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先生と昆虫おじさん2


「虫酸ってなに? 凛ちゃんグレた?」

「ん? 名前が長いからムシズって呼んでるんだ!」

「はい、ワタクシ虫明依涼と申します。」

「凛ちゃんは変態……じゃなくてムシズさんとお友達なの?」

「そうだ!!虫に詳しくて便利だぞ!」


胸を張って断言する凛ちゃんに照れ臭そうに頭を搔くムシズ、そしてこの世の終わりの様な顔で2人を見つめる花島がそこにはいた。


「凛ちゃん、前に先生言ったよね? お友達はしっかり考えてから作ろうって。忘れちゃった?」

「ううん、覚えてるぞ!! 考えて友達にしたのがムシズだ!!」


(……むしろ忘れてて欲しかった!! 凛ちゃんはおじさんに対するモラルが完全に欠如してるわ! そしておじさんを引き寄せる特殊能力まで持ち合わせている!! スペックの時点で詰んでるのよ。諦めるしかない……きっとこれが凛ちゃんを愛する者の宿命なのね。だからといって直ぐに友達を許可するのは良くないわ!! 何事にも順序があるもの!! ふふっまた抱き着かれちゃうかも。楽しみだわっ!!)


花島は重苦しい顔を作り、浮かれている内面を見せないようにして凛ちゃんに話しかける。


「凛ちゃん、先生は友達になる事を認めないわよ!」

「先生、でもムシズは良い奴なんだ!……虫の事好きな奴は良い奴ってお父さんも言ってたし。」

「駄目なものは駄目です!」

「うぅ……先生なんか嫌いだ!! もう知らない!!」

「グハッ!!!」


凛ちゃんの言葉に致命傷を受けた花島が膝から崩れ落ち、口を半開きにしてヨダレを垂らしながら失神した。脳内では先程の会話を花島は考察していた。


(えっ?? そんなはずないわ! 聞き間違いよね? 嘘でしょ?? 私、凛ちゃんに嫌われちゃったの?? ……ううわぁーん!! ムシズを道ずれに死んでやる!!)


突然、気を失った花島に驚いた凛ちゃんはあたふたとしていると花島がガバッと起き上がり自分の首を自ら締め始めた。


「凛ちゃんに嫌われるなんて……死んでやるわ!! グボッ…」

「先生っ!死んじゃダメ!!嘘だから!……うちは先生のこと好きだから!!」

「えっ?? 先生が好き?」

「うん、好きだぞ!」

「先生が大大大好き??」

「……だ大大大好き!!」

「むひょおおおおお!! 凛ちゃんと両思い頂きました!! もうムシズとかどうでもいいわ!! 先生なんでも許しちゃうんだから!!」


復活したつやつやの花島はムシズの方に近付くと少しだけ頭を下げてから話し始める。ムシズは先程の2人のやり取りを見てすっかり花島に怯えている。


「ムシズさん、お友達の件は認めます。」

「はい、ありがとうございます。」

「ですが、もし凛ちゃんに危害を加えるような事があれば、あなたを拉致監禁して3日に1回、口いっぱいに昆虫を詰め込んで友達を食べるか、生きるかを死ぬまで選ばせてあげるから覚悟しろ」

「はい(怯え)」

「おい目を見ろよ。美人教師で嬉しいだろぉ?」

「はい(泣き)」


表情の抜け落ちた能面顔にまるで何も見ていないような虚無を感じる瞳で花島がぼんやりと睨む。ムシズは人知れずこの人には関わらないでおこうと心に誓った。



こうしてムシズのゲスト入りも無事(?)に済んだ。


読んで頂いてありがとうございます!

もしご感想があれば是非聞かせて下さい!

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