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タイトル「〜じゃない」で通すつもりはない

「「「は?」」」

男の独白を受け、3人は声が揃った。

「だーもう、絶対んな反応すると思った!なしなし!もう言わねぇ!!」

「え〜、だって、ねぇ。言うに事欠いて、まさかのて、転生なんて…うぷぷ…ダメっす、ちょいハマったっす…ぷぷっ」

「てんめー、男の一世一代の大告白を…」

「いくら、うだつの上がらない人生だからって、転生だなんて…ぷぷっ、すんません、ぷぷっ…あたっ!や、やめて下さい、無言で叩くのや、やめ、あ痛!痛!」

「…おう、あんちゃん、転生ってのはどーゆーこって?」

「っ痛!あ、あれっすよ、何年か前から流行り出した物語っす。主人公が別世界に転生、つまり生まれ変わってその新たな人生で無双するってやつっす。低級魔獣に生まれ変わって世界を征服するって物語が凄く人気が出て、その後も似たようなコンセプトの物語がたくさん出たんすよ。若者を中心に人気で、最初の【転生したら魔獣だったよ―え?ウソ?何で魔獣!?でも割り切ったら無双した件―】は今でも続いてるロングセラーなんすよ」

「ほぅ、そんなのが今流行ってんのか。タイトル長ぇな…で、あんちゃんもそれだってーのか?」

「いやいやいや、そーゆー人、結構いたんすよ。自分の人生に不満がある若者が、転生モノの物語に影響されて、これから俺は転生するんだー、とか、転生待ちなんだー、とか言ってるイタイ人が。あ、でもあれっすね。転生済みなのに無双してない人のパターンは珍しいかもしれないっすね!!」

「ご丁寧に説明してくれてアリガトよ。じゃあそろそろぶっ飛ばされても大丈夫だな?」

「あ、す、すんませんす!あ、やめて!拳の骨鳴らさないで!」

「まぁまぁ、あんちゃん、落ち着けや」

ずんぐりが男を諌めるが、既に男の拳は振り下ろされていた。

「話を進めるとしてだ…。お前さんがどっか別の世界から来た転生、者?だとしてよ。チートがねぇっつってたよな?」

「見ての通りねーよ。あんた、そんな御大層なモン俺にあったよーに思ったかよ?んなもんあったら、自分の国とかハーレム作ったりしてるってーの」

「…確かにお前さんには、とんでもねぇ攻撃力も魔力も感じられんし、実際にやり合ってみてもそんな御大層なもんの欠片も感じられなかった。だが、俺やコイツの攻撃を回避したり、あまつさえ、俺と対等以上に渡り合うなんざ、Dランクごときが成せるもんじゃあねーぜ。だから、あんたはかなり…イビツなんだよ」

「おい、Dランク差別発言に俺をイビツ扱いすんじゃねーよ」

ちなみに、コイツ呼ばわりされているノッポの発言が全くないのは、割と始めあたりから寝ているからである。

「自分で散々、俺はDランクなのに、みたいなこと言ってたような」

「るせーよ。自分が言うのと他人から言われんのは天と地ほど違うんだよ」

「俺はよ、あんたが転生者だろうが勇者だろうが魔王だろーが何でも構わんが、答えが知りてぇ。曖昧なのはでーっきれーなんだよ」

「んなこと言われたって、俺だって分かんねーよ。てめーの望む答えなんててめーで見つけるもんだろがよ」

「何か良いこと言ってる感じ出してますけど、面倒臭くなってきたんじゃないすか?」

「ぎくぅ!ば、ばかやろ、お前に俺の何が解るってんだ!」

「だから解かろうとしてんじゃねーか。諦めて話してくれよ、あんちゃん。…俺はよ、いや、俺だけじゃねぇ。そいつらもあんたのことが知りたいし、解りてーんだよ。何でか、俺たちはココやられちまってるんだ。あんたによ」

ずんぐりが自分の心臓を軽く叩く。

「会ったばっかでオカシな話だし、理由はよく分かんねーけどよ。それに、転生したって話したの俺らが初めてなんだろ?もっと話せばお前さんにとっても何か得られるもんがあるかもしれねーぜ?どうよ?」

