表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

プロローグ 闇の中

初投稿です。よろしくお願いします!

 薄暗い部屋の中で、1人の男が蝋燭1本の灯りを頼りに1つの魔道具を作っていた。髪はボサボサ、無精髭が生え、服は酷く汚れていた。彼を見る人がいたならば、10人中8人ほどは目をひそめるのではないだろうか。


 けれども、ただ1つ男の瞳だけは飢えた猛禽類のように爛々と輝いていた。男には時間がなかった。数刻後、作業の手が止まる。

「ハハハ、やった、ついにやったぞ!、これで完成だ、これで全てがうまくいく・・・そしてアイツを!」


 男は、作った魔道具に何も欠陥はない、大丈夫だと何度も自身に言い聞かせる。固く握り締めた拳は歓喜に震えているようにも、不安で押し潰されているようにも見えた。


 男は魔道具を起動させると、自身の持つ全てを注ぎ込み始めた。次第に意識が薄れていく中、蝋燭の灯りとは異なる桃色の光が魔道具の側に現れる。


 「本当にこれでいいのかい?」

光から発された問いかけに男は、脂汗を垂らしながら乱暴に応えた。


 「今更引き返すことなどできない、この方法にかけるしか手がないんだ。オレにしかこの狂わされた世界を変えることはできない!」


「分かったよ」

悲しげな声を発した光は魔道具の中に吸い込まれていった。男には、もはやどんな言葉も届かない。

 

 男は残り全ての力を魔道具に注ぎ込み、糸が切れるように倒れた。

 その直後、世界が歪んでいく。世界が廻る、廻る。


 こうして、不器用に生きた男の一生が幕を閉じた。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