蒼犬と愛犬家
皆様いつも読んでいただきありがとうございます
内容をご覧いただく前に報告を一つさせていただきます
累計PVが1万5千件を突破いたしました!うひゃほひふははー!
毎日見ていただいている方々も日々増えていくのがとても嬉しいことで毎日チェックしてしまいます
お気に入り登録が増えるたびにドキドキが止まりません
えーそんなわけで設定や説明などに関する話を制作しようかと考えておりますのでお楽しみにしてください
また感想や意見やつまんねぇよこの野郎、こうすればいいんだよ的な話はいくらでも受け付けておりますので、思うところありましたらよろしくお願いいたします
治せる部分は頑張って治していきます
それでは本編をどうぞ
ある宿屋の一室
高級宿の高級な部屋らしい一室に、一人の男が姿見の鏡の前に立っていた
身長は180センチを軽く超えている
さらさらの髪の毛は白に近い銀髪で、肩まで伸びているが、決して不潔な印象は無い
目鼻立ちは異常に整っており、イケメンもイケメン、モデルや俳優なみに格好良く、西洋系と東洋系のいいとこ取りをしたような顔立ちをしている
鎧の下に着るような体にぴっちりフィットした服を来ていて、筋肉質な体つきがはっきりとわかる
その体つきも、筋肉ムキムキマッチョというわけではなく、所謂細マッチョという見栄えするスタイルをしている
鏡で自分の姿を確認しながら、男は独り言を呟く
「・・・もう5年・・・か・・・
人生は何かするには短く、何もしないには長すぎる・・・か、誰の言葉だったかな」
男は鏡に移る自分を足元から上へとじっくり眺めていく
「この身体も・・・この顔も・・・さすがに慣れたな・・・」
身体の動きを確認するように、手を開いたり閉じたりしている鏡の中の自分を、まるで他人を見ているような目で見ている
ふぅと溜め息を着いて視線を外し、ベッドへと向かい仰向けに寝転がる
そして中空を眺めながら、何かを見ているかのように視線を動かす
「残ったサブクエストは三つ・・・
死神の取引、初代学園長の遺産、異世界の学生・・・
あとはメインクエストだけか・・・」
視線はさらに動き、中空に見えない何かがあり、それを見ているような不思議な顔をしているが、そこに何があるのかは本人以外には見えない
そしてその場には、その動きを見ている存在は何もいなかった
「・・・手掛かりが見つかったとして・・・俺は・・・本当に・・・」
彼が最後まで想いを言葉にすることはなかった
ドアがノックされ、誰かが部屋に来たようだ
「お父さん、起きてる?」
――――――――――
「悪いですね、無理にお願いしちゃって」
「別にいいよ、約束してたんだし」
宿の廊下をアリサと共にアレックスが歩いていた
二人とも鎧は着けておらず、着やすさを重視した服を着ている
アリサは鎧の下に着るぴっちりフィットする髪と似た青色のインナーの上にパーカーのようなグレーの上着、赤色で左右が長くなっているスカートをはいている
アレックスは同じくインナーを着ているが色が黒い
その上にグレーのポンチョのような肩掛けを身に付け、茶色のズボンをはいている
二人ともかなりの美形なので、端から見ればデートでお泊まりに見えてしまうのだが、残念ながら二人は別の目的でここに来ていた
特に会話するでもなく、目的の場所に着く
「お父さん、起きてる?」
ドアをノックし、中の人物を呼び出す
数秒とせずに中から目的の人物が出てきた
「・・・どうした?」
中から銀髪の男が出てきてそう言った
先程までのインナーの上に青い法衣のような服を纏っている
ギル○ィギ○のカ○、ブレ○ブ○ーのジ○のような服と言っておく
「あれ、素顔でいるなんて珍しいね」
アリサは見慣れているというわけでも無いが何度も見た顔なので特に驚かない
「あ・・・蒼犬さんの素顔・・・?」
逆にアレックスはかなり驚いている
蒼犬は鎧姿こそ有名だが、素顔を知るものはほとんどいない
実は鎧が勝手に動いているんじゃないかという噂まであるほどだ
「は、初めまして蒼犬さん!アレックスと言います!今回の試験でアリサさんと一緒に行動させていただきました!」
ワイルド系の見た目の割に礼儀正しいアレックスを見たグラハルトは、ジーっとアレックスの目を見つめる
「・・・グラハルトだ、・・・そう呼べ」
「え?あ、はい!よ、よろしくお願いします!グラハルトさん!」
――――――――――
場所は変わり、喫茶店の中に三人はいた