「…あんた、人ノセるのが下手くそだな。それに俺はてめーの話なんてしたくねぇんだよ。聞いたって、つまんねー話だしよ」

「へっ、お前さんにとってはつまらんかもしれんが、俺たちにとってはそーでもないかもしれんし、逆もまた然りだ」

「そうっすよ、話して下さい!」

今度は茶化さずに真剣な目で訴えてくる。

遂に男は根負けした。

「…っだぁあもう、わーたよったく。どーかしてるよ、お前ら…。………………………俺は…」



―日本東京都某所。

男は広告看板売りのサラリーマンだった。

「さ、さらりいまん、て何すか?!」

「おい!人のモノローグに入ってくんじゃねーよ!!しかも入ってすぐって!」

「え〜、だって単語の意味分からないと話が理解できないじゃないすか!」

「…う〜ん、まぁ、その通りだな…いいか、サラリーマンってのはな、こっちで言う商人ギルドの専属ワーカーだな」

「へぇ〜なるほどですね~、じゃあヌッポントキヨーは?」

「あ、そーだよね、そっからになるよね〜。

日本は国の名前、東京都は日本の首都、な。ニッポン、トウキョウト、ゲイシャ、カブキ、オーケー?」

「げ、ゲイシャ?カブキ??」

「おい、話が進まねーよ!!ゲイシャとカブキは言ってなかっただろが!!」

「お〜悪ぃ悪ぃ、懐かしい単語並べたら要らん単語まで出てきちまったぜ。えーと、何だっけ?俺が芸者さんにモテモテだった所だっけ?」

「そんな妄想は出てきて…あ痛!」

「おい!話を進めろ!!」

「はいはい、分かった分かった。慌てるなって」

そのモテモテサラリーマンは

「おいぃい!モノローグ改竄してるよ!!」

「何で改竄て決めつけてんだ、てめーは!事実かもしんねーだろが」

「…あんちゃんたちよ、俺はサクサク続きをお願いしたいんですがねぇ…」

「ひ、ひぃいいぃ!!すんませんす!拳バキバキ鳴らすの怖いんで止めてくださいっす!つ、続きどぞ!!」

男は幼い頃に両親と死別しており、施設で育った。

家族の温もりを知らなかったが、施設の職員に恵まれた影響もあり、平凡ながらも自分が不幸だと思わずに成長していけた。

中学の途中で多少荒れた時期もあったが、高校、大学と進学することができ、遂には就職浪人をせずに中小企業ではあるが就職もできた。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!チューガクの時めちゃくちゃ喧嘩ばっかしてたじゃないっすか!」

「あぁ、思春期特有のやつだよ。恥ずかしながらちょっとヤンチャしてたんだな」

「ちょっとって…俺は喧嘩したこと今までなかったっすけど」

「まぁまぁまぁ!いーだろ!人には色々あるんだよ、あれだ、黒歴史ってやつだ。ほれ、次だ次!」

(なんだろ?触れて欲しくないんだろうけど…?)

男は勉強も運動も人並みにこなしてきたが、人並み以上になることはなかったし、人並み以上になる努力もしてこなかった。

それは社会人になってからも同様で、営業成績は人並みで…

「おいこらぁ!!ナレーションの人ぉ!間違ってねぇけど、もっと言い方あんだろが!!訂正だ!訂正を求める!」

「まぁまぁ、公正な目で見たナレーションなんでしょうから!」

「ふっざけんな!」

「あんちゃんたち、ちょこちょこ横槍入れるのやめてくれよ。気が散って集中できねーよ」

「だってよぉ、ナレーションの人が…」

「ナレーションの声は、そこの寝てる奴と中の人一緒だからな」

「「えーーー!!!???」」

入社して20年近くが経ったある日、男が会社の後輩と仕事終わりに飲みに行くことになった。独身貴族の男はいつもなら付き合ってくるのにその日に限って頑なに断った。しかし半ば強引に連れて行かれ、居酒屋、キャバクラ、ガールズバー、バーと続いたこともあり、男は珍しく泥酔状態に陥った。

それでも何とか自宅アパートまで辿り着き、玄関で力尽きてしまった。

翌朝目を覚ますとそこは、アパートの玄関ではなく、一面野原。

夢かと思って様々なことを試すが、覚めない。現実だと認識するのに数時間を要した。何故なら途中で寝たりしたからだ。

「普通そこで寝ます?」

「起きたら元に戻るかもしれねーと思ったり、何か面倒になってよ」

起きた男は色々と諦めて、色々と確認することにした。

まずは所持品。みすぼらしい鞘に収まった飾りっ気のない剣。水が入った布袋。【剣って!!布袋に水入ってんの40年の人生で初めて見たわ!】

「誰もいないのにツッコんでますね」

「いや、ツッコミっつーか、驚いたんだよ」

他には草と液体入りのビン。コインが数枚入った布袋。スマホや財布は勿論ない。

代わりにマッチとタバコがコインと一緒に入っている。愛煙家の男としては非常に助かった。

次に服装を確認する。スーツやジャージではない。ロングTシャツのような長袖シャツ、長ズボン、ブーツ。全て黒色。極めつけはボロボロのマント。【マントって!着ることあんのかよ!?今あった!正に今着ちゃってるよ!!…マントって着るで良いのか?羽織る?羽織るが正しいのか?!】

