敬語おじさんとご当地お菓子3
芦屋家では凛ちゃんがお昼会の前にご飯を食べていた。昨日の余り物で作った炒飯を口に頬張りながら凛ちゃんが喋る。
「んん!んまい!」
「ふふふっ急いで食べちゃ危ないわよぉ凛ちゃん」
「……っん、でも今日は新しい友達も来る日だからな! 急がないと!」
「あらあらぁ、今度はぁ…………またおじさんなのね?凛ちゃん。」
「そうだぞ!!お母さんよく分かったな!パツパツの探検服を着てて虫と友達のムシズっておじさんだ!!」
「……うん、凛ちゃんが決めたならきっと大丈夫ねぇ!ムシズさんと仲良くねぇ。」
凛ちゃんの母、紗英は極度の親バカであり楽天家だった。あともう一々確認に公園に行くのも面倒くさいと感じていた。
「あっそうだったぁ!……凛ちゃんあとコレを持っていってくれる? 今回は難問よぉバナおじさんに解るかしらねぇ」
「うん、わかった!!行ってきまーす!!」
「あとソレ割れやすいからぁ気をつけるのよぉ!」
「はーい!!」
凛ちゃんが紗英からのお菓子を慎重に運んでいたため少し遅れてお昼会に着くと、既にムシズと鈴木、梨花が到着していた。
「あっ、凛ちゃん遅いよ!! 私と変なおじさん2人って地獄みたいな空間に何時までいさせる気なの?? 帰ろうかと思ったよ!!」
「ごめんごめん! お母さんからお菓子貰ったんだ! 気をつけて運んでたら遅れた!」
「……それなら仕方ないね。それで中身はなんなの??」
「はい、私も気になりますね。バナママさんのお菓子にはいつも驚かされます。」
「むむ、何の話かついていけないであります。」
ムシズを無視して3人はお菓子の包みを開けた。中にあったのは動物の絵が型によって描かれたキツネ色の煎餅だった。
「絵は可愛いけど……なんか地味だね。味は……クッキー?」
「そうだな! でもうちは柔らかいのが良かったな。」
「……懐かしいであります。私、小学生の頃は親の仕事の関係で北海道にいたであります。友達がいなかったので、気を紛らわすため耳に残るこのお菓子のCMをよく歌って虫を探していたであります!」
「ムシズの話ってリアクションしずらいんだよね。」
「今は友達がいるから大丈夫だぞ!!」
これはムシズさんがいなければ危なかったですね……なるほど前回の東北からあえて更に北に向かったのですね。しかし手作りでクマと鮭の型を作るとは料理の腕というよりDIY技術ですね。マルチな才能の持ち主です。そしてムシズさんは北海道に縁がある方だったんですね。本来のこのお菓子の名称はクマを表すはずですが、道民なら間違いなくCMの影響で1つのお菓子を頭に思い描くはずです。そのお菓子は……。
「完全に北海道の誇る老舗の味、洋風せんべい 山〇爺です! 素朴なバターとミルクの味わいにクッキーにはない口溶け感。そして何よりこの見た目! 鮭を担いだスキーに乗ったクマという無秩序で意味不明の絵柄は本家と遜色ありませんね!」
「ふーん、それでムシズの言ってたCMってなんなの?」
「北海道で流れている山〇爺のCMは妙に軽快なリズムの曲に合わせてクマの親子がスキーするという味のあるモノなんですよ。あと歌詞がキャッチーで耳に残ります。特に冒頭の"出てきた出てきた山〇爺"のフレーズはつい口ずさんでしまう魔性の魅力がありますね。」
「そうであります! あのCMが流れるとつい歌ってしまいます!」
世界的な観光名所でもある北海道は有名なお土産が多いです。そんな中、山〇爺は他県の知名度は低いですが道内では知らない者はいない銘菓です。子供には受けにくいかもですが、見た目も可愛くおすすめの逸品ですね。
「凛ちゃん、聞いてた?」
「んん! 山〇爺んまい!!」
「さっき色々いってたけど、食べ始めたらいつものリアクションの凛ちゃん可愛い!!」
読んで頂いてありがとうございます!
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北海道行きたいです!




