先生と昆虫おじさん
出す順番間違えてました。すみません。
少し早く家を出た花島はお昼会に向かう途中、長閑な原っぱで1人ベンチに腰掛けていた。
(……最近、何故か凛ちゃんに避けられてる気がするわ。理由は皆目検討がつかないけど、どうせ梨花さんが私と凛ちゃんのイチャラブぶりに妬いて何か告げ口したんでしょう。まったくあの子にも困ったものだわ。とにかく早急に手を打つべきね!)
そんな時ふと原っぱを見ると凛ちゃんが楽しそうに蝶々を追い掛けている光景が目に映った。花島は思わず立ち上がり、スマホのシャッターを連打する。
(むほおおおお!!凛ちゃんと蝶々!!なんてラブリーで神々しい絵なの!! …………はっ!!一瞬、浄化されかけたわ! "凛ちゃんと蝶々"の効果範囲内から出ないと腐属性の私じゃ下手すると即死するわ!! でももっと近くで見たい!! 出来るなら走る凛ちゃんのプリプリの太ももを高性能ハイスピードカメラに収めたい!!)
そんな葛藤を胸中に悶えていると信じられない光景が目に飛び込んできた。
楽しそうな凛ちゃんと蝶々。そこから1馬身離れてパツパツの探検服をきたおじさんが女の子走りで追走していた。そのあまりに衝撃的な映像に花島の脳裏にまるで未来予知の様にある光景が浮かんだ。
――花島が予知した凛ちゃんに迫るパツパツ探検服おじさんの行動。
「はあはあ、やっと捕まえたよぉ! やっぱり君が隠し持っていたんだねぇ!」
「うわっなんだ?? うちは何も隠してなんかいないぞ!!」
「無駄だよぉ僕ちゃんのトレジャーセンサーは感度絶好調だからねぇ!! どれどれぇ……おほっそこにあるみたいだねぇ!!では、お楽しみのホカホカお宝発掘調査開始ぃ!!」
「うわあああ!!」
(無理無理無理無理っ!!うぎゃああああ!!!! 間違いないわ! あのままだと私が先行予約している凛ちゃんのホカホカ―――が奪われる!! すぐにあの変態探検家を殺すしかないわ!! 絶対にお宝は渡さない!!)
その変態探検家は虫明依涼ことムシズ。この勘違いは先生とムシズの顔合わせがまだだった為に起きた悲しい事故だった。
「はあはあ、凛氏待つでありますよ!」
「あはは、この蝶々なんて言うんだ?」
「はあはあ、それはアゲハ蝶のナミアゲハであります!」
(凛氏には困ったものであります。元気なのはいい事ですが、少々お転婆がすぎるであります。……ん? 誰が近付いてくるであります! これは……凛氏はお友達。お守りせねば!!)
凛ちゃんの即死攻撃を掻い潜り花島は視線で射殺す程の圧を放ち、怒気を隠さずムシズの前に仁王立ちした。そしていつになく真剣な顔のムシズと相対した。
一方、凛ちゃんはホクホクの笑顔で蝶々を追い掛けていて2人の状況に気付いてはいなかった。
「あなた、それ以上凛ちゃんに近寄らないで!!」
「それはこちらのセリフであります!! お友達の凛氏に不審な者は近付けません!!」
「私の予約品を横取りしようとした分際で!! しかもホカホカ状態なんて……私でも遠慮していたのに!! 私も探検させろ(?)!!」
(こやつ、話が通じません!! 言っていることも意味不明であります。何かヤバい薬をやってるに違いありません!!)
「あなた何か薬をやっていますね?」
「はっ当然! 凛ちゃんのために毎日やっているわ!!(※鼻孔スプレーとビタミン剤です。)今日もすぐ近くに凛ちゃんを感じる程絶好調なんだから!! 」
「なんと!! 悪いことは言わないから自首しなさい!」
「自首?? それはこっちのセリフよ!! あなたの方こそ私が溜め込んだお宝を押収してあげるから覚悟しなさい!!」
そんな噛み合うことのない会話に終止符を打ったのはやはり凛ちゃんだった。
「ムシズ!! あそこに黒い蝶々がいたぞ!! ん?先生どうしたんだ??」
「先生??誰が?」
「うちの担任の花島先生、可愛いだろムシズ?」
どこか既視感のあるその光景を見て、なんとなく状況を察した花島だったが1つ気になることがあった。
「虫酸ってなに?凛ちゃんグレた?」
……次回に続く。
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まあ色々言いましたが何より続きを見てくれれば嬉しいです!次回もお楽しみに!!