「一人で何やってるんすか?」

「パニクってんだよ。この世界の装備品って、俺の世界だと着てるのコスプレーヤーくらいだから。まず、装備しないから」

「あんちゃん、剣とマントは最初っから装備してたんだな?」

「あぁ、そうだな。最初はびっくりしたけどよ。慣れてくると以外と着心地良いし、暑いときは涼しく、寒いときは暖かい有能なマントなんだぜ」

「剣は?」

「剣?そーだな…見た目地味剣だけどよ、軽くて丈夫なんだ。そーいや、今まで折れたり欠けたりしたことねーな。まぁあんまり使わんよーにしてきたしな」

「ふむ…」

最後に剣を抜き、刀身に反射させて己の姿をまじまじと見つめる。美化されていることをちょっぴり期待したが、そこにはまごうなき自身の顔が映りこんでいる。ただし、20年くらい若返っていた。【………】

「無言だし、どういう感情の顔なんすか?」

「この時はもう、【もしかして俺転生してんじゃね?】って思っててよ、体はムキムキモテモテボディー、顔もイケメン化してんじゃねーかと期待してたら、自分のまんまでよ。でも若返ってるのも分かって喜んでいいのか期待外れなのか、自分でもどんな感情でいたらいーのか分からなくなっちまってたんだ」

呆然とした男は不貞寝を決め、一服した後に寝転がりその日は意地でも起きなかった。

しかし翌朝、さすがに空腹なのと現実を受け入れる諦観が付き、移動することにした。

草原を歩き続けていると、一匹の野犬と出くわした。

逃げる、隠れる、誘う、唆す、許しを請うなど、戦う以外の選択肢を全て試したが、魔獣と呼ばれる生命体に効くはずもなく、結局は戦うことを余儀なくされた。

傷だらけになりながらも何とか魔獣を倒し、それからはコソコソ移動することにしたが、呆気なく他の魔獣に見付かり、戦うことを繰り返していく。

移動中は剣の振り方に慣れるため、そしてどんな体勢からでも攻撃できるように様々な姿勢から剣を振り抜くことを繰り返していった。

幸いだったのが、現れる魔獣は単体、もしくは2体だったことだ。男が対処できるギリギリの範囲内だった。

何度か戦ううちに、コツを掴んでいき、負う怪我も次第に減っていった。

「これだ」

「なんだよ?」

「お前さんは、慣れるのが早いんだ。このグレイウルフとの戦闘でも分かる通り、あんたは段々と戦うことに慣れていってるんだが、その速度が異常だ」

「そりゃあ、考えて戦えばそうなるだろ?剣の振り方とか、身のこなし方とか、相手の動きとかよ。普通そうなんじゃねーのか?」

「確かに考えて戦えば、ある程度は慣れるだろうが、お前さんの場合は考えたことが実行できちまってるところが異常なんだよ。普通は頭で考えてもそれに身体が追い付かねーもんだ」

