呪人形
今回は、相当怖く仕上げて出来栄えはお化け屋敷以上です。
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その人形は、知らぬ間に私の手元に現れた。
凛とした顔立ちの昔話などで出てきそうなフランス人形。
目は青く今からでもしゃべり出しそうなふっくらと盛られた唇。
その人形に私は、チワワとなずけた。
ふわふわと繊維の一本一本が肌に触れることが名前の由来である。
この人形は、2年ほど前に天国へと旅立った大親友からもらったものである。
チワワと私は、まさしく友達のようにどこへ行くにも一緒だった。
だけど、みんなは認めてくれない。
怖い、気持ち悪い。
友も家族も次第にチワワを避けるようになった。
だけど、私はそれが苦とは思わなかった。
チワワには、大親友の魂が乗り移っている。
だから私を独り占めにしたがっている。
馬鹿らしいとは思うが、そのときは本気でそう思っていた。
だけど、私にも不思議なことが起き始めていた。
「お人形さん。身長測りましょうね。」
私は小さかった。
それでも、このときの恐ろしさは忘れられなかった。
買った当時より10cmほど背が伸びていたのだ。
ちょうどそのころからだ
人形に拒否反応を示し始めたのは。
私が、小学校に入学するのと同時に
人形を押入れへとしまった。
ほとんど、いやまったく開けない押入れの奥へと。
それからと言うもの人形のことを忘れたかのように
新しい友達と遊んでいた。
そして中学生に入ったときには、完全に記憶から人形が消えていた。
「あれ?押入れが少し開いている。」
私はそのときおかしいとも思わなかった。
ほんの数センチ開いていただけだったからだ。
そのときは押入れをしまいなおしその場を後にした。
それからと言うものほぼ毎日押入れが数センチ開いている。
まるで誰かに見られているような
監視されているような。
さすがにおかしいと思った。
でも、押入れを開ける勇気がなかった。
開けたらとんでもないことになる。
虫の予感とでも言ったらいいだろうか。
中3の冬。
そのときには、押入れのことは気にならなくなっていた。
「ねぇ。このスキー板押入れにしまっておいて!」
母が大声で叫ぶ。
「はーい。」
押入れを一気に開けた。
「なんで遊んでくれないの・・・?」
そこには、私と同じ身長の青い目をした人形が
こちらを見据えていた。