敬語おじさんとご当地お菓子
伏字多いと不安になります。
今からお昼会に向おうと凛ちゃんが慌ただしく準備をしていると、母の紗英が呼び止めた。
「あっ凛ちゃん。これぇバナおじさんに持っていってあげて。」
「あっお菓子か!? うちの分はないのか??」
「ふふ大丈夫よぉ。多めに入れてあるからぁ向こうで仲良く食べるのよぉ」
「わかった!行ってきまーす!!」
「行ってらっしゃい」
大きく手を振って出かける娘を微笑みながら紗英胸元で小さく手を振り返している。その胸中では娘に持たせたお菓子が確実にバナおじさんの琴線に触れるであろう確信で少しだけ悦にひたっていた。
「おっちゃん!これお母さんが皆で食べてって渡してくれた!!」
「えっいいの!!凛ちゃんのお母さんのお菓子久しぶりだなー!」
「凛ちゃんのお母さんね。スンスン(箱を嗅いでいる花島)……うん、いけるわ美味しそう。今度家庭訪問しましょ!」
「おい、何がいけるか美味しそうか言ってみろ花島!!」
「梨花って最近口悪いよな?大丈夫か?」
「凛ちゃん!?ち違うの!!こいつら…くっ花島先生達の影響だから大丈夫だよ!(はなしまぁぁぁ!!)」
おや、早速バナママさんから差し入れを頂いてしまいましたね。箱からは何かわかりませんが、きっとコレは気を引き締めないといけないお菓子でしょうね。
「これは…いや、そんなはずは!?」
「おじさんがいつになく狼狽えてる!?ただのお饅頭にしか見えないけど……」
「んん、うんまーい!!」
「そしてある意味安定の語彙力、凛ちゃん可愛い!!」
「嘘でしょ!!これ手作りなの!?」
「花島が凛ちゃんを無視してる!?……このお饅頭なんなの??」
外皮の部分はクリーム感のある洋風な味わい。そして中には白あんが入っているがこちらにも風味豊かなバターと優しいミルクの味わいが広がる。洋菓子のようで洋菓子でなく、和菓子の上品さを生かし完全に調和のとれたこのお饅頭は……。
「これは、博多〇りもんそのものです!!いや、出来て間もないからか本家よりも味の落ち着きはないが、それを差し引いても完成度が異様に高い!」
「私の母方の実家が博多だからこっちに来る時、よくお土産で貰って知ってる。懐かしいわ、完全に博多〇りもんよ!!」
「2人のテンションについていけない。博多〇りもんってなに?」
博多〇りもんは博多銘菓にして、県外に根強いファンを持つ西洋和菓子です。正直、日持ちせず好き嫌いの分かれる明太子より確実に喜ばれる安定感は博多のお土産で不動の王者といって問題はないでしょう。
「おじさんはお土産を貰う機会も多いです。本家は個包装されていてサイズも安っぽくなく見栄えもいいので、中身を1個だけ貰っても結構嬉しいんですよ。」
「わかります。お土産で薄いクッキー1枚渡された時の嬉しいけどしょっぱい気持ち。あれが起こらない質量と味があります。」
「ちょっと小学生にはわからないね凛ちゃん。」
「んん?んまいぞ!!」
「口パンパンで可愛い!!あと花島が湧かないから最高!!」
バナママさん。これは予想を遥かに上回るお菓子でしたね。もし次回があるならアレか…いやあえて同じ九州のアレも有り得ますね。
凛ちゃんが帰宅するとバナママこと紗英がやってきた。
「おかえりぃ、凛ちゃん。お菓子喜んでたぁ?」
「おう!!なんかおじさんがすごい喋りだして怖かったぞ!!お母さんのお菓子はすげーな!!」
「あらあら、じゃあ次はもっと頑張らなきゃねぇ」
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博多の皆様、そして観光、仕事で行かれた方々、いつもお土産ありがとうございます。