「そんなもんかね〜。まぁグレイウルフなんざ雑魚だしな」

「練習しながら移動してるのって、らしくないすね」

「…何が言いてーんだよ」

「だって面倒臭がりじゃないっすか」

「うるせぇよ。お前さっきから何なの?喧嘩売ってるの?」

「じ、事実を述べただけっすよ」

「そりゃあ面倒臭ぇけどよ、少しでも慣れとかねーとやられちまうだろ?楽するにゃ貯金が必要なんだよ」

殺したグレイウルフの肉を何とか焼いてみたが、獣臭さや血生臭さのせいでとても食えた物ではなかった。

しかも、すぐにお腹を壊した。

「下処理しないで食べるから…」

「しゃーねーだろ。ほかにねーんだからよ」

「それでまんまとお腹下したと…」

「最大の危機だったな、そして最大の苦しみだった。この時以上の苦しみはこの世界で味わった今までのワーストだったな」

「お腹下したのが!?」

「バカヤロー、お前も味わったら分かるぜ。…肛門が悲鳴を上げるんだ…もう無理だよ、もうムリぃいいぃってよ」

「怖っ!」

「いくら悲鳴を上げてもよ、終わったと思ったらまた波が来やがる…そして悲鳴、便意の波の繰り返し…ホント地獄のような…」

「その話、いつまでどこまで掘り下げんだよ」

無限脱糞地獄を脱っし、再度、草原を彷徨い始めると、草が生えていない一本道をついに見つけた。

藁にも縋る思いで道を進んでいくと、次第にその道は開け、街道と呼ぶに相応しい道となり、ついに城壁が見えてきた。

城壁のふもとには、鎧を完全武装した男たちが立ち塞がっていたが、道に迷った哀れな男を演じ、門番の同情を引いて何とか内部に入ることに成功した。

内心、言葉が通じたことに安堵していたが、それは表情に出さないようにしていた。怪しまれたら中に入れてもらえないかもしれなかったからだ。

城壁の中は、中世の街並みが広がっており、整然とはしていないものの、活気が感じ取れた。

その街は、ジュルラーク。フィ・クサリァ王国の第二首都である。

街には人間の他にも、獣耳を携えたものや二本足で歩く両生類、獣、魚、昆虫…。街にとっては平常の光景が、男にとっては目に映る全てがファンタジーであった。

「元の世界には他の種族いなかったんすか?」

「そうだな。ある程度の文明のもとで生活してたのは、ヒト族しかいなかったな。元の世界でオーク族なんていたら、国にとっ捕まって人体実験されちまうだろな」

「お前さんの世界はどうなってんだ!?排他主義が過ぎるぜ!!」

「あぁ、怖いだろ?(ニヤリ)」

(絶対嘘ついてるな、この人…)


門番に教えてもらった職業斡旋所、ハーイワークなる場所に辿り着いた男は、受付で新規登録の手続きをすることにした。

受付嬢との出会いに期待した男だったが、担当したのはバーコード頭の小太りな男だったため、かなり落ち込んだ。

バーコード頭からハーイワークの役割とワーカーの概要を面倒臭そうに説明され、男はそれを面倒臭そうに聞いた。

最後に、危険性の説明を受け、それでもワーカーになる意思を確認され、登録受験申込書にサインを求められた。

面倒ではあったが、男は詐欺に遭いそうになった経験から、サインする際は記載内容をしっかり確認するようになっていた。意外と文字が読めたし、字も書くことができた。日本語で書いたつもりが、結果としてこの世界の文字として残る仕組みである。

「詐欺っすか?」

「あ、そっちに興味示すんかい。まぁ、そーだよ。営業中に詐欺野郎の営業に捕まってよ、変な絵を大枚はたいて買わされそーになったんだ」

「え〜、悪い奴っすね〜」

「世の中、他人を陥れても儲けようってクズはたくさんいるんだよ。お前も気を付けろ」

「りょ了解っす」


サインすると、第一試験会場に向かうことになった。

会場はハーイワークの裏の空き地のような場所で、そこには十数人の若者たちが待機していた。

どうやら彼らも受験生のようで、男はその日の締め切りギリギリだったようだ。

若者たちは自信と希望、野望に溢れた目付きをしていたが、男の目付きは既に死んでいた。

慣れない世界を彷徨い、魔獣との戦闘をこなし、脱糞地獄を経た今、まともな食事をして安全な場所で眠りこけたい一心であったのだ。

しかし、働かざる者食うべからず。僅かな手持ちしかない今、これからの職を確保しておかねば生きていけないと考え、ムチ打ってここまで来たのだ。

試験官を待っていると、受験生のうち、虎の人に絡まれた。絡まれて初めて気付いたが、虎の人は女性であった。男が面倒臭そうに、そして至極迷惑そうな顔をしていると、絡んでくる虎の人をエルフが諌め始めた。そのエルフに嫌味を飛ばすのは頭に角が2本生えた鬼人、その様子をあたふたしながら治めようとするヒト族。

男の周りで男以外が騒いでいる状態になった。

「うわぁ、絡まれてるっすよ」

「あぁ、こっちは疲れてるのに絡んできやがって、マジでウザかったな。他の奴も加わってウザさ100倍だよ」

「あれ?虎人族の女性ワーカーって、Aランクのシャリーズさん、すか?」

「あいつAになったんだっけ?」

「やっぱり!え?同期なんすか!?」

「…そーだよ」

「じゃあ、絡んでるシャリーズさんを止めてるエルフの人がワーカーから政治家になったダルフケンさん、鬼人が東大陸で最強傭兵団率いてるヤシャさん!?」

「…そーだな」

「聞いたことあるっすよ!その時の登録受験者のなかでも、合格後に同期5人で組んだ【昇星】っていうすごいチームがいたって!解散してなければ今頃Sランクチームだったかもしれないなんて言われてる人たちっすよね!!しかも解散後はそれぞれが別々の道で大出世してるっていう!結成前の昇星メンバー見れるなんて感動したっすって…あれ?あとの二人は?…え、違いますよね?入ってないっすよね?」

