敬語おじさんとお見舞い1
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「おっちゃん大変だ!!」
「おや、どうしたんですか?」
「えっと、はあはあ」
いつにも増して慌ただしく登場した凛ちゃんに驚く鈴木。息を切らせていて言葉の出ない凛ちゃんを見て鈴木は封を切っていなかったお茶を手渡す。それを躊躇わず勢いよく飲み干す凛ちゃんがいた。
「ぷはあ!!このお茶いい匂いの味がする!!なんてお茶??」
「ジャスミン茶です。」
「ジャスミン茶!!…ぷはあ!いい匂いの味!!」
いい匂いの味ですか。何味か聞かれてもジャスミン味としか言えないお茶を的確に表現していますね。それより本題の方ですね。
「何かありましたか?」
「ぷはあ!!そうだった!梨花が…あっお茶ご馳走様!お見舞い行くぞ!!」
「えっと、梨花ちゃんが体調を崩したので一緒にお見舞いに行こうという事ですか。」
「そう!!すげーなおっちゃん!!」
なるほど。それであんなに慌てていたのですね。しかし、流石におじさんが小学生のお見舞いに家に行くのは捕まっても文句が言えそうにありませんね。
「梨花の家って厳しいんだよ。前も怒られたから一人で行くの怖いんだ!家にも誰も居ないしおっちゃんしかいないんだよ!頼むよ!」
なるほど、そうですか。私は凛ちゃんの友達です。バナママさんにもお世話になっていますし、ピンチは助けて上げなければ。仕事は少し面倒ですが問題ありません。
「分かりました。行きましょう」
「おっちゃんありがとう!!」
刻一刻とおじさんが家に近づいてたその時、梨花は当然それを知る由もなく部屋のベッドで母の綾に寝かしつけられていた。
「うーママ、苦しいよー。プリン食べたい」
「もう梨花、熱もそんなにないでしょ!それにプリンはさっき食べました!」
梨花は凛ちゃんの前ではしっかり者だったが家では甘えん坊だった。今日は父の賢也も休みのために家に居て、父と母に甘えられるこの状況を楽しんでいる節すらあった。しかしそれは1本のチャイムから崩壊する。
――ピンポーン
「誰か来たみたいね。お母さん出るから大人しくしてるのよ!」
「はーい!」
1階でチャイムからの映像を確認すると、50代の人の良さそうなスーツの男性が映っている。
(はあ、まったくまた訪問販売かしら、困ったものだわ。1度賢也さんに言ってもらおうかしら。)
1つ咳をして喉の調子を調えると先程より少し高い声で綾がチャイムの向こうの男性に話しかけた。
「お待たせしました。どちら様でしょうか?」
「私、鈴木と申します。こちらは梨花さんのお家で間違いないでしょうか?」
「…すみませんがどちら様ですか?」
梨花の名前に綾の警戒度が跳ね上がる。
「そうですね。うーん梨花さんの友達の鈴木です。あと凛ちゃんもいます。」
「…凛です。お見舞いにきました。」
「凛ちゃん?えっと…友達?鈴木さんのお父様ですか?」
「いえ、私が友達の鈴木本人で――」
「すみません、お引き取りください!」
(…頭のおかしいおじさんが凛ちゃんを人質に娘の家にやってきた!! 早くお父さんを呼ばないと凛ちゃんが危ないわ!!)
――ピンポーン
(でも下手に刺激すると良くないわ。相手は小学生と友達と言い張る変質者よ!とりあえず要求を聞くべきかもしれないわ。)
「…なんでしょうか?」
「すみません、私が無理ならせめて凛ちゃんだけ入れて貰えないでしょうか?梨花ちゃんが心配で来てくれたんです。」
「おっちゃんも一緒に来てくれよ!!さっき約束しただろ?!」
(まさかマインドコントロール?!凛ちゃんはもうおじさんに操られてるのね!!とにかく賢也に言わないと!!)
「少々お待ちいただけますか?」
次回に続く…
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おじさんやっと公園出れました。残り3話!