3章 死のロード
叫んでいた男の正体が、鉄道マニアだったなんて」
「……ふふ、あはは!」
すみれは思わず笑ってしまった。
「柿沼さん、ずるい。
あんなにかっこいいこと言っておいて、
最後は鉄道マニアなんですね」
「鉄道マニアって、そんなに変ですか」
「変というか……意外です。
鉄道って、どんなところが好きなんですか?」
信也の目が、少しだけ輝いた。
「主にローカル線です。只見線とか、花咲線とか」
「なんか聞いたことがあります」
「学生のころ、乗りました。
でも今は時間がなくて」
すみれは小さく頷く。
「わたしも、ピアノばかりで」
信也は少し黙ってから言った。
「今日まで死なずにいて、こうして君を助けることができた。
夢っていうのは案外、
そういう下らないものの方が、命綱としては強いんです」
信也は少し照れくさそうに、
けれど誇らしげに、
遠くの工場地帯へと続く線路の先を見つめた。
すみれは、濡れて張り付いた髪をかき上げ、
自嘲気味に鼻で笑った。
「今日をどう凌ぐかも分からない人間に、夢なんて。
柿沼さん、あなた、意外と……
いえ、相当なロマンチストなんですね」
「人間はロマンが必要なんだ。
文化はそういうところから始まる。
絵画も、詩も、音楽も」
「文化……? こんな、
鉄錆と潮の匂いしかしない場所で?」
「そう。腹を満たすだけなら動物と同じだ。
列車交換の無骨な連結線路に美しさを感じたり、
工場の灯りに見惚れたりする。
その『無駄な感動』こそが、人間を人間にするんだよ」
「……柿沼さん、あなた、本当に変わってる」
「変わり者で結構です。
君が今日を凌ぐのが精一杯なら、
まずは俺のロマンに相乗りすればいい。
文化のお裾分けだ」
すみれは、少しだけ毒気を抜かれたように笑った。
信也は、竿先の小さな揺れに目をやった。
それは魚のアタリではなく、ただの波のいたずらだった。
それでも彼は、糸を巻き上げようとはしなかった。
今はまだ、この広大なコンクリートの余白に、
二人の「背中」が点在しているこの時間を、
もう少しだけ繋ぎ止めておきたかった。
「早瀬さん。この港の光は、朝まで消えません。
あなたが望んでも、望まなくても、
朝は来て、太陽が必ずここを照らしますよ」
「そうですね」
すみれは深く、潮の香りを吸い込んだ。
彼女の「不在」への渇望は、
柿沼信也という異物との出会いによって、
少しずつ、形を持った「現在」へと書き換えられようとしていた。
「あのバッグ、海が持っていきましたよ」
信也は海面を見つめたまま、静かに言った。
「潮の流れが速い場所ですから。
今ごろはもう、ここからずっと遠い、
誰の手も届かないところまで運ばれているはずです」
それは、彼女が捨てた荷物のことでもあり、
同時に、彼女が抱えてきた「名前のない絶望」のことでもあるようだった。
鹿島の海は、一度受け入れたものを二度と元の場所には戻さない。
「そう……そうですね。じゃあ、もう探しようがないわ」
すみれはコンクリートの縁から海を覗き込み、
憑き物が落ちたような顔で微笑んだ。
「早瀬さん。バッグがなくなったのなら、
新しいものを手に入れるしかありませんね」
彼女は海を見たまま言った。
「あれは、わたしのこころでした」
「こころ?」
「空っぽの心です」
信也は黙る。
失ったのではない。
最初から、空だった。
信也は、結局一度も獲物のかからなかった釣り竿を、
ゆっくりと畳み始めた。
「……はい、柿沼さん」
すみれは、自分の細い肩を抱くようにして歩き出す。
背後では鹿島の海がすべてを飲み込み、
重厚な黒潮が、何事もなかったかのように夜の闇を運んでいった。
