敬語おじさんとフルーツバスケット2
フルーツバスケットの開催が決まり皆が席に着くと花島だけが立ったまま口を開いた。梨花は訝しげに花島を見つめる。
「……ルールだけど、質問している人への助言や介入は無しにしましょう。そういうのって白けちゃうから。どう?」
「いいぞ!! ライバル同士だからな!!」
「ええ、構いませんよ。」
「いいであります! 童心に帰る気持ちであります!」
「大丈夫ですよ! いやーこの歳でフルーツバスケットをやるとは思いませんでした!」
(わざわざルールを……なんか怪しい。あいつ何を企んでいるの? 介入を禁じて凛ちゃん1人狙いの質問をする気か? でもそれは学校でもここでも釘を刺してる。仮に質問がもし凛ちゃん1人狙いならその時点でレッドカードで退場させよう!とりあえずここは……)
「梨花さんもいい?」
「……まあいいわよ。それで。」
「そう、じゃあとりあえず今立ってる先生が最初の質問者でいいわね!」
「いいぞ先生!! 早くやろう!!」
「花島、凛ちゃん狙いは禁止だからね!1発レッドカードよ!」
「……わかってるわ。これでも反省してるのよ。だから凛ちゃんだけが立つ様な質問はやめる。破ったら煮るなり焼くなり好きになさい。」
「……そう、反省してるのね。ならいいけど。」
いつになく物静かな花島の言動に梨花も少し申し訳なく思っていた。
(花島は変態でどうしようもない奴だけど、先生としては優秀だし生徒を大切にしてるって事は伝わるんだよね。かなり行き過ぎてはいるけど。……わたしも言い過ぎ所はあったし後で謝っておこうかな。)
梨花が少し花島の対応を軟化させようと考えていると、件の花島がゲームをスタートさせようとしていた。
「じゃあ始めるわよ!! この中で……お風呂に入る時足から洗っている人!!」
「なっ!?」
(くそッやられた!!花島はフルーツバスケットを使って凛ちゃんのお風呂での行動を聞き出す気だ!!……こいつ天才か!?……いや違う、まったく反省してないぞコイツ!!)
この質問にムシズとジョギオが立ち上がり、位置を交代した。花島は微動だにせず、凛ちゃんをだけを見つめている。これには梨花が抗議のため口を開くが……。
「ちょっとこ――」
「梨花、質問者に介入は禁止だぞ!」
「いや、凛ちゃん。これは凛ちゃんのために――」
「梨花さん、私を助けようとしてくれてるのね。気持ちは嬉しいけど1人で頑張るから大丈夫よ!」
「……花島ぁ!!」
「うふふ、心配してくれてありがとう。」
(あのルール改定はこのための布石か! 質問自体は凛ちゃんを狙い撃ちしてはいないけど、コイツは明らかに質問者を譲るつもりはない!!)
「じゃあ、次の質問は……お風呂に入る時腕から洗っている人!!」
この質問に鈴木と梨花が立ち上がり場所を交代した。花島は微動だにしない。
(クソ!! こいつ凛ちゃんの最初に洗う場所がわかるまで質問を続ける気か!? あと知りたくもないおじさん達の風呂事情までわかってしまう最悪の状況!! しかも事前にルールを改定して質問の介入を禁じている。いや……でもこの時点で凛ちゃん以外の、最初に洗う場所はわかっている。……ふふふ、凛ちゃんへの1人狙いを禁じている花島はここでお風呂質問は強制的に終わりだ!! 策に溺れたな花島ぁ!! )
「じゃあ次は……」
……次回に続く
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