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Butterfly  作者: 姫
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蛹から蝶へ

最新号の発売日、大学に行くと、前回と同じようにLaLaを持った

美沙たちが裕香のところへやってくる。

「裕香、早速見させてもらったよ」

裕香はニッコリしながら答える。

「ありがとう。その服可愛いでしょ」

「服も可愛いけど、裕香が可愛い!なんか最近の裕香って増々可愛くなったと思う」

美月に言われ、「気のせいだよ」と返す。

しかし、美沙も同じことを思っていた。

そして、その理由も知っている。

恋する女の子は可愛くなるもんね。


康介とデートした日、裕香は美沙に電話で報告した。

「裕香って、やっぱりすごいな。わたしなら我慢できなくてすぐに付き合っちゃうよ」

一人前になるまで付き合わないと美沙に話すと、そう返された。

「だってホントに大人なんだよ。今のわたしが付き合ったら、康介に悪いもん」

「まあ、裕香がそう思うんだったら、そうすればいいよ。それだけ素敵な人なんでしょ?」

「うん!優しくて、面白くて、運動神経がよくて、カッコよくて」

「はいはい。もうわかったから」

本当に…恋する乙女になっちゃって。

「ホント、今の裕香は可愛いよ」

美沙はそれだけを言う。

裕香が微笑みながら「ありがとう」と答えた。


この日は、撮影もある。

大学が終わってから、スタジオへ直行。

「よろしくお願いします」

元気よく挨拶をして、ヘアメイクに入る。

中では、舞香と珠理奈が準備をしている最中だった。

今日が舞香と珠理奈は初共演。

それなのに2人は仲がよさそうに話をしていた。

「お姉ちゃんと珠理奈さんって面識あったっけ?」

「それなりに。ね、珠理奈さん」

「うん。舞香ちゃん」

この2人、何かある。

きっと、わたし絡みで接点があるんだ。

すぐにそれを察したが、裕香はあえて聞くのをやめた。

そんなことを知ったところで無意味だ。

大事なのは今。

わたしは前だけを見ていく。

裕香も椅子に座って、準備に入る。

そこで珠理奈が話しかけてきた。

「裕香、最新号見たけど、いい顔してたね。協力してよかったよ」

「ありがとうございます。珠理奈さんのおかげです」

康介のことは、もちろん珠理奈にも舞香にも話してる。

2人とも「自分で決めたことなら、それに向かって頑張って」と応援してくれた。

そして、それ以降は康介の話は一切してこない。

それは無言のエールだ。

だから裕香も今は立派なモデルになることしか、考えていない。

そのエールに応えるためにも、康介のためにも、自分自身のためにも。


無事に撮影を終えて、舞香と一緒に帰宅。

「なんか今日の裕香、すごくよかった。一気に成長した感じがしたよ」

「ホント?」

「うん、なんかこのままだと抜かれちゃいそう」

「何言ってるの。まだまだお姉ちゃんの背中は遠いよ」

「けどね」といって裕香は続けた。

「いつか必ず、お姉ちゃんの背中を追い越すから」

裕香の口からこんな言葉が出るなんて。

舞香の笑みがこぼれる。

「だったら追い越せないように、わたしも頑張る。妹に負けれられないもん」

「わたしだって、お姉ちゃんに負けないから!」

いつの間にか、裕香の中で舞香は、漠然とした憧れから目標に変わっていた。

これも優香が成長した証だ。

こうやって人は、ほんの少しのキッカケで少しずつ成長していく。

そして3年が過ぎた。

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