「…うるせー」

「…なるほど。チームのお荷物だったわけっすね、了解す、続き見ましょう!」

「…こいつ、俺のこと嫌い過ぎねーか…」


試験官が会場に来てその場は収まったが、虎人とエルフ、鬼人は殺気だったままだった。

しかし、腹を空かした男のことを気の毒に思ったのか、張り合うように虎人はパン、エルフはジャム、鬼人はスープ、あたふたしたヒト族は水を男に分け与えた。

少しだけ施しを拒否した男だったが、すぐにがっついて胃の中に押し込んだ。

「みなさん、優しい人っすね。クセ強いけど」

「そうだな、悪ぃ奴らじゃねぇな。バカだけど」

そんなことをしている間に試験がはじまった。


試験内容は至極単純。試験官と対決して自分の力を示すだけだ。

試験官は元Bランクワーカーのダリエル38歳。元はBランクチームに所属していたが、妻が妊娠したことを機としてフリーを引退し、ハーイワークに嘱託職員でとして雇われ活躍中。ハーイワークからの信頼は篤く、試験官からワーカーの調査など、仕事内容は多岐に渡る。

勿論、実力も折り紙付きで、剣と盾を使う堅実な戦士タイプながら、簡単な魔法も使いこなせる実力派である。嘱託職員になって9年間、新人を見極める眼力も定評がある。なお、妻は3人目をご懐妊。

そんな彼にワーカーを目指す若者が一人目、二人目が掛かっていくがまるで歯に立たない。

3人目の魔法使いは唱えている間にダリエルの剣が喉元を捉えていた。

魔法使いにアドバイスを終えると、次に出てきたのは虎人シャリーズ。その新人ならざる闘気をダリエルはすぐに感じ取り、気を引き締めた。

ここ最近では出くわすことのなかったパワーにド肝を抜かしたが、馬鹿正直で直線的な攻撃だったことから、何とか負かすことができた。

シャリーズはかなり悔しがり、その姿をダルフケンが冷ややかな目で見る。

しかし、そのダルフケンも知謀をめぐらせ魔法を放つが、ダリエルの予想外の動きに処理が追いつかず惜敗し、続くヤシャも圧倒的なスピードで撹乱するも単純な攻撃を躱されて負けてしまった。

