敬語おじさんと凛ちゃんママ
「お母さーん遊びに行ってもいい?」
「いいけどぉ、凛ちゃん最近いつも誰と遊んでるのぉ?やっぱり梨花ちゃん?」
凛ちゃんは早めのお昼を食べ、いつもの様に家を出ようとすると母の紗英が凛ちゃんに何の気なしに訊ねた。凛ちゃんは何も考えず答える。
「うん、梨花とおじさーん。行ってきまーす!!」
「え!!ちょっと待ちなさい!!凛ちゃん!!」
「お母さんそんなに早く喋れるだな!!あはは!!」
「もぉ、それよりおじさんって誰?危ない人じゃないの?凛ちゃんは見る目あるから大丈夫だと思うけどお母さん心配だわぁ」
贔屓目を差し引いても可愛い娘がおじさんと遊んでいると聞いて放っておける親はいないだろう。そして、話し合いの結果凛ちゃんは悩み結論を出す。
「おっちゃんお母さん連れてきた!」
「初めましてぇ、凛ちゃんのお母さんですぅ」
「えええ!!毎回凛ちゃんは唐突すぎない!?」
これは私も驚きました。まさか凛ちゃんのお母様がお出でになるとは。親子だけあってやはり似ていますが長い髪に細い目で凛ちゃんより穏やかな印象ですね。とにかくしっかりと挨拶しなければなりませんね。
「こちらこそ初めまして。私こういうものです。」
「あらあらぁご丁寧にありがとうございますぅ」
「お母さんおっちゃんなら大丈夫だろ?」
「そうねぇ大丈夫よぉ」
「いやいや!お母さん物分り良すぎない!?ちゃんと見て下さいよ、ゴリゴリのおじさんですよ!!」
「そうねぇ思ったより2倍くらいゴリゴリねぇ」
私はおじさんの中のおじさんを目指す身ですからね。2倍ゴリゴリは褒め言葉と受け取りましょう。
「おじさんっていうからお母さん心配していたけどぉ逆にゴリゴリだったからいいかなぁって」
「逆にゴリゴリでいい理由が分かりません!」
「それに凛ちゃんはとっても見る目があるのよぉ凛ちゃんが選ぶ子は皆いい子なのぉ。それはあなたもねぇ梨花ちゃん。」
「それは…ありがとうございます。」
「あのぉこれ凛ちゃんが大好きでよく作るんですが良かったらどうぞぉ」
「これはご丁寧にどうも」
箱を開けると黄色の丸みを帯びた三日月型のお菓子が入っていた。
「もしや東京〇ナナですか。私もよく食べます。」
「いいなぁ!お母さんうちも食べていいか!!」
「ええ、いいわよぉ」
「東京〇ナナって年に1回食べるかどうかじゃないの?好きとか嫌いとかそういうお菓子じゃないし、第一手作りで作るもの??」
私は東京〇ナナが好きでたまにお取り寄せしていますからうるさいですよ。
「では…これは!口広がる〇ナナの風味が本家より濃厚。それにクリームはしっかり裏漉しされていて非常に滑らか、何よりこの生地はシフォン生地をベースに本家を完全に再現している。なんという完成度!これこそまさに東京〇ナナ、いやワールド〇ナナと言っても過言ではありません!!」
「おじさんがめちゃくちゃ喋ってて草」
「うん、うんまーい!!」
「そして、凛ちゃんの安定の語彙力可愛い!!」
うっかり長く喋ってしまいました。落ち着きましょう。
「うふふ、私は実は東京バ〇二スト会員No.013アカウント名バナママですからねぇ」
「なるほど……。では改めて自己紹介させて頂きます。私は会員No.016アカウント名バナおじさんです。よろしくお願いします。」
「この人達ネットリテラシーゼロなの?アカウント名バラシすぎじゃない??」
まさか凛ちゃんのお母様がバナママさんだったとは。今後もバナママさんの期待を裏切らないようにしなければいけませんね。
「バナおじさんとわかれば益々安心ねぇ。凛ちゃんたまにバナおじさんにお菓子届けてあげてねぇ。」
「おう!任しとけ!」
「それはご丁寧にありがとうございます。バナママさん」
「いつの間にかオフ会になってるし、バナバナうるさくて考えが纏まらない!!」
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