表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢と流刑地の島  作者: 諸星中央
入島
9/9

9

 それから滅多なことでは襲われなくなった。あとで聞いた話によると、お兄さんが商売の際に私の話をしているらしく、仕込み杖で大立ち回りをして木々を切り伏せ岩を跳ね飛ばし、四人の男をまとめて串刺しにしたことになっていた。まあ安全に代わるなら、そういうことにしておいていいのかも知れない。

 獣の皮に取った油はそれなりによく売れた。お兄さんは勝手に私の舎弟を名乗っているが、それも良かろう。荷をまとめた熊皮は明らかにお兄さんが仕留めたもので、安易な気持ちでこの男に挑みかかるものはいないだろう。このままこのお兄に一儲けさせてやるのも自分のためになるかも知れない。

 油の行商に出ているとそれなりにこの島のことがうかがい知れる。ヤクザじみた人間が徒党を組んで、それに対抗するためにある程度の秩序が生まれだしたらしい。本国の連中がまともに手を入れず、掃きだめにしてしまったこの島にもこの島なりの社会があるのだった。

 島の広さは、地形は、気候は……罪人としてやって来たこの島にも、クリスティーナはだんだん興味が出てきた。せめてこの島を良くすることで自分の役割を果たせたら……そういった希望を含んだ、興味が。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