構える
「盾だって攻撃に使えるんだよっと!!」
盾を構えたままバスカーに向かって突進、何の小細工も感じられない力任せに見える
「ブハハ!力勝負で俺に挑むか!
雷撃を!なめんな!よ!!」
バスカーは力をためている
見るからに筋肉が盛り上がり、全力で攻撃するつもりのようだ
木製の槌(金属製は鎚と書く)はミシミシと音を立て、持ち手の部分がひび割れていく
「うおおぉ!」
「どおぉりゃあぁぁ!」
盾と槌がぶつかり合う
バスカーとしてはアレックスを思い切り吹き飛ばしたつもりだった
だが結果として、アレックスは衝撃で踏みとどまったものの、吹き飛んではいなかった
吹き飛んでいたのは槌の、ひび割れた部分から先のほうだった
「ありゃ?」
「演習用の武器が、そんな力に耐えられるワケないだろ?」
盾から飛び出していたアレックスが、バスカーの喉元に木製の短剣を突き付けていた
「ブハハ!これが狙いだったか!
参った参った、俺の負けだ
ブハハハハ!」
バスカーの豪快な笑い声は、悔しさを感じさせることはなかった
――――――――――
「・・・ぜーぜー」
「おいおいグレイ!もうへばったのかよ!?」
グレイとマキアのほうも決着がついていた
主にグレイの体力的な理由で
「マ・・・マキアと一緒にしないでくれ・・・
こっちは後衛型で、しかも魔力の吸収とかできないんだぞ・・・」
そう、前提条件からしてグレイが勝てるわけが無かった
火系の魔法しか使えないのに、火系をくらうとどんどん強くなるマキア
おまけに物理攻撃は全て無効化する炎鬼族の特性、なによりマキアがバカなので挫けるという発想がないため勝機が無い
唯一の方法が負けを認めさせるやり方なのだが、バカなので負けに気づかない
「・・・バカには勝てん・・・」
グレイが心折れたことで勝負は終わった
――――――――――
「ハッ!フッ!ていやっ!」
「・・・よっ・・・と」
アリサとレディはいまだに戦っていた
アリサは二本の剣を巧みに使い、攻撃に防御に止まることなく動き続ける
レディは盾と剣で役割分担させている正統派スタイルだが、時に体全体で攻撃を避け、盾で殴りかかるなどといった実践的な動きをしている
お互いにかすりこそすれど、一撃が入ることなく剣舞を続けている
「強くなったね、レディ」
「当たり前ですわ、成長は子供の義務ですわよ?」
「・・・義務かぁ」
剣舞の合間に会話しているあたり、二人が全力でやっていないのがわかる
「確かに成長したよね・・・、特に胸が・・・」
「なっ!変なとこ見ないでくださる!?」
ポコンッ
顔を真っ赤にして胸を隠そうとしたレディの頭に、アリサの剣が当たった
「感情を抑えるのはまだまだね」
ぽかんとしているレディをよそに、アリサは振り返ってそのまま出て行こうとする
「むきー!ズルいですわよ!
もう一度!もう一度真剣勝負ですわ!」
「順番だからまた今度ね、後の人が待ってるよ」
言われてレディは周りを見ると、順番待ちをしている生徒を含めここにいる全員がレディを見ていた
「む・・・むぅ〜!」
ぷるぷると震えながら涙目で睨む姿は非常に愛らしく、この日に「レディの涙目見てみ隊」というファンクラブができたらしい
「むきー!覚えてなさい!次こそ絶対勝つんですからね!」
「ふふ・・・楽しみにしてる」
ちなみにアリサのほうは「アリサ教」という宗教レベルのファンクラブができたらしい
完全に余談なので二度と出てこないだろう
――――――――――
「全員お疲れのようだな
自分の強さがどれくらいか確認できたか?」
虎っぽい獣人の教師が話をしている
授業の終わりということらしいが、一部を除いた生徒のほとんどが疲労でどうでも良さげに聞いている
「ま、今回は確認だからな
次回からはまた違う内容になるが、教師も複数人でやるようになる
上級生との合同演習なんかもあるから、体力つけとけよ」
冒険者あがりの生徒は適当に返事をしているが、そうでない生徒は顔を青くしていた
「・・・お腹空いた」
もちろんアリサにそんなことは関係なかった・・・
アリサパーティー内での実力比較でした
バスカーは手加減というか真面目にやってなかったので微妙な終わりですが、模擬戦なのでみんな似たような状況です