「……私、鹿島駅まで歩いて帰ります」
すみれが静かに、けれど遮る隙のない声で言った。
信也は片付けかけていたリールを止め、彼女を見つめた。
鹿島港の最果てともいえるこの岸壁から、
鹿島神宮駅までは優に八キロはある。
夜の八キロは、遠い。
「歩く距離じゃないです」
信也が言うと、すみれは肩をすくめた。
「歩けます。歩くしかないので――」
その言葉は軽いのに、空っぽではなかった。
道中には、大型トラックが疾走する臨海工業地帯の
バイパスが横たわっている。
夜道は迷路のように暗く、広く、行き止まりも多い。
「鹿島駅まで? 冗談でしょう。
その靴で、その細い肩で、何時間かかると思っているんですか?」
「いいんです。海が荷物を持っていってくれたから。
身体が驚くほど軽いんです。今の私なら――」
とてもいい場面です。
すみれの「自分の足で帰る」という決意が、静かに立ち上がっています。
意味や温度を変えずに、**文の流れ・重複・会話の自然さ**を中心に校閲しました。
一歩ずつ地面を踏みしめるだけで、
自分が生きている実感が持てる気がして」
すみれは、ふふ、と力なく笑った。
それは、死への誘惑を断ち切った者だけが持つ、
危ういほどの透明感だった。
ナトリウム灯のオレンジ色の光が、
彼女の目元の柔らかな曲線に影を落とす。
「……無理だ。このあたりは歩道だってまともにない。
それに、夜の港を女性一人が歩くのは、
海に飛び込むのと同じくらい危なすぎる」
信也は重い釣りバッグを肩にかけ、
自分の上着を脱ぐと、有無を言わさず彼女の肩にかけた。
「歩くなら、せめて駅が見えるところまで僕が送ります。
僕も今日は、獲物じゃなくて『不在』を求めてここに来たんだ。
駅までの道中、もう少しだけその『不在』の散歩に付き合ってください」
「いいえ、一人で帰ります」
その言葉は拒絶というより、
もっと静かで強固な「決意」に近い響きを持っていた。
信也は、上着を差し出したまま手のやり場を失い、
空中で止めた。
すみれは、目元の下がった穏やかな顔で、
けれど一切の迷いがない瞳で信也を見つめ返している。
「……海が私の荷物を持っていってくれたから、
今は、自分の足だけで歩かなきゃいけない気がするんです。
誰かに支えられたら、またどこかで甘えて、
あの桟橋に戻ってしまうかもしれない」
彼女はそう言うと、潮風に乱れた髪を指先で整えた。
「柿沼さん。あなたは私の命を繋いでくれた。
でも、その命を運ぶのは、私自身の足でありたいんです。
鹿島駅までのあの暗い道も、
大型トラックの地響きも、
全部一人で受け止めて帰りたい」
信也は、何も言えなかった。
この場所を彷徨う「異物」として、彼は彼女の中に、
自分と同じ「孤独な矜持」があることを見抜いてしまったからだ。
「……分かった」
信也はゆっくりと手を下ろし、
重い釣りバッグを肩にかけ直した。
「柿沼さん」
「なんですか」
「私、歩きながら……
新しい名前を考えてもいいでしょうか?」
「それはいい。
同時に夢も考えたほうがいい……でも、
早瀬すみれっていう名前、この鹿島の海には、
よく似合ってますよ」
二人の背中は、点在する他の釣り人たちの影を通り過ぎ、
不夜城のように輝く光の渦へと、ゆっくり向かっていった。
「大きな音楽の中で――」
女はそこで一度、息を止めた。
言葉を続けることが、自分を少しずつ削っていくようだった。
「自分の音だけ、浮いているんです。
完璧に弾けば弾くほど、
その完璧さが透明な壁になって、
誰にも届かなくなる。
音が、海に投げた石みたいに、どこまでも深く沈んでいって……
最後には、自分が何を弾いているのかさえ分からなくなる」
