【第1章】 第11話選定者とノーマル
【第1章】 第11話選定者とノーマル
俺と師匠は、その日からジャイアントパンプキンを狩りまくった。
師匠は、
あんたのこと、みくびってたわ。知恵と工夫で乗り越えるなんてすごいじゃない。
と、べた褒めだった。
その日から、逆に師匠から連絡がくるようになり、狩り3日後、俺はついにレベル41になった。
2週間後、俺がレベル50にあがった時、ジャイアントパンプキンから、帽子とマントがドロップした。
師匠から、
もうここに用はないわ。お礼にこの指輪をあげる。
といって、
フレイムリング INT +5 WIS +5
の指輪をもらった。
いいんですか?
いいのよ。本当、選定者として学園に入園してもおかしくないくらい、強いノーマルだったわ。
あ、実は僕、選定者ってやつなんです。ちょっと事情があって能力が低下する呪いみたいなのにかかってて
へー、そうなんだ。でも、だったら納得かな?だってあなた、ノーマルと思えないくらい戦いに柔軟になんだもの。でも、だったら再来年学園に入園することになるわね。その時は私も16歳かぁ。もし会ったらよろしくね。
その時は、この指輪をなくさずつけてるんで忘れないでください。
ふふ…
この日で、エマとの甘いひとときが終わってしまった…
それから2年、俺はこのダンジョンに籠り、9歳の頃にはついに1人でジャイアントパンプキンを倒した。レベルは2年間50のままだけど、戦い方はうまくなったと思う。ジャイアントパンプキンの帽子もマントも3着ずつ手に入れた。
いま、家に人族育成学園から、入園案内の封筒がきている。なるほど、戸籍もろくにないこの時代に、よく間違わずに封書が送れてるよな。たぶん、転生前から細工してるとしか思えない。
父、母も驚いていた。
きっと、自分から入園しに行かなければ、なんらかの手段を使って無理やり連れていかれるんだろうな。
まぁ、ただで学べるらしいかな、行こう。
出発前の最後の日、父と母にいままでのお礼をいった。学園では必ず手紙を書くつもりだ。晩御飯も食べて寝ようとした時、3人の来訪者が家にきた。
前のパーティメンバーだ。
久しぶりだな。明日から人族育成学園に入園するんだ。
聞いたよ。お前、選定者だったんだな。どおりですごいわけだよ…
それから3人は、口々に俺は選定者だからすごいのは当然だの、自分達は違うだの、だから仕方ないだのと皮肉と言い訳をたくさん伝えてきた。
ほとんど聞き流して、最終的にはお礼をいってお別れをすませた。
これでいいんだ。いつか、同じ志の本当のパーティに出会えるはずだ。
何だか虚しい気持ちになりながら、俺は自宅最後の夜を過ごしたのだ。