敬語おじさんとあだ名
「鈴木!遅いぞー!!」
「凛ちゃん!いい加減おじさんも怒るかもよ」
私がいつもの場所に行くと約1週間ぶりに幼女達と再開しました。私は呼び捨てでも構いませんが梨花ちゃんは気が使えますね。
「じゃあなんて呼べばいいんだよ?」
「うーん、鈴木おじさんとか?」
「微妙だなー。よし、あだ名決めよう!」
「えーおじさんには必要ないよ!」
あだ名ですか。この歳になると名前以外で呼ばれる事もありませんし、新鮮ですね。
「ではあだ名を決めましょうか」
「なんかおじさんやる気だよ。怖いよ。」
「おっちゃんにいいあだ名考えてやらないとな!」
あだ名は名前を文字ったものや、容姿についてが一般的ですね。私は特に特徴はありませんし、強いて言うならメガネをかけているくらいですかね。
「思いついた!1人ベンチってどうだ?」
「凛ちゃん!ぴったりだけどリアクションしずらいよ!」
「じゃあ、孤独メガネ!」
「凛ちゃん本当はおじさんのこと嫌いなんだね!そうなんだよね!」
凛ちゃんはなかなか秀逸なあだ名をつけますね。よく特徴を捉えていますよ。
「では、間をとってメガネベンチはどうでしょう」
「どうでしょうも何もおじさんにプライドとかないんですか?」
プライドですか。周りに迷惑が掛からなければ私は基本、怒ったりしませんからね。
「うーん、いまいち可愛くないな。」
「おじさんが元々可愛くないんだから、仕方ないでしょ」
「えー梨花もなんか考えろよな」
「なんでよ、じゃあ…鈴木ちゃんとか」
「―ないわ」
「―ないですね」
「おじさんはそんなにブザーが聞きたいんですか?」
ブザーは聞きたくないですね。午後の仕事に間に合わなくなります。話を変えましょう。
「先にお二人のあだ名を決めてはどうでしょうか?」
「おっちゃんナイス!じゃあ梨花はー」
「待って!!凛ちゃんのあだ名なんか怖いから聞きたくない!」
「えーなんでだよ!」
「おじさんにはプライドないけど、私にはあるの!」
「えーじゃあおじさんつけてよ」
なるほど幼いのに確固たるプライドを持っているとはあっぱれです。梨花ちゃんのあだ名ですか。長い黒髪にきつい目付き、あまり似合ってない大人びた服装。なるほど。
「マセガキ突っ込みなんていかがでしょう?」
「いかがでしょう?じゃないわ!!おじさんはいい歳してデリカシーゼロですか?」
「うわー!私のギャル真似突っ込みと似てるな!!」
「…そんなに似合ってないかな?」
「似合ってないな!梨花は元々可愛いから普通の服着てた方が可愛さが際立つな!」
「凛ちゃん…」
凛ちゃんの言う通りですね。素材がいいのにゴテゴテと飾り立てていて良さを殺しています。
「凛ちゃんの言う通りですね。例えるなら草原に――」
「おじさんは黙ってて下さい。」
「じゃあ、次は私のあだ名を決めよう!」
凛ちゃんのあだ名ですか。小麦色の肌にショートカットとボーイッシュな服装は性格にもあっていますね。
「凛ちゃんは、バカ元気かな。」
「あははっ!バカ元気かあ!いいね決定!!」
「いいんだそれで。」
「最後はおっちゃんだけど、おっちゃんはおっちゃんだな!」
確かにおっちゃんはおっちゃんだ。私はメガネやベンチの前におっちゃんだった。
「おっちゃんですか。素晴らしいです。」
「何それ。今までなんだったの?もう凛ちゃん帰ろうよー」
「そうだなー!おっちゃんまたな!」
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