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Butterfly  作者: 姫
40/45

Wデート1

更新が止まっていまい、本当に申し訳ございません。

遅れた分、ボリュームを増やして更新させてもらいます。

思った以上に道が空いている。

これなら予定の10分くらい前に着いてしまいそうだ。

珠理奈は彼氏の翔太とその友達の康介の3人で裕香のもとへ向かっていた。

「いい?何度もいうけど裕香は男性に免疫ないんだから、その辺をちゃんと考えて接してよ」

後部座席から運転席にいる翔太と助手席にいる康介に念を押す。

「わかってるよ。それとトランスジェンダーっていうのも触れない。だろ」

「そうだよ、裕香は立派な女の子なんだから」

珠理奈は2人に対して徹底的なレクチャーをしていた。

というより、2人も珠理奈に頼まれて協力している形だ。

ただ、康介はLaLaの裕香を見て「可愛い!」と連呼していたので

まんざらでもないかもしれない。

「裕香ちゃん、実物も可愛いのかな」なんて今も口走っている。

康介は翔太と同じ25歳で、2人は高校の友達だ。

元々運動が好きで、今はジムのインストラクターをやっている爽やかな雰囲気の男性。

「康介くん、裕香は大学2年生だからね」

「わかってるよ。でも大学生なら平気でしょ」

まあ、それはね。

けど康介には悪いが、今回の目的はデートがどういうものかを知ってもらうことだ。

別に康介と付き合ってほしいとは考えてない。

裕香が気に入れば別だけど…そんなうまくいくはずもないか!

「とにかく今日は裕香に楽しんでもらう、わかった?」

2人は「はいはい」と返事をし、車を走らせた。


楽しむとはいったものの、やはり緊張してあまり寝付けなかった。

あー…ドキドキする。

そう思いながら鏡で最終チェック。

メイクはウォータープルーフのを使ったから簡単には落ちないはずだ。

髪型は舞香が編み込みのポニーテールにしてくれて、白のワンピにとても合っている。

これなら大丈夫…だよね?

「大丈夫だって、今の裕香すごく可愛いよ」

口に出してないのに言ってくれた舞香。

なんでもお見通しか、さすがお姉ちゃんだ。

するとスマホが鳴りだし、「珠理奈さん」と表示されている。

着いたのかな…

恐る恐る通話を押す。

「裕香、着いたよー」

「あ、今行きます」

行かなきゃ…

もう一度鏡を見て気合を入れる。

大丈夫、大丈夫、大丈夫!

怖いことなんて何もない!