少し、間があった。
波の音が、その残酷な沈黙を埋める。
「ピアノですか?」
「売れないピアニストでした」
「そうでしたか」
「あそこに置いた荷物と同じ。
私、自分の音に耐えられなくなって、全部ここに捨てに来たんです」
すみれは、鍵盤を叩くはずの細く長い指先を、
痛々しいほど強く握りしめた。
「……駄目なピアニストなんです」
信也は、糸の垂れた海面から視線を動かさなかった。
彼女の告白は、
この無機質な工業地帯の轟音に混ざり、
瞬時にかき消されていく。
けれど、その「音」にならない叫びは、
確かに信也の胸の奥を震わせた。
「いいんじゃないですか。
ぼくが思うに、その経験は、
これからの人生を生きる糧になりますよ」
信也は、ぼそりと呟いた。
「浮いている音だって、
誰かにとっては唯一の道標になることもある。
……僕だって、聴診器から聞こえる心音に、
時々吐き気がしますよ。
あまりに正解すぎて、生きている意味を見失いそうになる」
信也が初めて自分の内側を少しだけ見せると、
すみれは驚いたように彼を振り返った。
「……柿沼さんは、お医者様、なんですよね?」
「……さあ、どうでしょうね。
今はただの、釣れない釣り人ですよ。
ただの鉄道マニアです」
信也はそう言って、ようやく彼女と視線を合わせた。
目元の下がった、どこか悲哀を湛えたピアニスト。
彼女が一人で歩こうとする鹿島駅への道は、
きっと彼女の「音」を探すための、最初の独奏になるのだろう。
「行ってください、早瀬さん。
あなたの音が、どこにも届かないというのなら……
この広大なコンクリートの余白にだけは、届いていますから」
「これ。エタロールの臭いですか?」
「……よく、わかりましたね」
信也は、自分の袖口を微かに鼻に近づけ、苦笑した。
「エタノールです。いくら洗っても、
この臭いだけは皮膚の奥に染み付いて取れない。
外科医にとっての業のようなものですよ」
その言葉に、すみれは自分の指先を見つめた。
ピアノの鍵盤を叩く指、メスを握る指。形は違えど、
どちらも「完璧」という名の残酷な正解を
求められ続けてきた手だ。
「私、知っています。この臭いは、自分を消して、
ただの『道具』になろうとする人の臭いだって」
すみれの言葉は、信也の胸の最も深い場所に、音もなく着地した。
鹿島港の海風が、
二人の間に漂うエタノールの微かな残香をさらっていく。
「……道具になれれば、もっと楽だったんでしょうけどね」
信也は、それ以上は語らなかった。
ただ、二人の間に流れる空気は、
先ほどまでの「死」の重苦しさから、
同じ痛みを共有する者同士の、静かな連帯へと変わっていた。
「行ってください、早瀬さん。駅までの道、
この臭いが消える頃には、
あなたの足も少しは軽くなっているはずです」
すみれは深く頷き、今度こそ一歩を踏み出した。
青白い水銀灯の下、
彼女が歩き出すたびに、エタノールの臭いと、
重機が唸る港の音が混ざり合い、
新しい夜の旋律を奏で始めていた。
ぐらり、と。
すみれの視界が激しく揺れた。
世界が一瞬、不規則なリズムで横にスライドしたような感覚。
防波堤の硬質なラインがぐにゃりと歪み、
ナトリウム灯のオレンジ色の光が、
水彩画のように滲んで遠のいていく。
身体が、ついてこない。
指ではなく、腕でもなく、
もっと深い魂の芯のようなところが、静かに摩耗しきっていた。
(あ、まずい――)
胃の奥が急速に冷え、耳の奥でドクン、
ドクンと早鐘を打つような血の音が鳴った。
意識がブラックアウトしかけた、その時だ。
「……無理をするなと言っただろう」
低い、けれど鋼のように強い声と同時に、
