敬語おじさんとしめ森2
ちなみに凛は"しめ森"ライトユーザーで、普段はネットに繋がずにほのぼの島作りをしています。
2人が森に入るとさらに視界が暗くなり、前を歩く凛ちゃんの姿が見えなくなるほど霧も濃くなった。
「これは暗いな。梨花、懐中電灯使うぞ!」
「うん、なんで必要なのかわからなかったけどこういう事だったんだ。」
「ああ、他の島に行く時は必須だぞ!ないと締め出される確率が上がるからな!」
「別に私は入りたくないんだけど…」
森にはうっすらと道があり、そこを進んでいく。黙っていると余計に薄気味悪いので梨花が話しかける。
「凛ちゃん、これもうホラーゲームだよね?」
「しめ森は主に、物理的に締め出すタイプと心理的に締め出すタイプに分類されるぞ!!おじさんは心理的っぽいな!」
「そうなんだ……でこれって最終的どうなればクリアなの?」
「住んでる家を見つけて破壊するとクリアだな!」
「凛ちゃんこのゲームやめた方がいいよ!!世界観狂ってるよ!!」
話していると森の木々に赤い縄がはられている。それはあやとりの様に不気味に絡まりながら奥に続いている。
「ルートがわかりやすい上に締め出す心も感じるいいアクセントだな!」
「これがしめ森してる人の日常なの?凛ちゃんは手遅れかも知れない。」
縄に添って移動していると行き止まりに行き着いた。するとザワザワと森が騒ぎ出し声が聞こえ始める。
嬉しいね。嬉しいね。
可愛いね。可愛いね。
会いたいね。会いたいね。
ヘッドフォンから左右交互に聞こえるのはか細い少女の声。そして奥から微かな呻き越えと共に何かが物凄いスピードで近づいてくる。凛ちゃんはゲーム慣れしているので距離をとったが、梨花は動けずにいた。すると茂みから青白いものが2つ顔を出した。
アッミツケタヨォ
顔のふたつある化け物が蜘蛛の様に迫ってきて梨花のキャラにくっつきそのまま画面は暗転して、次の瞬間には森の外に締め出されていた。梨花はヘッドフォンを床に叩きつけた。
「いやああ!!私このゲーム嫌い!!面白くない!!」
「双子島の双子はこの事だな。」
「なんで冷静なの!? ヤバすぎるよ! あれ何??」
「あれはモンスターだな!中ボスクラスだ!」
「アレを倒すの?」
「いや、このゲーム攻撃できないから逃げ続けるしかないぞ。」
「鬼畜すぎる難易度!ねえ凛ちゃんの島に行こうよ!!」
すると森の外で1人放置していたおじさんが動き出した。おじさんの上に「お早いですね。想定攻略時間は8時間ですが。」と文字が表示される。
「凛ちゃん、私10分くらいと思ってたの!!8時間は無理!!」
「8時間のコースじゃどうせ今日は無理だな。このゲーム、自分の島でしかセーブ出来ないからな!」
「家壊すために8時間拘束させられるの??誰も攻略出来ないでしょこんなの!?」
「いや、最低でも自分が攻略出来ないと島を公開出来ないんだ!」
「じゃあおじさんは、自分の作ったコースを8時間かけてクリアして自分の家を壊したの??もう病院に行くべきだよ。」
そんな梨花が知る由もないが、このゲームの最長予想攻略時間は日本の浪人生が作った「19回目の浪人」で28時間である。そのコースをクリアしたものは本人以外未だに現れてはいない。
「じゃあ明日休みだから朝から挑戦だな!梨花!!」
「私今日でしめ森引退します!!」
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