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第5話 再度の襲撃(1)

「貴官らがイルキア基地の生存者か?」


 レオを連れイレスコ基地の司令塔に入ると受付で部屋を用意されていた。そしてその部屋にイレスコ基地の司令部に所属しているであろう40に入る手前あたりの少佐が入ってきた。

 その顔が仏頂面でレベッカは苦手だなと思いながらも敬礼をする。


「はい。レベッカ・ラッツ中尉です。」

「同じくレオ・ミュラー少尉です。」


 しかしその少佐は自分の名前を名乗らなかった。


「早速だが、貴官らには敵前逃亡の容疑がかかっている。」


 その言葉と同時に部屋の中に保安部隊の兵士が銃を持って入ってきた。

 その状態にレオはかなり困惑しているようだった。そんな彼を見ていると寧ろ自分の方が冷静になってくる。そして冷静になったからこそ考えを巡らせることができた。


「それは一体どういう意味でしょうか?」

「言葉通りの意味だ。我々は君たちが敵を前にして上官からの命令も無視して逃げたのでは無いかと疑っているのだよ。」

「そんな滅茶苦茶な。」


 レオがそう口を挟む。


「誰が話していいといった!」

「失礼しました。」


 レベッカが代わりに謝る。


「ですがイルキア基地の状況をふまえれば撤退以外ない状態でした。」

「戦って守り切る手段は無かったと?」

「そう考えています。」


 話の筋は通しはしたが、これが認められるかはまた別の話かとレベッカは少佐の様子を伺う。


「話は分かった。だが、詳細な話はこれからの取り調べで確認する。それまでは二人とも営倉に入ってもらう。」

「分かりました。」


 これ以上はこの場で話合っても無駄だと判断をする他なかった。



「あの新型機、手に入れられそうか?」


 イレスコ基地司令官であるベニット大将はすぐ傍にいた大佐に話しかける。


「はい。コックピットのロックが厳重にかかっていそうでしたがもう少しで解除できそうです。」


 その言葉にベニットは薄ら笑いを浮かべる。


「あの機体を皇帝陛下に献上できるようにしておかなければな。」

「ただパイロットの選定がかなり厳しいと伺っていますが?」

「だとしても陛下の周りの人物であれば誰かしら動かすことは出来るだろう。あんなどこの馬の骨とも分からぬやつに任せておくよりは遥かにマシだ。」


 ベニットは既に死亡したイルキア基地の司令官であるノート・ベルクをしれっとなじる。


「それであの二人はどうしますか?」

「アンゲロスのパイロットは殺せ。中尉の方は貴官に任せる。殺そうが生かしておこうがどちらでもいい。」

「分かりました。」


 大佐はそう答えるとどうやって殺すべきか考える。


「ベニット司令。アンゲロスの調査をしている部隊から連絡です。」

「どうした?」

「はい。どうもアンゲロスに乗り込んだパイロットがいるみたいですが、急に倒れて心肺停止の状態だと。しかも救助しようとコックピットに入ったものも急に苦しみだしているとのことです。」

「どういうことだ? なにか毒物でも撒いてあったのか?」


 ベニットは怪訝そうな顔をする。しかしその答えはこの場で考えているだけの彼には分からなかった。



「マーヤ。」

「先輩? どうしたんですか?」


 基地の廊下を歩いていたマーヤは仲の良い先輩に手招きされるのを見ると彼女の元に近寄る。


「今回イルキア基地から逃げてきたパイロットってマーヤの知り合い?」

「はい。ミュラー少尉は幼年学校からの同期で仲良くしています。それがどうかしましたか?」


 その先輩は周囲に誰もいないのを確認すると彼女にそっと耳打をする。


「さっき司令室にいる私の友達から聞いたんだけど、ベニット司令が彼のことを殺そうとしているらしいわ。」


 マーヤは目を見開いて先輩を見る。


「どういうことですか?」

「そこまでは良く分からないんだけど、新型機がなんか関係しているみたい。」

「新型機がですか?」


 このとき彼女は彼がなにか良くないことに巻き込まれているんじゃないかと推測する。

 ただこのとき彼女にあったのは彼を助けたいという思いのみであった。



「今度はイレスコ基地への攻撃ですか?」

「あぁ。幸いにも先程のイルキア基地への攻撃では思ったよりも消耗が少なかったからな。」


 シャレティ・アニクウェスは新型機への追撃任務を続けることが少し気がかりであった。。


「どうした? 浮かない顔をしているな。」


 作戦参謀がアニクウェスに尋ねる。


「すみません。連戦でどうにも身体の具合が優れなくて。」

「それも確かにそうか。だが今回の追撃も成功しようが失敗しようが次で最後だ。」

「それはどういうことですか?」

「こう何回もやって捕獲に失敗するとなるならこれ以上今のままでやっても意味はない。上はそう判断をしたようだ。」


 なるほどと彼は思う。それならば一度基地に戻って万全を期して捕獲するほうが良いということかと考える。


「分かりました。今回で捕まえられるよう、死力を尽くします。」

「任せたぞ。」


 作戦参謀の言葉に彼は頷くと自身のデヴァイン・アームに乗るため格納庫へと向かった。

今後の投稿は不定期ですが週に一話は投稿します。(まだプロットもしっかり固めた状態ではないのでこちらの投稿はスローペースの予定です。)

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