雨のち晴れ 第2章(霊感・・・・?)
(あらすじ)
幽霊大国日本。
その国には、幽霊を成仏させる葬儀師と呼ばれる
者たちがいた。
その国に住む中学3年の少年 村田 慶介は、窓ばかりを見つめる
少し変な少年だった。
そこに転校してきた美少女 月下 楓とはいったい
何なのか?
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雨の日に再会し雨の日に出会った。
いつもの笑顔で。
現在でも、うる覚えに過ぎない。
でも忘れることはできない。
その日に出会って、一生をともにした。
あの子の事を・・・・。
(雨のち晴れ 第2章霊感・・・・?)
中間テストも終わり6月になった。
これから雨が多くなる時期に突入する。
そして、5月の末ほどに転校してきた楓さんも大分学校に慣れたらしい。
相変わらず男子に人気で、俺も時々見とれてしまうほどの
美貌を併せ持っていた。
性格も優しくクールに受け答えするところから心の中まで綺麗なのが
伺えた。
俺は恋には、無縁の存在である。
なのに一体あのときの心臓の高鳴りは、なんだったのか・・・・。
3年に進級してからなぜか前まで仲良くしていた友達が
俺を無視するようになった。
声をかけても何も言わずに遠ざかっていく。
家に帰ると、優しかった親もすぐに寝てしまっていて
机の上に晩御飯とメモがおいてあった。
メモには
(おかえりなさい。チンして食べてね)
と、書いてあったがなぜか家に帰ると腹が減らないので
お菓子など食べる毎日。
自分でも気づいていた。
2年生の時より自分の生活が崩れていた。
それからだ。
誰とも話そうとせず休日は部屋に引きこもりがちになったのは。
それからだ。
窓を見て考え込むようになったのは。
それからだ・・・・
「またか・・・・。」
休み時間ほとんど動かない俺が動く時は、それなりの
事情がある。
俺は、階段の裏にある人一人がやっと入れるほどのスペースの中を
覗き込んだ。
そこには、女の子がしゃがみ込んで泣いている。
それからだ。
霊が見えるようになったのは。
その女の子は、ピンクの服を着ている。予想で幼稚園児ぐらいの年であろうか。
俺は、3年になってほぼ毎日こんな状況に陥っている。
最初は、驚いたが慣れると怖いものでもない。
なぜなら、霊とは体を失った魂。つまり人間から肉体を取ったに過ぎない
ある種の人間なのである。
だから、俺は人間と同じ扱いをする。
年相当の霊としての扱いといったら良いだろうか。
年下なら優しく声をかける
気持ち悪いとも思わずに。
「こんなところでどうしたの?」
俺は、性に合わないが少しニコニコしながら声をかける。
それが、霊感を持つ者の使命だと思う。
テレビなどの心霊写真番組のほとんどがうそだと思う。
でも、本当に霊からのメッセージだったら。
テレビゲストは、それを驚いてそれを見ている視聴者をビビらせて。
メッセージを見逃しているとしたら。
霊は怖いもんじゃない。それを人間へ知らせるために俺は霊感という
能力を手に入れたのだと思う。
女の子は、何も答えず泣いている。
「へぇ~。君、霊感あったんだ。」
後ろから誰かに呼ばれた。
俺は、背筋が凍るほど驚いた。
誰もいない設定で女の子の霊と対話していたからだ。
後ろを振り向くと、髪の長い美少女。
月下 楓である。
「お前も霊感あったのか!?」
「シー。声がでかい。」
あまりの意外な人物の登場につい大声が出てしまった。
「これでもね私。葬儀師なのよ。」
辺りを気にかけて楓が言う。
「えっ!あの霊の成仏を専門とする葬儀師?」
「そうそう。」
楓が応答し終えると
女の子の前に楓が立った。
階段の前の狭いスペースに女の子と楓が2人。
楓の制服とスカートが後ろの白い壁に摩っている。
楓は、2回ほど手拍子をした後に
ボーと見ている女の子の肩に手を乗せる。
「でも、慶介君は誤解をしている。葬儀師は、成仏させるんじゃない。
生まれ変われるように手助けをするだけ。」
その時、太陽並みの光と風船が破裂したかのような音が当たりに響いた。
女の子は、スッと消えていった。
「ミッション完了~♪」
楓は、上機嫌に俺の肩をたたいて立ち去っていった。
It continues.