雨のち晴れ 本編1章(母親探し)
長いプロローグも終わり本編突入です。
更新できなくてごめんね♪Nさん
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(雨のち晴れ 本編1章母親探し)
楓は、上機嫌に俺の肩をたたいて立ち去っていった。
いや、立ち去ろうとした楓を俺が呼び止めた。
「あいつどうなったんだ?」
あいつと言うのは、消えた少女のことであった。
普段より声の張った感じに問い詰めたために楓にも戸惑いがあった。
「慶介君。幽霊は、自分が死んだことに気づいていない。」
「えっ?」
「死ぬ瞬間は、ほんの0.数秒の世界。だから、霊自身が自分のことを
霊だと認識した時、未練を断ち切った時に成仏する。」
「・・・・。」
あまりの世界観に俺は圧倒された。
「ただ、幽霊を成仏させるのは簡単なことじゃない。今の子だって成仏させたわけじゃない
一時的に消しただけ。」
「どういうことだ?」
「自分自身が霊と気づいても未練を断ち切ってやらないと霊自身が成仏を
拒んでしまうの。」
楓は、ポケットから白色の手袋を取り出した。
手袋には、何か文字らしきものが書いてあったが読めなかった。
楓は、右手の手袋を口に銜えている間に左手に手袋を
はめた。
「ここからが本番!」
彼女の目は、輝いていた。
楓にとってこの仕事がやりがいのある仕事だというのだろう。
楓は、両手に手袋をつけると階段の前の狭い薄暗いスペースに立った。
人目を気にしているのだろう。ここなら階段が死角になっていて見えにくい。
楓は、手袋を付けた手を合わせて呪文のようにつぶやく。
「除霊法第10条。視界話法。」
あまり理解ができなかったが、俺たちの前にさっき消えた少女がゆっくりと姿を現した。
「これで、霊から私たちのことが見えるようになったし話せるようになったわよ。」
「えっ!霊ってこっちのことが見えなかったの?」
「あたりまえじゃん。」
(どうりでさっき話しかけても無視してたわけだ。)
「お兄ちゃんたちこんなところで何してるの?」
「え?いや~」
君は幽霊です。と、言えないので俺は戸惑ってしまった。
「ねぇ。お姉ちゃんの質問に答えてね。」
すかさず楓がフォローに入ってきた。
少女は、コクリとうなずいている。
「何か困ったことはない?」
「う~んとね。ママが、どっかいっちゃったの~!」
ほとんど半泣きになりながら言う。
(それが未練か。そいつを断ち切れば霊だと認識するかも)
楓は、心の中でつぶやいた。
「じゃあ。一緒にママ探しに行こうか。」
「うん!」
少女はうれしそうだ。
俺はそれを見ていて楓を見習わないといけないところがたくさんあるような気がした。
俺は、戸惑って真実を言えなかった。
彼女は、直接的に真実を伝えなくても霊自身に向き合って話していた。
霊を人間と一緒の扱いをしていなかったのは、俺のほうだったのかもしれない。
俺は、その時から楓に引かれていったのかもしれない。
俺たち二人は、母親を探すために歩いていった。
It continues.