敬語おじさんと先生
いつものお昼会会場には1人新顔がいた。
「まさか梨花さんまで関わっていたなんて。…敵はかなりの手練みたいね」
「敵って先生、だからおじさんとは話してるだけなんですって!」
凛ちゃん達の担任はHRの後場所と時間を聞いてこうして現れたのだが、梨花の説明も聞く耳を持たなかった。
「確かに話してるだけだな!あとたまに食べ残しを貰うくらいだな!」
「凛ちゃん!余計な事いわないでよ!!」
「食べ残しですって!!クソがああ!!凛ちゃん今すぐペッしなさい!ほら、先生の手に出してみなさい!先生の顔を見ながら出してみなさい!!」
「先生やばっ!凛ちゃん出さなくていいからね!あと先生の言葉は聞いちゃダメ!!」
梨花はここに来る間にこの担任が凛ちゃんを過剰に気にしている事には気がついた。しかし、もうどうする事も出来ない。それに正直おじさんと会えなくなっても困らない。
「おや、今日は賑やかですね。」
「あなたですか。私の凛ちゃんと遊んでいるおじさんは!」
梨花は凛ちゃんの耳を塞ぎながらことの顛末を見守ることに決めた。
おやおや、どうやら凛ちゃん達との関係がバレてしまったようですね。これは困りました。女性は年齢から見て親ではないですね。すると学校の先生でしょうか。生徒のために休日出勤とは素晴らしい方ですね。
「私はこういう者です。」
「なんですか…えっこれ本物ですか!?」
私の仕事は法律関係でそれなり大手ですからね。部署は窓際ですが一応は部長です。
「しかし、こんな仕事をしている方が小学生と遊んでいるなんて!恥ずかしくないんですか!!」
「遊んでいる?まあそうですね。毎週楽しみにしていますよ。」
「犯罪者がぬけぬけと!」
彼女たちと遊ぶのは楽しいですからね。遊ぶのに仕事は関係ありませんよ。
「何か勘違いがありますね。どうでしょう私たちの遊んでいる所見てみませんか?」
「はあ!?あなた正気ですか?いや、そういう趣味の方ですか?凛ちゃんの遊んでいる所…くっ問題があれば止めに入りますよ」
「ええ、構いませんよ」
思い込みの激しい方ですね。梨花ちゃんが疲れた顔をしている理由がわかりました。
「では始めますよ」
「――ええ、お願いします。」
おじさんがベンチでご飯を食べ、周りで幼女二人が会話している。おじさんはたまに会話に混ざり梨花ちゃんに辛辣に突っ込まれている。
(えっなにこれ?何を見せらているの?私に理解できない高度なプレイ内容ってこと?これは「おじさんと遊んでいる」というより「おじさんで遊んでいる」と言った方が正しいわ。あと無邪気な凛ちゃん可愛い!!こんな見え透いた嘘で私を騙す気?って凛ちゃんジャンプしてるわ!!スマホで撮らないと!)
「おっちゃんの仕事凄かったんだな!」
「信じられない。お昼おにぎり1個なのにね。」
「おにぎりは炙りサーモンマヨですよ。」
「だからなんなの!?変な合いの手やめて!」
「アレうまいよなー!!」
(……そうか、私ほどになれば凛ちゃんの顔を見ればわかる。これは私を騙す嘘ではない、これが日常なのね。そして私の心が如何に汚れていたかよく分かったわ。ごめんなさい凛ちゃん。そして凛ちゃんメモ追加ね!好物炙りサーモンマヨ覚えたわよ!)
「よくわかりました。先程は失礼なことを言ってしまい申し訳ありません。」
「いえ、私も自分の行動に自信が持てなかったのです。どこか後ろめたい気持ちがありました。凛ちゃんは真っ直ぐいい子ですね。」
「はい、凛ちゃんは私の自慢の生徒です!…凛ちゃん、それからえっと…梨花さん。おじさんとの関係は先生が承認するわ。」
「やったあ!!」
「こいつ一瞬私の名前忘れてなかった?」
学校として間違った判断かもしれない。しかし、神経質になって子供の自由を奪うのは教育として正しいと思わない。それにこのおじさんは問題ない。それは凛ちゃんを最も理解している私が保証しよう。あの光景を見れば凛ちゃんに害はないことは確かだ。
「…あと、先生もたまに来ていいかしら?」
「先生来てくれるのか!?やったあ!!」
「凛ちゃん、この先生おじさんより危険だよ!!」
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