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微妙な違い

掲載日:2026/04/12

15分短編です

 俺の彼女は無表情だ。無口だし。絵で描くと、多分口は一本線を引かれるだけのいわゆる無表情顔になると思う。なんなら目や頬の動きも少ないから、周囲からは能面の様だと言われているらしい。

 でも俺にはこの微妙な違いが解る。長い事彼女のことを見て来たから。最初は確かに、わかりづらかったけど、ほんの少しずつ、彼女の顔に喜怒哀楽の変化が浮かんでいるのが見えるようになってきた。

 誕生日の時、花を渡した時はあまり喜んでいなかったけど、イチゴがたくさん載ったケーキを買って帰ってきたら、顔全体が明るくなったように見えた。だから彼女の誕生日には、イチゴのケーキを買うことにしている。誕生日でなくてもケーキを買って帰ると、彼女の顔は同じように明るくなる。食べるの好きだもんなぁ。甘いものに関わらず、ご飯もよく食べる。痩せているのに、どこにそんなに入っていくんだろうと心配になるくらいだ。

 わかりにくいと言えば、怒っているときが一番分かりにくかった。無口で無表情、その上、感情を言葉にものせないから、怒っていても「なんでもない」「別に」と言った調子で、ハッキリは教えてくれない。いまだに少しわかりにくいことがある。でもそういう時は、俺がちゃんと言葉にするようにしている。

 「これがダメだった?」「これはどうしたらよい?」「今の怒りはどのくらい?」みたいに、少し子供に聞くような聞き方にはなってしまうけど。でも彼女は無口ながら少しずつ教えてくれる。

 だから、彼女の感情の正解を引き当てた時は、感動を覚えるレベルで嬉しかった。ゲームでフロアを攻略したときに似ている。俺、そう言う探索ゲームが好きなんだ。

 でも今日の怒りの理由は、未だにわからない。俺が靴下を脱ぎっぱなしにしてしまったことに怒っているかと聞いてみたら違うと言われた。それ以外にも思いつく限りのいろいろな理由を並べてみたけど、彼女は「違う、気にしないで」としか言ってくれない。俺は彼氏だ。彼女が喋るのが苦手な分、俺が言葉にして、彼女を理解していきたい。俺はソレが出来る。恋は障害があればあるほど燃え上がるし、難易度の高いフロアの方が、攻略したときの嬉しさは何倍にも膨れ上がるんだ。もう少し、彼女を観察して、彼女検定1級を目指すぞ!!



 彼は知らない。今私は焦っているということを。

 彼が楽しみにしていたプリンを食べてしまった。冷蔵庫に入っていて、2個あったから、一つ食べようと思って食べ始めたら、美味しすぎて止まらなくなってしまった。気がついたら貪るように二個目のプリンにも手をかけていた。

 幸いにも、まだプリンの事はバレていない。カップは私の部屋のゴミ箱に捨てたから、彼はたぶん気づかない。

 箱だけはとりあえず残しておいて、同じメーカーのプリンを買ってこようと思った矢先に彼が帰ってきてしまって、買いに行くことが出来なくなってしまった。

 何とか言い訳をして、プリンを買いに行きたいのだけど、彼は私が怒っていると思い込んでいて、洗濯物を畳んだり、掃除機をかけたりを始めてしまった。こうなると彼の視界から抜け出すのは困難だ。彼は私の反応を見るために、私からは目を離してくれない。困った、非常に困った。こんなに私を理解しようとしてくれる人はほかにいないから、変に喧嘩をしたくはないのだけど、私は口下手で、なんといえば彼を怒らせずに済むのか全く分からない。さて、どうしたものか。



——あ、あのね・・・——

なぁんだ、プリンかぁ!・・・・え!?

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