敬語おじさんとファッション
お昼にいつもの場所に着くともう既に2人がいました。
「おっちゃんって独身なのか?」
「凛ちゃんやめなよ!おじさん泣いちゃうかもしれないよ!」
凛ちゃんは本当に唐突ですね。そして、もうそういった声には慣れたので泣きはしませんよ。
「ええ、独身ですよ。」
「おじさんが凄い笑顔だよ凛ちゃん…謝った方がいいよ」
「なんでだ?笑ってて嬉しそうだし問題ないだろ?」
「…凛ちゃんって本当に鈍感だよね。」
しかしそれが美徳でもあります。凛ちゃんの脳天気さは好感が持てますよ。鈍感ですか。なるほど。
「梨花ちゃんの服変わりま―」
「いやああ!!なんで凛ちゃんより先におじさんが気付くのよ!!撤回して!!」
「うん?あっそういえば服の感じ変わったな!似合ってるぞ!」
「もう遅いよ!!この服はこれから「おじさんに初めて褒められた服」として着なきゃなんないのよ!!」
それは悪いことをしましたね。私とした事が独身の話題に気が動転していた様です。
「じゃあ一緒にもっと似合う服探しに行くか?」
「…行く」
「じゃあおっちゃんとのお昼会が終わったらな!」
「わかった!お昼会終わったら絶対だよ!」
私とのこの時間は彼女たちでお昼会と呼ばれているのですね。シンプルでわかりやすいネーミングです。
「おっちゃんはオシャレだよな!」
「凛ちゃん正気?スーツだしオシャレかは分かんないよ?」
「でもなんかお父さんのスーツよりカチッとしててオシャレだぞ?」
「そうかな?私にはTheおじさんって感じだけど。」
凛ちゃんは流石ですね。私のスーツはイタリア製オーダーメイドです。ですがオシャレとは高いからいいと言うものではありません。そういう意味では梨花ちゃんのTheおじさんという評価は私にとって嬉しい言葉ですね。
「そうです。おじさんよりおじさん。それが私の目指すおじさんです。」
「何言ってるんですか?急におじさん連呼しないでください。」
「なるほど!おじさんよりおじさんかあ!!」
「えっ今言葉にそんな発見あった?!」
本当に凛ちゃんは末恐ろしいですね。私がこの境地達したのはつい最近だと言うのに。
「梨花も自分らしい服が見つかるといいな!おっちゃんみたいに!」
「いい言葉なんだろうけど最後で台無し。」
「私のように服を楽しむといいですよ」
「ねえ、もしかして私いまおじさんに服でアドバイスされてる?気のせいだよね!?」
服とは自分を写す鏡です。自分に似合うものを真に知る事は時間がかかります。そしてその時間こそが重要です。
「おっちゃんが選んでくれればいいんだけどな!仕事だし仕方ないか。」
「凛ちゃん、小学生の服を赤の他人のおじさんに選ばせようとしてる?そのおじさんさんへの信頼はなんなの?!」
「おっちゃん服選びのアドバイスあるか?」
「服は草、自分は土、それが全てですね。」
「全然意味分かんないんだけど?この人ずっと何言ってんの?」
「なるほど!よし行くか!」
「…もう疲れたわ。服はまた今度にする」
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