先生とプール開き
プロローグ追加しました。
これはまだ花島美波が敬語おじさんと出会う少し前の話。彼女はその日待ちに待ったプール開きに前日の先生で行う朝礼から興奮を抑えられないでいた。
(あー早く明日にならないかしら!! 楽しみだわ!! 1組の子はみんな可愛いしこの学校は天国ね!! それに…ぐふふ、お気に入りの凛ちゃんがいるわ!! 今日は凛ちゃんの水着を想像しながらゆっくり授業を行いましょう! ふふっそして凛ちゃんに質問して立ち上がったら……産地直送もぎたて果実ッ(?)!!)
「――というわけで、明日のプール開きは延期します。皆さん生徒に設備故障として連絡お願いします。では以上で――」
「異議ありッ!!!」
「えっとー…花島先生なんですか?」
「どうしてプール開きが延期なんですか!?証拠の提出を要求します!!」
普段は温厚で美人な花島の豹変に先生達がザワつく。それを手で制止して教頭が再び口を開いた。
「ですから昨日見回りしていた宿直の方がプールに小型カメラを発見したので今日と明日で他にもカメラがないか確認をするんですよ。学校として警察の介入は極力避けたいので。ちなみにこちらがその小型カメラです。防水性のものが飛び込み台にありました。」
証拠品の防水性高性能小型カメラが花島の机に置かれる。花島はそれを食い入るように見つめ、安心した様に息をついた。
「ああなんだ、これは私が設置したカメラなので大丈夫です。ということで、明日はプール開きできますね!!」
「出来ません!!あなたが犯人ですか!!」
「えっあ…ッ!!」
(しくじったわ!!教頭の巧妙な話術に釣られて誤爆した!ここを乗り切らないと最悪プール開きを見れない!!)
普通に犯罪なのでプール開き所の騒ぎではないが、今の花島には思考能力が著しく欠けていた。
「これは…生徒と約束したんです。」
「えっなんですか急に……」
花島が立ち上がると険しい顔で話し出す。
「それは…泳げない生徒に何か出来ないかと考えた苦肉の策なんです。フォームを見れば気付きがあるんじゃないかと。」
「いや、これ陸の飛び込み台にあったんですが……」
「あれが飛び込み台なんですか?私、水泳って得意ではないのであれを水に沈めて発射装置として使うと思ってました。」
「厳しい言い訳に聞こえますが……それに体育の教員もいますから其方に頼めばいいのでは?」
花島先生は1度、体育教員の女性を見て悩ましい顔をした後にまた教頭に目線を向ける。
「…生徒とは繊細です。とくにコンプレックスを抱えた生徒は信頼する人以外に自分の弱みを見せるのは恐ろしい事でしょう。もし私が他の先生に伝えたと知ったら……教頭先生、この学校は生徒の信頼を裏切る事を良しとするのですか? 成果だけが教育ですか? 生徒に寄り添う事は悪ですか?? 私の間違いは認めます。ですがプール開きは行って下さい! 泳ぐ機会すら奪ってしまうなんて私はあの子になんと言ったら…」
畳み掛ける花島の目には確かな覚悟があった。それは凛ちゃんの水着を見るためならば嘘を突き通して見せるという邪な覚悟だったが、普段の花島しか知らない先生達にはそれはわからなかった。
「なるほど、わかりました。信頼、それは尊いものです。カメラの事、そして生徒の事は聞かなかったことにしましょう。しかし花島先生これは1歩間違えば犯罪行為です。それはよく理解して下さい。次はありません。」
「寛大なご配慮ありがとうございます。決して2度しません。」
朝礼のあと、先生達の信頼を裏切る女こと花島美波はプール周辺のカメラを全て撤収させた。ちなみに更衣室には仕掛けていなかった。それが彼女に残された最後の良心なのか、はたまた視聴に耐えられる精神を持ち合わせていないのかは定かでは無い。
そして迎えた次の日のプール開きは循環機の故障で中止になり、また夏のプール使用は不可能になった。その日花島は謎の体調不良で早退した。
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まあ色々言いましたが何より続きを見てくれれば嬉しいです!次回もお楽しみに!!