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敬語おじさんと昆虫おじさん

新キャラ登場。

「これは…なんて立派なクロオオアリちゃん!!ふむふむ、12mmはありますな!」


皆さま、初めましてワタクシ趣味で虫ちゃん達の観察をしている虫明 依涼(むしあき いすず)と申します。小さな頃から名前もあって虫の様に扱われてきたワタクシが虫ちゃんと仲良くなるのに時間は掛かりませんでした。ワタクシは決して虫ちゃんを標本や捕まえて飼ったりはしません。虫ちゃん達の生活を覗き見る事が喜びなのです。


「クロオオアリちゃん達はあちらに向かっていますね。ふむふむ何か餌を見つけたのかも知れません。お食事の様子を是非見せて頂きましょう!」


ワタクシは、虫ちゃんの後を追うように四つん這いで進んでいると地面にクロオオアリちゃんの群れと角砂糖がありました。そして天から声が降ってきました。


「うわっ!アリさんにご飯やってたら、おじさんが奪いに来た!!これはアリさんのご飯だぞ!!あっちいけ!!」


そういって幼女が私の前に立ちはだかりました。なんと失敬な子供でしょうか。ワタクシがクロオオアリちゃんのご飯を奪うなどありえません。


「ワタクシはクロオオアリちゃん追っていただけであります!決してお友達のご飯奪う様な野蛮な真似はしません!!」

「おじさん…アリさんと友達なのか!?すげー!!」

「ふふふ、まあこの虫明依涼(むしあき いすず)にかかれば造作もありません。ワタクシ全ての虫ちゃんと友達であります!!」

「かっこいい!! うちとも友達になってくれ!!」

「それは……実はワタクシ虫ちゃん以外は友達がおりません。なので――」

「関係ないぞ!!じゃあ皆に紹介するからこっちに来い!!」

「えっちょっと……」




――凛ちゃんがアリさんに餌をあげてくると言って角砂糖を持ってどこかに行ったら、パツパツの探検服を着たおじさんを連れて帰ってきた。


「新しい友達だ!!えっとー名前なんだっけ?」

「む虫明依涼であります。」

「長いな!じゃあ…今からムシズな!!」

「なるほど、ムシズさんですか。私は鈴木といいます。」

「あっどうもであります。」

「いやいや!!凛ちゃんもうおじさん連れて来ちゃダメっていったよね!?しかもそのアダ名は最早ただの悪口だよ!?」


凛ちゃんがまたおじさんを連れてきた。いや実際もう慣れてきてはいる。それにどうせこうなる事は予想していた。問題はこのパツパツのおじさんだ。なんか最近は色々なおじさんにあって相対的に鈴木おじさんがまともに見え、私の脳が少しずつおじさんに汚染されている感覚がある。もうおじさんは増やしちゃいけない。…こいつから始めよう。虫明依涼から、いやムシズから!!


「ムシズは虫と友達なんだ!いたら便利だろ!?」

「全然その能力使い道ないよ!!だからムシズは――」

「それに虫に優しい奴は良い奴なんだ!!お父さんが言ってた!」

「なるほど、凛ちゃんのお父さんはいいことを言いますね。その通りだと私も思います。」

「梨花もそう思うだろ??……ち違うのか?」

「もおお!!そう思います!!ムシズは良い奴よ!!」

「…………。」


――昔、虫をいじめる同級生を注意したことがあった。でも誰も取り合ってはくれなかった。彼らが立ち去った後動かなくなった虫を見て小さな私は勝手に誰とも仲良くはなれないと悟った。でも今こうして目の前に虫を、そして私を認めてくれる人がいる。それが堪らなく嬉しくてどうしようもなく気持ちが昂った。


「…感動であります!!ワタクシ虫明依涼、改めムシズお友達にならせて頂きます!」

「おう!よろしくな!!」

「すみません、ワタクシ気持ちを沈めるため少し失礼するであります!!」


そう言うとムシズは原っぱを全速力で走り始めた。昂る気持ちのままにあの頃の子供のように。


「ムシズが走ってるな!おっちゃん!!」

「そうですね。ムシズさん走ってますね。」

「おいムシズ!!いい話かも知れないけど虫唾が走るから今後、ムシズは走るなっ!!」


なんかこの作品おじさんばっかりだな。



そう思ったあなた。



私も同じ気持ちです。次回もよろしくお願いします。

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