天国
作者からのコメント。
今日から小説再開です。
前よりもレベルアップしているので見てください。
今回は、友達の要望で不思議系に挑戦です。
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人は、天国をどんなところだと思っているのだろうか。
幸せなところ、楽なところ。
答えは、個々人に分かれる。
だが、天国とはこんなところだったりする。
暗闇、会社帰りのAさんは人気の少ない裏路地を通って
家へと向かっていた。
自分の足音だけがあたりにこだまして、どことなく心細さ
も覚えてくる。
真っ黒のスーツに身を包んだAさんの体は、暗闇に同化して首だけで歩いている
と錯覚するほどだった。
家へ帰れば女房やもちろん子供も帰りを待っている。
温かいご飯にお風呂
接待に追われる現代サラリーマンにとっては、これとない幸福のひと時である。
それに、今日はAさんの30歳の誕生日。
前までは、さほど楽しみでもなく自分の誕生日を他人に聞いて
思い出すほどどうでもいい行事に過ぎなかった。
だが、子供が出来てからというもの毎日が夢のように過ぎ去っていった。
タタタタタッ
急ぎ足が、走り足へと変わった。
速度も倍増し家の玄関へと一直線に向かっていく。
Aさんが、ドアノブに手を掛け一気に引いた。
「ただいまー」
その瞬間。
Aさんは息を呑んだ。
そこには、包丁を持った女房が立っていた。
いや、立っていたんじゃないこっちに向かって走ってきた。
あ。とも言えずにスーツは、赤く染まった。
鼓動の音が、耳にとどまって
荒い呼吸がやけにうるさく聞こえた。
Aさんはそのまま地面へと崩れたのであった。
「お疲れ様でした。」
「・・・・。」
Aさんがゆっくり目を開けると頭に白色のヘルメットらしき
物がついていてその横に脳波を調べるようなものが置いてあった。
「30年間のプレーは、どうでしたか?ここでゲームオーバーだなんて
残念ですね。」
よく見ると、部屋から機械から何から何まで白で統一されていた。
Aさんの前には、白い制服を着た女性が顔を覗き込んでいる。
天国。
人は、ゲームをしているに過ぎない。
勉強、お金の稼ぎ、人生。
天国とは、ゲームからさめる事ではないのか?
だから命は、ひとつなのである。
Aさんは、30年間ゲームをした部屋からゆっくりと
本当の自宅へと向かって行った。