エタノールの臭いが鼻腔を突いた。
倒れ込む寸前、すみれの身体は、
信也の硬い胸板に受け止められていた。
反射的に彼女の肩を掴んだ信也の手は、
驚くほど正確で、迷いがない。
「柿沼、さん……」
「黙っていろ。過呼吸か、あるいは極度の低血糖だ。
……それとも、全部を海に捨てすぎて、
自分を支える中身まで空っぽにしたか」
信也の声は冷徹だったが、抱きとめる腕には、
彼女を地面に落とさないという強い意志がこもっていた。
すみれは、信也のシャツの胸元を、無意識に弱々しく掴んだ。
エタノールの臭い。
それは「消毒された死」の匂いではなく、
今はこの世で唯一、自分を繋ぎ止めてくれる「生」の匂いだった。
「歩くのは中止だ。
……君の足は、もう一歩も動きたがっていない」
信也はそう言うと、意識が遠のき、
ぐったりと体重を預けてくるすみれを、
軽々と横抱きに抱え上げた。
「……大丈夫です、歩きます」
そう言ってから、すみれはほんの一拍、遅れた。
言葉が身体に追いつかない。
本当は、大丈夫ではなかった。
「その『大丈夫』は、
鍵盤の上で間違えた音をごまかす時の顔ですね」
信也は、彼女を助け起こそうと手を伸ばすわけでもなく、
ただその鋭い観察眼ですみれを射抜いた。
「ピアニストは嘘が上手い。でも、身体の組織は嘘をつけない。
あなたの呼吸の浅さは、
脳が『もう限界だ』と叫んでいる音ですよ」
「……先生」
「僕は今、釣り人ではなく外科医としてここに立っています」
信也は一歩、その距離を詰めた。
微かに漂うエタノールの臭いが、
潮風に混じって彼女の鼻腔をくすぐる。それは不思議と、
どんな甘い言葉よりも彼女の心を落ち着かせる、
清潔な「現実」の匂いだった。
「歩いて帰るのは諦めてください。
のあなたは、一歩踏み出すたびに自分を削っている」
「結構です。歩きます」
その言葉は、もはや意地というより、
自分という存在を消さないための最後の防波堤のようだった。
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信也は、それ以上踏み込まなかった。
踏み込めば、救いではなく侵入、犯罪なのだ。
その危うさを、彼は知っていた。
すみれには、プライドがあるのだ。
いまあったばかり男を拒絶するものだとおもった。
医者としての冷徹な目が、
一瞬だけ彼女の表情を測る。
瞳孔の開き、呼吸の頻度、そして固く結ばれた唇の端の震え。
医学的見地から言えば、今すぐ彼女を車に乗せ、
強制的に休ませるべきだ。
「これ名刺です。個人の携帯です。
……二十四時間、繋がりますよ。
緊急時でなければ、すぐには出ないかもしれませんが」
信也は、名刺の裏に手書きで記された数字を指して言った。
それは、彼が「医師」という記号を脱ぎ捨てて、
ひとりの男として差し出した、最後の防波堤だった。
「これ。……何かあったら、電話してください。
名目は何でもいい。
『足が痛い』でも、『海がうるさい』、
『ラーメンが食いたい』でも」
「ラーメン?」
すみれが眉を上げる。
信也は目を逸らした。
「……口実です」
「口実」
「生きてるって分かる口実」
すみれは少しだけ笑って、名刺を受け取った。
すみれは、その番号をなぞるように見つめた。
ただの数字の羅列が、この広大な鹿島港の闇の中で、
たったひとつの「現実」への繋ぎ目のように見えた。
「……ありがとうございます。でも、きっとかけません。
かける時は、私が本当に『透明』になってしまった時だけです」
「そう言う人ほど、
案外どうしようもない時にかけてくるものです。
……いいから、持って行ってください」