しかし、シャリーズとダルフケン、ヤシャのポテンシャルの高さにダリエルは内心舌を巻いた。

続く若者たちもダリエルの経験豊富な戦い方になすすべなく次々に負けていった。

唯一善戦したのはあたふた人族くらいであったが、彼は攻撃特化ではないため、善戦したといってもやはり歯が立たなかった。

そして、最後に男の出番になった。

その日一番のやる気を感じさせない受験生であったし、いざ試験が始まっても自分から攻撃することはなく、逃げてばかりだった。

次第に攻撃レベルを上げるダリエルだったが、致命的なダメージもスキを付くこともできず、結局はダリエルが根負けする形で試験が終わった。

「試験終わっちゃいましたね」

「…やはり、そうなるか」

「何だよ?一生懸命やっただろ?」

「あいつBランクなんだろ?そいつがまともに攻撃当てらんねーんだぞ?新人にすらなってねぇ受験生相手にだ。おかしな話じゃねーか」

「手加減してたんだろ?」

「最初はそーだったかもしれんが、最後の方は結構マジだったよーに見えたぜ?」

「んなわけあるかい」

「最初は小手調べ、それから段々と攻撃のレベルを上げていく。そしてお前さんはそれに合わせていけてる。俺とやり合った時と同じだ」

「そ、それでどーなんすか、この人のチカラって!?」

「…まだ分からん。続きを観るぞ」

「了解っす!しかし、思ってたより長いすね。倍速再生とかないのかよ」

「人の人生何だと思ってんだ!?一瞬一瞬噛み締めて観やがれ!」


試験結果が出た。半数以上が不合格になる中、シャリーズ、ダルフケン、ヤシャ、あたふた人族のオウガイ、男は合格した。

その5人組に試験官のダリエルがこう言った。【お前ら5人を足して5 で割ったら最強の一人になる】と。

その一言を切っ掛けとして、その5人組はチームを組み、史上最速の勢いでランクを上げていった。

が、しかし、名実が上がっていくにつれ、ソロ活動が増えていき、チーム【昇星】は3年で事実上の解散となった。

「昇星の内容少な!何でなんすか!?ここ一番観たかったのに!」

「大して重要じゃねーんだろ?依頼こなして酒飲んで寝て、また依頼こなして…の繰り返しだからな」

「え〜メンバーの活躍観たいのに〜。ところで解散の理由は何だったんすか?あ、聞いて大丈夫な質問だったすか?!」

「大した理由じゃねーよ、解散あるあるだよ。まぁ、何つーの?方向性の違いってやつ?」

「方向性?」

「そーだよ。最初っからみんな同じゴール目指してたわけじゃねーからな。時は来た、それだけだ」

「よし、解散時を観てみよう」

「あ、やめ…」


【じゃあ、休止じゃなくて解散ってことかよ!?】

大声を張り上げたのはシャリーズだ。もはや実力はBランクといっても過言ではない。

【そういうことだ。チームを組んだ時に言ったはずだ。俺は目的のためにワーカーになったに過ぎず、いずれ必ず袂を別れるとな。もうその時なんだよ】

冷ややかに答えたのはダルフケン。貴族お抱え魔法使いとしての道が拓けた。

【そうだぜ。俺は東へ行く。もう決めた】

そういうのはヤシャ。飽きた西大陸よりも東大陸の強者と闘いたくて仕方がない。

【まぁ、いつか来るとは思ってたけど、予想より早かったな。俺は戦女神様の元でお使えするか】

困り顔のオウガイであったが、戦女神教に本格的に入信することは心に決めていた。

【お前はどうするんだよ?】

【…別に今までと同じだ】

そう答えた男。昇星の中でも異質なメンバー。一番偉そうにしていてチームのリーダーのようであり、一番やる気がなく突出した力もなく、メンバー以外からお荷物のように思われていた。

【お前は最初から最後までよく分かんねー奴だな。強いのか弱いのかもよく分かんねーしよ!】

【そうだが、コイツの助言のお陰で俺達が強くなったのも事実だ。腹立たしいがな】

【だけどよぉ、途中からコイツの強さ変わらなくなったのなんでなんだ?俺達はどんどん上がっていったのによ?】

【…俺の印象だと、俺達の実力が上がるに連れて、コイツが剣振ってるの見なくなった気がする】

【つまり、努力しなくなったから…?】

【そ、そんなことねぇよ】

【あんたさぁ、もう俺達いなくなるんだからさぁ、ちゃんとしなよ?】

【そうだぞ、もうすぐには助けてやれないんだぞ】

【まぁどうせ、危ねぇ選択はしねぇだろが。せめてちゃんと生活してくれよ?】

【其の辺は抜け目ないから大丈夫だろ?じゃあな。戦女神の加護があらんことを―】

こうして自意識よりも目立っていたチーム昇星は解散し、それぞれがそれぞれの道を進み始め、それぞれが夢を勝ち取っていくのだった。


「つまり、みなさんは自分の夢に向かうためにチームを解散した、ということすね」

「そーだな。各々がやりてーことに向かうってんだ。見送ってやるしかねーだろ」

「俺としちゃ、そこら辺はどーでもいいがよ」

「いいんかい!少しは興味持てよ!別に深掘りして欲しいわけじゃねーけど、ここ結構大事な人生の岐路なんだぞ!?」

「俺はお前さんの人生そのものより、チカラの謎の方が気になる」

「ここまで人の人生眺めといて?!」

「まぁまぁ、人の嗜好は仕方ないすよ。で、何か分かりました?」

「途中から強さが変わらなくなった、てのはどういうこった?」

「人の人生何だと思ってやがんだ…そのまんまだよ。ワーカーになって最初の頃はよ…何やってもすぐに自分が強くなってってるのが分かってよ、何なら他のメンバーよりも早く強くなってたんだけど、だんだんその早さが遅くなってきて、遂には強くなってる感覚がなくなってきやがったんだよ」

「それでお前さんはどうしたんだ?」

「色々試したさ。剣振ったりソロで魔獣と戦ったり。でも上がらんからやめたよ」

「どのくらい振った?どんな魔獣と戦ったんだ?」

「えぇ~と、腕が疲れたら振るの止めてた、かな〜。倒した魔獣は、ソロでも安心して倒せるくらいのヤツだな」

「…なるほどな」

「え?どういうことなんすか?」

「考えをまとめるから、続きを観ててくれや」

「りょ、了解す!」

「人の人生のモノローグを安いドラマのように扱いやがって…」

「あ、俺はダルフケンさんが言ってた、コイツの助言のお陰で強くなったってとこが気になったんすけど…」

「あぁ、んな大したことじゃねーよ。あいつら、パワーバカに浅知恵魔法バカ、スピードバカに自信なさ過ぎバカだったから、処世術みたいなのを教えたんだよ。もっとよく考えろってよ」

