敬語おじさんと無人島
「おっちゃん!ここは今から無人島な!!」
「無人島?また何かの影響??」
「昨日、学校で無人島行くなら何を持っていくかって聞かれたんだ!それで何持ってていいのかわかんないから、鍛える事にした!!」
「まさかのストロングスタイル!?」
常に最悪の状況を想定して行動することは大切です。自分自身を鍛えることは1つ物を持ち込むより格段に良い判断です。
「それで具体的にどうするの?」
「うーん……あっそれはおっちゃんの担当!!うちは動く担当!梨花は突っ込み担当だ!」
「…凛ちゃん何も考えてなかったんだね。そして私は事実上の戦力外通告!!」
なるほど、それではまずは状況の確認が第一ですね。
「では荷物を全員出して中身を共有しましょう。おじさんはおにぎりとお茶と財布です。」
「うちは何も持ってきてないぞ!!」
「私は財布しかもってない」
「…なるほど、残念ですが私たちは死にました。」
「なんでだ!?」
「いや、死ぬでしょ!!おじさんと子供2人で無人島の時点で無理があるよ!!」
確かにこのメンバーでは、厳しいでしょう。しかし問題はそこではありません。サバイバル化で最も危険なものは人。即ち同じ遭難者です。
「子供は大人より力が弱いので私がもし食事を独り占めしたらあなた達は逆らうことが出来ません。死んでしまいます。」
「おじさん悪い奴だったのか!!」
「いや、おじさんなら割と勝てそうだよ?」
彼女達は常に1番弱い立場になるため、おじさんに生殺与奪を握られる非常に危険な状態です。
「作戦は3つ。1つ目は即座に邪魔で危険なおじさんを始末して食料を奪う。まさに一石二鳥の作戦です。」
「自分で言ってて悲しくないですかそれ??」
「おっちゃん、うちそんな事できないぞ!!」
「生きるためには仕方ありません。おじさんという危険要素は排除すべきでしょう。しかし、あなた達だけでは無人島での生活は厳しい。」
そうなると知識のあるおじさんが必要になります。ここでジレンマが生まれてしまうので、2つ目の作戦です。
「2つ目の作戦は、おじさんを拘束して奴隷化する方法です。おじさんを酷使して使い捨てにしてしまえば全てを得られる完璧な策です。」
「どちらにしてもおじさんは死ぬことは確定なんだ。あと小学生に自分を奴隷にしろとか言うな!!気持ち悪い!!」
「おっちゃん、みんなで助かる方法はないのか??」
みんなで助かる方法ですか。それは理想論です。しかし1人だけではなく、みんなで助かりたいという思いはとても大切ですね。
「3つ目の作戦は全員で協力します。おじさんが本当にいい人だったらこれがベストですね。」
「じゃあ大丈夫だな!!おっちゃんは良い人だしな!!」
「正直おじさん殺すのも奴隷するのも嫌だしそれが1番かな」
他互いを信頼することが極限の状況下では難しいでしょう。そんな時凛ちゃんのように表裏のない人物はきっと皆の支えになりますね。
「それでこの後はどうするんだ?」
「サバイバル知識もないのでひたすら寝て過ごすしかありませんね。」
「えっ狩りはしないのか??家作ったりは??」
「やり方が分からないので危険です。体力を温存するため動かず助けを待つのがベストですね。」
「……なんか思ってたのと違うから無人島ごっこやめる!!」
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