すみれは名刺を握りしめ、冷たい夜気の中へと歩き出した。
鹿島駅への道は、想像以上に暗く、遠い。
大型トラックの走行音が足元を揺らし、
潮風が容赦なく体温を奪っていく。
けれど、ポケットの中で携帯番号が記された名刺の角が、
掌にチクリと刺さる。
その小さな痛みが、意識をブラックアウトの淵から引き戻し、
彼女を一歩、また一歩と前へ進ませた。
すみれは一度も振り返らず、
一番高い煙突の赤い光を目指して、闇の奥へと消えていった。
信也は再び、静かに海へと向き直った。
もう、追いかけることもしない。
疑わなければならない
彼女が口にした絶望も、震えていた肩も、
すべては計算し尽くされた「台本」の一部に過ぎない。
そう結論づけることで、信也は自分の心に硬い殻を被せた。
甘い同情は、命取りになる。
「人は信じない」
それが、この理不尽な世界で自分を守る唯一の防衛術だった。
生きるために**身体を平気で売っている**女もいれば、
涙さえも商品にする女もいる。
清楚しいう仮面かぶっている。
彼女が先ほど見せたあの表情も、
男から何かをむさぼり取るための、
あるいは窮地を脱するための「手管」のひとつに
過ぎなかったのではないか------?
追えば、その瞬間に自分は彼女の術中にはまる。
あるいは、ただの無様なストーカーへと成り下がるだけだ。
彼女には拒絶する権利があり、
自分にはそれを受け流す義務がある。
信也は上着のポケットの中で、
硬く拳を握りしめた。手のひらに食い込む爪の痛みが、
かろうじて彼を現実へと繋ぎ止めていた。
信也は背を向け、闇の中に消えていく彼女の気配を意識の外へ追いやった。
背後で聞こえる波の音だけが、
すべてを知りながら冷笑しているように響いていた。
彼女は都合のいい言葉で男を動かし、
そうやって生き延びてきたのかもしれない。
さっき見せた弱さも、絶望の表情さえも、彼女の手段の一部。
結婚詐欺やパパ活の類で生きてきたのかもしれない。
特殊詐欺、ダマされる奴は、安易に信用した者ばかり、
ひどい世の中なのだ。
この種の犯罪は古今東西、あるのだから---
疑うことだけが、自分を守る唯一の術だった。
安易に人を信じるなということだった。
甘い言葉言う奴ほど、裏切る社会なのだから----
すみれは、一歩。
鉄の味がする喉を鳴らして、砂の混じったコンクリートを蹴った。
背中に感じる、
エタノールの臭いを纏った男の視線。
それが、冷たい海風から自分を守る、
目に見えない盾のように感じられた。
(歩かなきゃ――)
工場の轟音が、彼女の耳の奥で、
かつて弾いたショパンの不協和音のように鳴り響く。
水銀灯の青白い光の下、すみれの細い影が、ゆっくりと、
けれど確かに「生」の方向へと伸びていった。
信也は、彼女の足音がコンクリートの余白に完全に溶けて消えるまで、
一度も釣り竿を振ることはなかった。
鹿島駅への道のりは、
人が歩くことを想定していないかのように無機的で、
茫洋として広大だった。
道の両側を埋め尽くすのは、
巨大な胃袋のように夜通し火を吹き続ける製鉄所の高炉や、
血管のように複雑に絡み合ったパイプラインだ。
街灯の光はまばらで、代わりに工場の照明が、
夜空を不気味なほどに赤白く染め上げている。
時折、大型トラックが地響きを立てて横を通り過ぎるたび、
強烈なディーゼルの排気音とアスファルトの震えが、
すみれの細い身体を容赦なく揺さぶった。
港から離れるほどに、潮騒の音は遠ざかり、
代わりに「経済」という名の巨大な唸りが支配的になっていく。
そこにあるのは、情緒や感傷を一切排除した、
剥き出しの鉄と熱量の町だった。