「そ、それだけなんすか?」

「だから大したことじゃねーんだって。でも、真剣になりゃそんな小さな切っ掛けでも変われるんだよ」

「…それ自分自身に言ってあげれば…痛っ!」


そして男はソロになり、危険が少ない依頼を受け、その日暮らしの毎日を過ごしていた。

そんな男を【落星】とよんで揶揄する者もいたが、ヘルプで入ったチームからの信頼は篤かった。

チームへ誘われることもあったが、男は頑なに拒み、次第に誘われることはなくなっていった。

次第にその他大勢に埋もれていく男。もはや落星と揶揄されることすらなくなっていき、その存在を認識している者が減っていった。

そして、7年が過ぎた。

平凡に平和に暮らしてきた男の日常は変わった。とある出逢いを切っ掛けに、それまでの人生のままではいられなくなってしまった。

その日を境に時代と世界の荒波に巻き込まれていくことに、男はまだ気付いてない

―完―


「不吉な終わり方!!え?何??何なの?!俺巻き込まれんの?!出逢いってお前らのことじゃねーよな!?やだよ!やめて!!」

「後味悪っ!!ま、まぁまぁ、先のことなんて誰にも分かんないんすから、気にしないようにしましょ!!」

「人ごとだと思ってコノヤロー。で?何か分かったのかよ?人の人生開示して不幸宣告まで受けて散々だぜこっちはよぉ!」

「先のことはお前さんの選択次第だろ?そんなことより、分かったことというより、想定ができた、と言った方が的を得ているかもな」

「ど、どんななんだよ?」

「ゴクリ…」

「それはな、努力したことが反映されるチカラだ!」

「「努力したことが反映されるチカラ?!」」

「あぁ、そうだ!」

「そ、それって当たり前のことなんじゃないんすか?」

「いや、このあんちゃんのはな、その底が知れねぇとこがミソなんだよ」

「だけどよ、俺はチーム組んでたときに限界を感じたぜ?いくらやってもそれ以上強くなれねー、みたいな」

「違うな。恐らく限界はきてない。旧態依然とした努力を重ねたところで、成長速度は遅くなっていくんだよ。強くなればそれ以上の努力をしないとな。言うならば、ちょいと大きな成長の壁にぶち当たって、そいつを乗り越えるまでの努力をしてこなかっただけ、だな」

「え?それってただ怠けてただけってことでは…?」

「平たく言えば、そういうことだな」

「ぅぉおい!え、何?悪口?!ここまできてただの悪口?!」

「でも実際サボってきたんすよね?」

「サボったとか言うんじゃねーよ!角が立たないよーに生きてきただけだ!人の生き様にケチつけんじゃねーよ!それによ、底無しに強くなるかもしれないとして、どんだけの努力が必要なんだって話だ。俺だって引きこもってたわけじゃねーんだぞ?!」

「そりゃあ、それこそ命懸けた戦いを重ねていけば…」

「はぁ?ムリだろそんなの!俺はバトルジャンキーじゃねーんだよ。慎ましく穏やかに生きていてーんだよ」

「勿体ねぇとか思わねーのか?」

「ねーよ。え?んじゃ何?命懸けてボロボロになって最強目指して、何かいーことあんのか?世界征服しちゃう?魔王倒しちゃう?興味ないね。デカいチカラにはデカい責任がもれなく付いてくるんだよ。そんなのは真っ平ごめんだ。俺は好きなように生きていきたいし、チカラなんてのは自分の周りを守れる分だけありゃいい」

「…へっ、おかしなもんだが、お前さんらしいな」

「確かに、変すけど、らしいっすね」

「そ、そうなんだなぁ」

「何なのお前ら?俺の何知ってんだよ?特にさっきまで寝てたお前!」

「だ、大丈夫なんだな~、ゆ、夢の中であんちゃんの人生を、き、聞いてたっていうか、お話ししてたんだな」

「そ、そうか、ならいいけどよ(中の人同じだもんな〜)。ところでよ、俺のことはもういいとして、お前らデコボコ兄弟の処遇だ!俺が勝負に勝ったんだから、俺の言ったとおりにするんだよな!?」

男のモノローグが長過ぎて一同は忘れていたが、男は自分に都合の良いことは決して忘れないのだ。

「あ、そういえばそんなこと言ってたすね…いや、でも無理強いはよくないす…」

「当然だ。約束は約束。俺と弟分の二人はガキの専属護衛になってやるぜ」

「ですよね、そんなこと…って、えぇぇえぇえ??!!いいんすか?!」

「男の約束だ。二言はねぇ」

「そ、そうなんだな!」

「そ、そんな立派なのにどうして強盗なんか?」

「おぅ、そーだな、なんでんなしょーもねーことしてたんだ?」

「言い訳はねぇ!…だがよそれには、ワケがあってだな…」

ずんぐりとノッポは東大陸でフリーの傭兵としてそれなりに活躍していたが、とある大国との戦で雇い主側の重役に重傷を負わせてしまい、そのせいで大国からも雇い主からも追われる立場となってしまった。