「行ってくるね」

「うん、珠理奈さんによろしくね」

「はーい」

夏っぽいかごバッグを持ち、ヒールの低いサンダルを履いて家を出た。

外に停まっているSUVの前には珠理奈が立っていて、

裕香を見てから笑顔で手を振ってきた。

「おはよ」

「おはようございます」

「2人は中だから。ささ、乗って」

珠理奈が後部座席のドアを開け、先に乗るように促す。

裕香はドキドキしながら「失礼します」と一言いってから乗り込む。

「どうぞどうぞ」と運転席にいる男性が笑顔で迎えてくれ、

助手席にいる男性もニコニコしていた。

なんか優しそうな人たち、ちょっとだけ安心。

珠理奈も乗ってドアを閉めてたのを確認してから車がゆっくりと発進した。

「紹介するね、運転してるのが彼氏の翔太。助手席が翔太の友達の康介くん」

「あ、あの裕香です。よろしくお願いします」

「こちらこそ」と2人とも笑顔。

そこへすかさず珠理奈が話しかけてきた。

「裕香のその服、可愛い!髪型も」

「ホントですか?ありがとうございます。髪はお姉ちゃんがやってくれたんですよ」

「裕香はそういう髪型似合うもんね」

そこに今度は康介が加わる。

「裕香ちゃんってお姉さんと一緒に住んでるの?」

「は、はい。2人で住んでます」

「へー、仲いいんだ。しかも姉妹でモデルなんでしょ、すごいなぁ」

「わたしなんか全然!まだ駆け出しでお姉ちゃんや珠理奈さんに助けてもらってばかりです…」

「そうなの?でも普通に可愛いと思うけどな、なぁ」

翔太に問いかけ、その翔太も「俺もそう思う」と答えていた。

女性がいう可愛いと男性がいう可愛いは意味合いが違うので

とても恥ずかしい気持ちになる。

「全然…可愛くなんかないです…」

そう返事するのが精いっぱいだ。

「それより寒くない?寒かったらいってね。ちょっとエアコン強いかもしれないからさ」

「だ、大丈夫です…」

「珠理奈、寒そうだったらひざ掛け渡してあげてね」

「オッケー。裕香も遠慮しなくていいんだからね」

「はーい」

珠理奈に話しかけられても緊張しないが、前の2人だとやっぱり緊張してしまう。

しかし、車中で翔太と康介は「聞きたい音楽ある?」「トイレ行きたくなったら言ってね」

など、とにかく裕香に気を使ってくれる。

そっか、男の人って女の子にはこうやって接してくれるんだ。

みんな優しい…


1時間ほど走ったところで目的地へ到着した。

ここは屋内の大型プールになっていて、今は夏だが1年中営業していてる人気スポットだ。

「ここなら日焼け気にしないで楽しめるでしょ」

裕香も珠理奈も日焼けは絶対にNGだ。

なので屋内なら安心してプールに入ることができる。

「じゃあ中でね、いこ」

「ああ、中で待ってる」

そういって一度翔太と康介と別れる。

2人は男子更衣室へ、裕香は珠理奈と女子更衣室へ向かった。

「どう?まだ緊張する?」

「しますよ!でもいい人たちだなって思いました。2人とも優しいし」

「でしょ、特に翔太はわがまま言っても許してくれるから助かってるんだ」

そういって珠理奈は笑っていた。

珠理奈さん、翔太さんのこと大好きなんだな。

裕香は微笑んでいた。

「康介くんはどう?」

「どうって…康介さんも優しいなって思います」

珠理奈と翔太は恋人同士、となると必然的に康介が裕香と、ということになる。

しかし慣れていない裕香は、康介を一人の男性として見る余裕がまだない。

「康介くんね、ずっと裕香のこと可愛いって言ってたんだよ。だから言っておいた。裕香はまだ大学2年生だからねって」

それってつまり…

「わたしに康介さんと付き合えって話じゃない…?」

「そだよ。裕香が気に入って付き合いたいって思うならいいけど、押し付けるつもりなんてないし、裕香が自分で好きな人を見つけて恋してくれるのが一番だから」

裕香の頭の中に「?」が浮かんでくる。

紹介とかではない…付き合ってほしいわけでもない…

「じゃあなんでわたしを誘ったんですか?」

「男性は女の子にこうやって接してくれるんだよ、っていうのを裕香に知ってもらうため。男性からただの女の子っていう扱いを受けたことないでしょ?そういう扱いを受ければ今後裕香が男性に対して違う見方ができるんじゃないかなって」

そういうことだったのか…

珠理奈の話は続く。

「だから裕香も今日は男性に見られてるって意識をして自分を可愛く見せないとダメだからね」

「自分を可愛くって…そんなの意識できないですよ」

「そのためのプールでしょ」

そういいながら珠理奈は、あの水着を取り出して裕香に渡した。

「水着でいればずっと意識できるよ」

「けどこの水着は可愛いじゃなくてセクシーじゃないですか!」

「わかってないなぁ。裕香の顔とアンバランスな水着が可愛さを際立たせるんだよ。はい、着替えて」

よくわかんない。

けど水着はこれしかないからとりあえず着替えることにする。

「ちゃんと盛るのも忘れないでね」

「わかってますよ…」

ヌーブラを仕込んでビキニを付ける。

これで谷間の完成だ。

うー…やっぱり恥ずかしいな。

そう思いながら珠理奈を見ると、珠理奈はもっとすごい水着を着ていた。

「珠理奈さん、それ…」

「モノキニ、セクシーでしょ」

そういってポーズを取る。

黒で谷間がしっかり見え、お腹の部分は開いていてパンツの部分はハイレグだ。

「セクシーすぎます…恥ずかしくないんですか?」

「まったく。だって自分のスタイルに自信あるから誰に見られても問題ないよ」

そこまで自分のスタイルに自信がある珠理奈がすごいと思った。

「裕香だって同じだよ。すごくスタイルがいい、だからその水着が似合ってる」

「スタイルなんかよくないですよ…珠理奈さんみたいにグラマーじゃないし」

「裕香!」

いきなり大きな声で言われてビクッとする。

「鏡見て」

促されるように鏡の前に立つ。

「これのどこがスタイル悪いの?悪いと思う部分を言ってみな」

悪い部分…

改めて自分の身体を見てみる。

まずスレンダーな体系で腕は細い。

胸には盛ったとはいえ谷間がある。

お腹は出ていない。

骨盤は女性と比べると狭いが太ももは少し肉づきがよくて女性らしい。

しいていうなら…

「肩幅が少し広い…」

「それは骨格の問題。しかも言うほど気にならない。他は?」

「多分…ない」

「でしょ、そもそもスタイル悪かったら水着の撮影なんてないから。わたしを見て!ってみんなに見せつけてもいいくらいのスタイルなんだから、自信持ちなさい」

そっか、わたしスタイルいいんだ。

裕香も珠理奈と同じようにポーズを取った。

「どうですか?わたし」

「最高!」

「ありがとうございます」

そういって2人で笑いあった。

恥ずかしくなんてない。

わたしはこのスタイルに自信をもっていいんだ。

吹っ切れた裕香は、珠理奈と一緒に堂々と歩いて更衣室を出ていった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] おお!久しぶりの更新!! 自分ちょっとまだ39話読めてないんですけどね笑 更新通知欄の1番上に久しぶりの文字を見れて良かった! [一言] 忙しいでしょうけど、無理せず自分のペースで頑張って…
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