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第1話「S2使いの若武者」

神奈川県・秦原市


それは夏の話だった。


「今度はどこに手つけようかねぇ・・・」


神奈川県内にある秦原大学のメンテナンスガレージ


この大学の自動車総合工学科2年の香坂 高時は自身の愛車・S2000のボンネットを開けながら小声でそうつぶやいた。


「おう、香坂じゃん。何やってんの?。」


同級生の谷口 純一が声を掛けてきた。


「何だよお前かよ。」


「『お前かよ』って、期待外れたような顔しやがって。で、何やってんだよ。」


「今日、秦で走るからマシンの具合見てんだ。お前来れないだろ?バイトで。」


「ああ。本当は行きたかったんだけどなぁ、代わりの奴が居なかったんだから仕方ねぇさ。じゃあ俺行くわ、じゃあな。」


「おう。」


そう言って純一は去った。


高時はS2000のエンジンを空ぶかしさせたりしてマシンの調子をうかがっていると、髪の長い女性がガレージの前に立っていた。


「こんにちは。一体何やっているの?」


可憐で清楚な顔立ち、フワッとしたしなやかな髪、綺麗でしなやかなボディライン、柔らかそうで大きな胸で谷間が見える黒いVネックの半袖ロングニットを着ていた。


そんな女性が高時とS2000の前に居た。


「マシンの調子見てるんだよ。コイツと思いっきり下りをかっ飛ばすからさ。」


「それにしてもこの車カッコイイね。何っていう車なの?」


「これか?これはホンダのS2000って言うんだ。エンジンが気持ちいいぐらいに回ってくれるんだ。」


「へぇ~、そうなんだ。あっ、そろそろ授業始まっちゃう・・・。見せてくれてありがとね。またどっかで会お。それじゃあ。」


そう言って女性はガレージの前を去って行った。


「さぁてと、今日の夕飯でも買ってくるかね。」



21時


神奈川県・秦峠


下りを高時のS2000が走っていた。


ストレートでも120km/h出るところを75km/hで走っている。


いわゆるウォームアップと言った所だろう。


すると、後ろから車が迫ってきた。エンジンはロータリーサウンドだ。


(どうすっかなぁ・・・もうタイヤもいい状態だし、走ってやっか)


やがてS2000の後ろに車がピッタリ張り付く、ロータリーサウンドの車は黒いFDだった。


高時はS2000のアクセルを全開にした。


右ヘアピン手前で一気に減速。そしてブレーキングタイミングでFDが前に出る。


(しくじったと思っているが、それは大きな間違いだ。)


S2000もFDにピッタリ張り付いたまま加速する。


(パワーはFDの方が上だな。だがFDはS2と違って5速までしかない。それを考えればギア比がクロスレシオである限りこっちの方が速いんだ。)


S2000は次の左コーナーでFDにピッタリ張り付いたまま左ヘアピンに突入。


FDがドリフトをしているイン側にS2000がドリフトとグリップの中間の挙動で入り込む。


立ち上がりでS2000はイン側、そのままFDと並びかける。


そして左高速コーナーでアウト側のFDがほんの少し減速、S2000が前に出た。


それでもFDはスリップストリームを使ってS2000に張り付く。


左コーナーから右ヘアピンに差し掛かり、S2000は直線的なラインで左コーナーを通過、そのまま右ヘアピンに突っ込む。


そして立ち上がって2つ目の左ヘアピンにS2000はフルブレーキングで突っ込む。


(相当腕あるな・・・向こうのFD)


S2000とFDはテール・トゥ・ノーズのまま右ヘアピンに突っ込む。


S2000はややスライドさせながら、FDはドリフトでどちらもハイスピードなコーナリングで抜ける。


ヘアピンを立ちあがったストレートではS2000が引き離して行く。


(やっぱ5速のFDはかなり苦しいだろうな。)


高時の思惑通りだろう。


しかしFDもスリップストリームを使ってS2000に食らいつく。


高時がバックミラーを少し確認する。すると。


(FDのタイヤもそろそろ限界来てそうだな・・・)


だがFDも追い付こうと必死だ。


右ヘアピンにS2000はアウトから進入するライン。


しかし、FDはS2000のインを突いて進入で前に出る。


(突っ込みすぎだ!)


FDは立て直しが困難と判断したのか、サイドを引いてリアをロックさせ、スピンさせる。


そして逆方向に向いたFDが完全にアウト側の車線に入った瞬間に、S2000は立ち上がって抜けていく。


FDはクラッシュせずにそのまま上手く停止、S2000も立ち上がった所で止まった。


S2000から高時が降り、FDのドライバーの無事を確認しに行く。

FDのドライバーはどんな人物なのか!?


第2話に続く

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