そこに救いの手を差し伸べてきたのが同族のオーク族で、密出国させてくれたのだが、その手数料が莫大だった。しかも、支払い期限が短かったことから、止むなく強盗をするしかなかったのだった。

「いや、アホかおめーらは」

「…何も言えねぇ」

「期限延長したもらったり色々方法はあるだろ。よく考えろよ…」

「そうだな、面目ねぇ。しかし、初犯でお前さんらに出くわすとは、運が良いのか悪いのか…人生分からんもんだな、がっはっは!」

「そ、そうなんだなぁ!!」

「がっはっはじゃねーわ。今の笑うとこなの?…まぁ、いいけどよ。で、今からあんたらはコイツの護衛っつーことでいいんだな?そーと決まれば俺はハーイワークに異常なしって伝えて本日の業務は終了だ。やーれやれ、長くてしんどい一日だったなぁ。早く酒でも飲んで…」

「そうはいかねぇんだ。返済を延長してもらえるように同族たちに言ってこねばならん」

「そ、そうなんだなぁ!」

「はぁ?!まぁそーなんだろうが。どれくらいかかんだよ?」

「10日あれば戻って来れると思うぜ。…だからよ、それまで、あんちゃん、俺達の将来の雇い主を守っててくんねーか?」

「「はぁ??」」

「勿論、タダとは言わねえ。あんちゃんには何かしらで返すからよ!」

「いや大丈夫すよ!俺一人でやってけますから!」

「お前さん、それで俺達強盗に遭ったんだぞ?ソロがどんだけ危険かまだ分かってねーのか?」

「まぁ、舐めてたのは間違いねーわな。今まで何もなかったのは、相当運が良かっただけだろな。残りの人生における幸運全部使っちまったな」

「そうなんだな」

「くっ…す、すみませんす」

戦闘能力も索敵能力もない者がソロで活動することがどれだけ危険か頭では理解していたため、ぐうの音も出なかった。

「なぁ、あんちゃん頼む!俺にそいつを預けた責任で、少しだけやってくれよ!!」

「そうだな!」

「…責任って言葉はホント嫌いな言葉No.1だぜ。くそ、変な条件つけんじゃなかった。じゃあ、こうだ。ジュルラークまでは連れてってやるから、そこでお前らは合流しろ。いいな」

「よっしゃ、ノッた!」

「あ、あのー、ジュルラーク行く前にモル村に寄っても良いすか…」

「よっしゃ、行ったれ、あんちゃん!」

バシぃと男が背中を叩かれた。

「っ痛ぇ!このバカ力!そんで勝手に話進めやがって!」

「モル村のハーイワーク分所でも報告はできるだろ?いいじゃねーか」

「街道パトロールの仕組み知ってるじゃねーか?!…クソっ、分かったよ。やるよ。ただし、俺は高ぇぞ」

「へっ安心しな、この新しい雇い主と稼ぎまくってお零れくれてやるからよ!」

「そ、そうなんだな!」

「ほ、ホントに俺なんかに付いてくれるんすか?」

「おうよ、二言はねぇって。それにお前さんも最初俺らに絡まれたときに抵抗するぐれぇ、ちょっと気合いの入ったボウズだと思ってたからよ、異存はねぇよ。ヨロシク頼むぜ、オーナーさんよ!」

「は、はいっす!よろしくお願いしますっす!」

そこでがっちりと握手をする若者とオーク族の二人。

「あれ?ところで皆さんの名前まだ知らないっすね」

「おぉう、そーいやぁ忘れてたな!俺はシャルクレ、コイツはヨリメルだ」

「シャクレに寄目。名は体を現すってな」

「おいおいあんちゃん、ちぃとは気にしてんだぞ」

「そ、そうだぞぉ」

「俺はタマルっていいます!運搬依頼を中心としたフリーワーカーで、いつかは自分のギルドを持つことが夢っす!!」

「えーと、タマゴがギルドで…?」

「タ、マ、ルです!耳腐ってます?!」

「あんだとコノヤロー」

「まあまあ。二人が仲良くなったのは分かったからよ、あんちゃん、お前さんの名は?」

「何だよ?期待するような目で見るんじゃねーよ。別にキラキラネームじゃねーぞ、俺は…カイシン。カイシンだ」




とある海辺。

車椅子の近くに女と男がいた。

女を心配する男だが、添えられた手を離し、女は両手を広げ力一杯息を吸い込み、静かに吐いた。

【私ね、海って大好き。広くて深くてキレイで。でも時には怖いし、底が見えなくて。ホント誰かさんみたいだよね】

夕陽に重なる女の表情は眩しくて見えない。果たして眩しさのせいなのか、儚さのせいなのか。

【でも、そんなとこも好き。大好きだよ海心】










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