鎧姿でないグラハルトに加え、普段着のアリサとアレックスなので、特に目立つこともなく喫茶店の一画で話している
「・・・聖騎士か」
「はい、師匠が学園の入学を薦めてくれまして・・・
守るべき仲間がいてこそのパラディンだと」
聖騎士
盾を使った強力な防御能力を誇るクラスで、守りに徹すると難攻不落の要塞となる・・・ように成長できるクラスだ
防御特化と言えば簡単なのだが、この世界においては魔法があるので、その戦闘スタイルは人によって大分変わる
防御と一口に言っても力と盾があればいいというわけではなく、どんな攻撃が来ていてどんな防ぎ方が適切なのかを理解できていなければ、ただの動く的に過ぎない
しかも魔法がある以上は、どんな魔法でどんな属性でどういう過程を通るのか、それらを踏まえて最適な対応が必要となる
必然的に魔法に対する知識が求められ、強くなればなるほどにその量が多くなっていく
そして知るということは使えるということになり、結果的に魔法による攻撃がパラディンの主力となる
アレックスが全属性の魔法の矢を使えた理由もここから来ている
そういった経緯からして、パラディンのほとんどは魔法攻撃に魅せられる
ただでさえ奥深い魔法の領域で、しかも専門の魔導師でもないパラディンは得意な属性に集中していき、さらには元々戦士系であることも加わって、オリジナルの戦闘スタイルをそれぞれが作り上げていく
なので、一口にパラディンと言っても防御特化であるとは限らないし、前衛型・後衛型、得意な属性などによって一人一人が全く違うのだ
逆に防御特化しているアレックスは珍しいと言われてしまうほどである
・・・というのがグラハルトの知っている知識なのだが、実はこの世界のパラディンは、存在自体が珍しい
有名なパラディンなど両手で数えられるほどしかいないのだが、当然の如くグラハルトはそれを知らない
もちろんアリサも知らない(こっちはむしろクラスの存在自体よくわかっていない)
「・・・防御特化か、・・・茨の道だな」
「はい、ですが師匠の開いた道です
この道で生きていくつもりです」
「頑張ろうね」
世間話もそこそこに、本題を切り出すためにアレックスが身体を緊張させる
「そ、それでですね・・・、グラハルトさんにお願いがあるんですが・・・」
「・・・言ってみろ」
「一つは、師匠に会って頂きたいんです
師匠が渡したいものがあるから、見かけたら言っておいてくれと」
「・・・名前は?」
「サリアです、聖騎士サリア・エルトリア」
「・・・あいつか」
グラハルトは思い出すように上を向きながら返事を返す
「・・・早めに行く」
「ありがとうございます
きっと師匠も喜びます」
「もう一つは?」
アリサに促されるが、アレックスは見るからに顔を赤くしていく
「えっと・・・握手・・・してください・・・」
「・・・」
無言で手を差し出すグラハルトに、アレックスはぱぁっと喜んだ顔をする
その手を両手でがっしりと掴み、しきりに感謝している
「握手って・・・、っていうかどうしてそんなに会いたかったの?」
「いや実は、師匠がグラハルトさんのことをしょっちゅう話してくれててさ、話を聞いてるうちになんていうか・・・憧れちゃってね
師匠がかなり強い人だっただけに、それより強いっていうグラハルトさんには是非とも会いたいと思ってたんだ
だからアリサに声をかけられて、もしかしてって思ったときは衝撃だったよ」
「ふ〜ん」
・・・
何故かそのあと微妙な空気が漂い、何も話さない時間が流れる
ふとアリサがアレックスのほうを見ると、何故か先程以上に顔を真っ赤にしていた
声をかけようとした時
「・・・まだあるのか」
「・・・はい、最後に一つだけ・・・」
明らかに緊張したアレックスを見ながら、グラハルトもアリサも次の言葉を待つ
アレックスは最後のお願いを言う覚悟を決めたようだ
全身を強張らせ、ちらりとアリサを見た後、真っ直ぐにグラハルトの目を見る
真っ赤になった顔、震える体、もはや周囲の喧騒など聞こえなくなった耳
それでもはっきりと
聞き間違えが無いように大きな声で
何が起こるかも覚悟したうえで、言った
運命を決定づけるその言葉は・・・
「娘さんを僕にください!!!!!」
というわけでした、チャンチャン♪
この話の一時間後にキャラ紹介を予約投稿してあります
グラハルト+アリサ含む入学試験編の主要キャラ六人分ですが、時間に余裕があればご覧になってください
大したことは書いてありませんので、読まなくても特に問題はありません